試してフシギ

クレーター錯視出っぱる絵が一瞬で凹む!?(No.190)

出っぱる絵が一瞬で凹む!? 出っぱる絵が一瞬で凹む!?

実験監修:東海大学教育開発研究所所長 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

上の写真は砂で描いた絵を撮影したものです。不思議な模様が、出っぱって見えますね。それでは、この絵を凹ませてください。えっ? そんなの無理だと思いますか。実はとっても簡単な方法で、この絵を一瞬のうちに凹ませることができるのです。

そうなんだ!

答は「写真を逆さまにする」です。写真の上下をひっくり返すだけで、絵の出っぱった部分が凹んで見えるようになります。この現象は「クレーター錯視」と呼ばれ、目の錯覚が原因で起こります。人間の目は、脳で考えながらものを見ています。光は上から当たることが多いので、下の方に影ができるのが一般的です。脳は影によって立体感を判断するので、写真をひっくり返して影の付き方が逆になると、凹凸も逆に見えるのです。実際は、この絵は砂を凹ませて描いています。あなたの目も、だまされたのではありませんか?

1. 砂(洗面器一杯くらい)
2. 洗面器などの容器
3. ペットボトルなどの型をつけるもの
4. デジタルカメラ
※スマートフォンのカメラなど、撮影した写真をモニター画面に映せるカメラなら、どんなものでもかまいません。

実験で使用した材料の詳細

・砂:コーナン商事 砂 約18kg
・洗面器:大創産業 オリーブ湯桶3.5Lブルー
・カメラ:Apple iPhone5

※実験材料の一例です。準備する際の参考にしてください。

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    容器に砂を入れ、ペットボトルなどを押し当てて型をつけます。
    ※砂が乾燥して型がつきにくいときは、霧吹きで軽くしめらせてください。

  • 2

    ①をデジタルカメラで撮影します。
    ※カメラのフラッシュは使わず、斜め上方向から光が当たるように撮影場所を選んでください。

  • 3

    撮影した写真をモニター画面に映し、型をつけた部分だけが見えるように拡大します。

  • 4

    カメラの上下を反対にすると、凹んだ部分が出っぱって見えます。砂にいろいろな凹凸をつけて、どんな見え方をするか実験してみましょう。

実験を成功させるコツとヒント

・雑誌掲載写真のように複雑な砂絵を作るときは、厚紙で絵柄を切り抜いて型紙を作り、砂に押し当てて型をつけてください。
・細かい絵柄を型押しするときは、砂をふるいにかけて粒子の大きさをそろえたり、砂糖や小麦粉などの粒子の細かい素材を使ったりするときれいに型がつけられます。
・錯視の見え方には個人差があります。複雑な絵柄では、人によって見えにくい場合があります。見えにくい場合は絵柄を変えて試してみましょう。

身近なものでクレーター錯視を見つけよう

クレーター錯視は、月面の写真をひっくり返すと、凹んでいるクレーターが出っぱって見えることから名付けられました。この錯視は、凸凹があるものなら何でも起こる可能性があるので、身近なもので試してみましょう。陰影以外の視覚情報があると錯視が起こりにくいので、背景を同じ色にしたり、単一の色で凹凸のあるものを撮影するのがコツです。
おやつも錯視の題材になりました。

板チョコレート

[JPG:44KB]

粒チョコレート

[JPG:33KB]

ウエハース

[JPG:94KB]

アイスクリーム

[JPG:43KB]

よくわかってないけれど、広く利用されている錯視

錯視にはクレーター錯視以外にもさまざまな種類があり、今日でも新しい錯視が次々に発見されています。ところが、錯視が起こるしくみには、まだよくわかっていない部分もあります。錯視は、目から入った視覚情報を脳で処理する過程で起こります。脳のはたらきは現在でも未知の領域が多いので、錯視が起こる原因も十分には解明されてないのです。 その一方で人類は、昔から錯視をたくみに利用してきました。たとえば、絵画の遠近法も錯視の利用です。近くのものを大きく、遠くのものを小さく描くことで、脳は平面の絵に奥行きを感じます。化粧やファッションで美しく見せるのにも錯視が応用されており、道路に描いたパターンで速度の出し過ぎを防ぐという利用法もあります。科学の分野では、錯視の研究を通じた脳のはたらきの解明が期待されています。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

NGKサイエンスサイトは日本ガイシが運営しています。ご利用に当たっては、日本ガイシの「プライバシーポリシー」と「ご利用条件•ご注意」をご覧ください。
本サイトのコンテンツ利用に関しては、本サイトお問い合わせ先までご相談ください。

このサイトが気に入ったらシェアしてください

page top