試してフシギ

二重振り子カオスな動きの体操人形(No.191)

カオスな動きの体操人形 カオスな動きの体操人形

実験監修:東海大学教育開発研究所所長 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

手と肩の2カ所で自由に回転する人形を作りました。人形をぶら下げて前後に揺らすと、振り子のように動き始めます。揺れを大きくすると、胴体だけが勢いよく回転したり、全体の動きと反対方向に回転するなど、まるで体操選手のような複雑な動きをします。しかも、狙った動きをさせようとしても、なかなか思い通りに動いてくれません。

そうなんだ!

この人形は二重振り子を応用したものです。二重振り子は、振り子の先にもう一つ振り子をつないだもので、カオス理論の説明によく使われます。単独の振り子は規則的な運動をしますが、二つをつなぐと両方の動きが合わさって不規則な動きになります。このように、単純な動きの組み合わせが予測できない複雑な動きを生んだり、条件のわずかな変化で結果が大きく変わる現象を扱うのがカオス理論です。カオス理論を研究することで、自然や社会の複雑な現象を予測したり、人間の脳に近い新しいコンピューターを開発する試みも進められています。

1.ストロー(直径4mm) 1本
2.竹ぐし 2本
3.厚紙
4.画用紙
5.ゼムクリップ 3個
・定規
・カッターナイフ
・はさみ
・セロハンテープ

実験で使用した材料の詳細

・ストロー:大創産業 ミニカラーストロー(直径約4mm)
・竹ぐし:大創産業 あじわい竹串18cm 150本入
・厚紙:ミューズ イラストレーションボードS/KMKケント両面しろ/1mm厚
・画用紙:大創産業 色画用紙 しろ 10枚入
・クリップ:アスクル ゼムクリップ大(29mm)100個入

※実験材料の一例です。準備する際の参考にしてください。

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    ストローと竹ぐしをそれぞれ図の長さに切ります。ストローに竹ぐしを通して回転する軸を作ります。

  • 2

    厚紙で腕を、画用紙で胴体を、それぞれ図のサイズに切って作ります。顔や服は、この段階で描いておきます。

  • 3

    ①の軸と、人形の腕、胴体を図のようにセロハンテープで固定してつなぎます。胴体の下部にクリップのオモリをつけ、回転しても軸に当たらないのを確認すれば完成です。

  • 4

    長い軸の竹ぐしを持って前後に揺らすと、人形が体操選手のような複雑な動きを次々に見せてくれます。

実験を成功させるコツとヒント

・人形を作る紙は、動かしたときにしならないように、やや硬めのものにしてください。とくに腕の部分は胴体より硬い厚紙か、貼り合わせて厚くした画用紙を使ってください。

自然界にはカオス現象がいっぱい!

海岸に打ち寄せる波はさまざまに変化し、次に来る波の大きさはわかりません。落下する花びらや、川を流れる木の葉の動きも予測が困難です。このように、自然界には多くのカオス現象が見られます。また、毎年の農産物の収穫量や、野生動物の数なども正確に予測するのが難しい問題です。これらは従来の科学が苦手とするテーマなので、カオス理論による研究が期待されています。

一匹のチョウの羽ばたきが竜巻を起こす!?

最先端のコンピューターを使っても、明日の天気を100%的中させることはできません。気象は非常に多くの要素が影響し合うカオス現象なので、最初に設定する条件がほんの少し変化するだけで、将来の予測が大きく変わってしまうからです。このことを象徴的に表現したのが「ブラジルでチョウが羽ばたくとアメリカで竜巻が起こる」というバタフライ効果。有名な映画の中でも使われたために、カオス理論の例として広く知られるようになりました。

カオス理論でニュートン力学の限界を超える

アイザック・ニュートンが発見した力学の法則に従えば、物体の最初の位置と速度がわかると、その後の動きは計算によって正確に予測できます。宇宙の天体の動きまでも、正確に説明できるようになりました。ところが、19世紀の終わりにフランスの数学者アンリ・ポアンカレは、2つの太陽(連星)のまわりを回る惑星の動きを計算すると、非常に複雑な動きをして予測することが困難であることに気付きます。2つの天体ならニュートン力学で正確に説明できるのに、3つの天体になると急に難しくなるのです。ここからカオス理論の研究がスタートしますが、1963年にアメリカの気象学者エドワード・ローレンツが「バタフライ効果」を発表するまで大きな注目を集めることはありませんでした。1970年代に入ると、カオス理論はニュートン力学の限界を超えるものとして、一躍脚光を浴びるようになります。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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