試してフシギ

ローレンツ力走れ!リニアモーターカー(No.201)

走れ!リニアモーターカー 走れ!リニアモーターカー

実験監修:東海大学特任教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

磁石を一直線に並べ、その両側に金属のレールをしきます。
レールに電流を流して、軽いスポンジでつくった模型を置くと勢いよく滑りました。
まるで、リニアモーターカーのようですね。
模型は、いったいどんな力で動いたのでしょうか?

そうなんだ!

スポンジの模型を動かしているのは、磁力と電流の作用で生まれる「ローレンツ力」です。
磁力のはたらく空間(磁界、磁場)で導線に電流を流すと、電流は一定の向きに力を受けます。
この関係は、フレミング左手の法則として下図のように表されます。
この実験は簡単なしくみですが、実はこれも立派なリニアモーターです。
リニアモーターは「直線のモーター」という意味で、回転するモーターを切り開いて帯のようにつないだものです。
リニアモーターは、直線的な動きを必要とする場合は回転モーターよりも都合が良いので、鉄道や機械など多くの場所で使われるようになってきました。

1.円形のフェライト磁石(直径約2cm) 30個
2.透明なプラスチックの下敷き(A4) 1枚
3.アルミテープ 4cm×30cm
4.アルミホイル
5.ストロー 1本
6.単1形乾電池 6個
7.ネオジム磁石 7個
8.クリップ付きリード線 2本
9.メラミンスポンジ 4cm角 1個
・カッターナイフ
・はさみ
・定規
・両面テープ

実験で使用した材料の詳細

・フェライト磁石 大創産業 強力マグネット(直径約20mm)25コ入
・下敷き 大創産業 A4 Drip Mat カラー下敷 半透明
・アルミテープ 大創産業 キッチンアルミテープ(幅7cm×長さ3m)
・アルミホイル 大創産業 アルミホイル(長さ約24m×幅約25cm)
・ストロー 大創産業 ストレートカラーストロー
・乾電池 大創産業 マンガン乾電池単一形(2個入)
・ネオジム磁石 大創産業 超強力マグネットミニ(8コ入)
・メラミンスポンジ コーナン商事 メラミンスポンジ ピカイチ

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

まずは簡単なストローを動かそう!

  • 1

    図の寸法に切った下敷きに、15個の磁石を極(N/S)の向きをそろえて、両面テープで一直線に貼りつけます。
    下敷きの磁石がついていない面(表)の両側に、幅15mmに切ったアルミテープを貼り、5mmほど裏に巻き込みます。

  • 2

    レールの磁石がついてない面を上にし、アルミテープを定規でしごいて、なめらかに仕上げます。
    乾電池2個を直列につなぎ、リード線で2枚のアルミテープにつなぎます。

  • 3

    ストローを5cmに切って、アルミホイルを巻きつけます。
    2枚のアルミテープをまたぐように置くと、前後どちらかに動きます。
    電池の極(+/−)を逆にすると、ストローも逆に動きます。

【上級編】 リニアモーターカーに挑戦!

  • 1

    レールの磁石を2枚重ねにします。

  • 2

    メラミンスポンジをカッターナイフで削って車体をつくります。

  • 3

    アルミホイルで図のような部品をつくり、車体底面の後ろ寄りに両面テープで固定します。
    レールに置いたときに車体の後部が少し浮くように調節します。

  • 4

    レールの磁石がついてない面を上にします。
    電池を6個に増やして直列につなぎ、「リニアモーターカー」を走らせてみましょう。

    ※実験が終わったら、電池をはずしましょう。

実験を成功させるコツとヒント

・レールに使うフェライト磁石は、必ず同じ極を同じ側に向けて並べてください。また、磁石と磁石の間にすき間ができないように、両面テープでしっかり貼りつけてください。
・レールに貼ったアルミテープは、表面や左右の角をなめらかに仕上げてください。また、時間がたつと表面が酸化して電流が流れにくくなるので、ときどきメラミンスポンジで磨いてください。
・模型をうまく動かすためには、摩擦をできるだけ小さくするのがポイントです。なるべく軽く仕上げ、レールと接する部分を小さくしてください。また、進行方向に対して後ろ側を浮かす方がよく走ります。
・模型などが通電したレールの上に置かれたままになると、過熱する恐れがあります。実験が終わったら電池をはずしてください。

模型の動く向きは何で決まる?

フレミングの左手の法則は、電流の向き、磁界の向き、ローレンツ力を受ける方向を左手の中指、人さし指、親指にあてはめ、それぞれが90°の角度になるように表します。
中指(電流)や人さし指(磁界)の向きを変えて、親指(ローレンツ力)がどちらを向くか確かめてみましょう。
実験で使ったタイプの磁石は、見かけではN極S極の区別がつきませんが、磁石のつくる磁界はN極からS極へ向かっています。
電流を左(+)から右(-)に流して模型が手前に動いたら、N極が上を向いていることになります。

リニアモーターカーは、もう全国で走っています

未来の技術のように思われているリニアモーターカーですが、実はすでに全国各地で使われています。
リニアモーターは小さくしやすく、車体もコンパクトにできます。
そのため、小型化された地下鉄路線(ミニ地下鉄)では1990年代からリニアモーターカーが採用されています。
ミニ地下鉄の電車は、車体を車輪で支え、推進力にローレンツ力を応用したリニアモーターを使います。

超電導磁石で「浮かせて走る」リニア新幹線

リニアモーターカーにはさまざまな方式があり、リニア中央新幹線で使われるのは超電導磁気浮上式です。
簡単に言えば、車体の電磁石と地上のコイルとの間で、磁石の引き合う力と反発する力をたくみにコントロールして、車体を浮かせて走行する方式です。
非常に強力な超電導磁石を使用することで重い車体を浮上させ、航空機並みの速度を実現しました。リニア新幹線は、日本が誇る先端技術の結晶です。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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