なんでだろう?
2つのバネA・Bにオモリをつけて、横に張った糸からぶら下げます。バネAを引っぱって振動させると、静止していたバネBが徐々に振動しはじめ、入れ替わるようにAの振動が小さくなっていきます。Bの振動が最も大きくなるとき、ついにAが一瞬止まります。その後Aが再び振動しはじめ、今度はBの振動が小さくなっていきます。両方の振動が止まるまでこの動きは繰り返されるので、まるで、2つのバネの間を振動が引っ越ししているように見えます。
そうなんだ!
実際に、2つのバネの間で振動が行き来しています。バネをつるした横糸を通して、振動(運動エネルギー)が移動しているのです。バネにオモリをつけたバネ振り子は、それぞれに決まった周期で振動(固有振動)します。その周期と同じタイミングで外部から力(この場合、一方の振り子の振動)が加えられると、振れ幅がどんどん大きくなります。これを共振といいます。同じ周期で振動する2つのバネ振り子は、お互いに共振を起こし合って、運動エネルギーを規則正しくやりとりします。バネ振り子のひとつを糸で作った普通の振り子に置き換えても、同じように運動エネルギーの移動が起こります。振動の種類が異なっても、固有振動の周期が同じなら共振を起こすからです。
1.金属製のスプリングキーホルダー 2個
※理科実験用のバネでも代用できます。
2.ペットボトル(300mlくらいの容量) 2本
3.太めのタコ糸 約3m
4.ガムテープ
・椅子(背もたれが床から75cm以上の高さ) 2脚
・本などのオモリ
・はさみ
実験で使用した材料の詳細
・スプリングキーホルダー:大創産業 スプリングキーホルダー 大
・ペットボトル:アサヒ飲料 匠屋あじわい緑茶275ml
・タコ糸:大創産業 たこ糸40m
・ガムテープ:大創産業 粘着布テープ15m
・ビー玉(写真撮影用):タニカトーイ CAMEL Brand
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
ガムテープで図のような部品を2個作ります。スプリングキーホルダーのリングを取りはずし、バネの端を細く切ったガムテープと部品で、ペットボトルのふたに接続します。
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2
2つのボトルにいっぱいまで水を入れ、手順1のふたをしっかりねじ込んでバネ振り子をつくります。
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3
たこ糸の中央付近に15cm間隔で1cmくらいの輪のある結び目を2つつくります。2脚の椅子を1m離して並べ、間にたこ糸をピンと張ってしっかり椅子に結び付けます。
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4
2脚の椅子を80cmまで近づけて糸をたるませ、椅子の上に本などのオモリをのせます。
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5
2つのバネ振り子のフックをたこ糸の輪に引っかけ、ぶら下げます。
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6
片方のボトルを真下に引っぱって手をはなし、振動させます。両方のバネ振り子の動きを観察します。
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7
ひとつのバネ振り子のバネをたこ糸に取り替えます。つるしたボトルの位置がバネ振り子のボトルと同じ高さになるように調節し、横に張った糸からぶら下げます。
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8
糸でつるしたボトルを前後に揺らし、2つの振り子の動きを観察します。
実験を成功させるコツとヒント
・オモリに使うペットボトルは、300ml前後の容量が扱いやすいサイズです。軽すぎると振動の移動がうまく行われません。また、大きいサイズでは床に当たって正確な実験ができません。横糸を十分高い位置に張れる場合は、500mlのペットボトルでもかまいません。
・横糸は少したるませてください。強く張ると振動の移動に時間がかかり、わかりにくくなります。
・バネ振り子がなるべく垂直方向だけに動くように、最初の振動を与えるときに真下に引っぱってください。床にテープなどで印をつけておくと真下を確認しやすくなります。
2つのバネが振れる勢いを合計すると?
共振し合う2つのバネ振り子の動きを観察すると、面白いことがわかります。一方が最も勢いよく振れるとき、もう一方はほとんど止まります。半分くらいの勢いのときは、もう一方も半分くらいです。つまり、2つのバネ振り子の勢いを合計すると、いつも同じなのです。これは、2つのバネ振り子の間でエネルギーのやりとりがあっても、全体としては変わらないという「力学的エネルギー保存の法則」がはたらいているからです。
最初はゆらゆら♪ だんだん激しく!
つり橋を渡っていると、誰も揺らしてないのにだんだん揺れはじめ、ついには立っていられないほど大きく揺れることがあります。これも共振が原因です。つり橋の固有振動の周期と橋を渡る人の動きが一致してしまうと、小さな揺れがだんだん増幅されて大きくなるのです。同じ理由で、実際に巨大なつり橋が落下したこともあります。
高層ビルだけが激しく揺れる長周期地震動
地震の震源から遠く離れた場所で、高い建物などに限って大きく揺れる現象が、近年注目を集めています。その場所の揺れはあまり大きくないのに、高層ビルや石油タンクだけが被害を受けるのです。これは、長周期地震動と呼ばれるゆっくりとした揺れに、建物が共振することで起こります。ビルなどの建物にも固有振動の周期があります。一般的に高い建物ほど固有振動の周期は長くなります。周期の短い通常の地震動は高い建物をあまり揺らしませんが、長周期地震動は高層ビルを共振させて大きな被害をもたらします。高層ビルにいるときは、遠くの地震でも注意が必要ですね。
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