試してフシギ

モーターの原理モーターの赤ちゃん誕生(No.188)

モーターの赤ちゃん誕生 モーターの赤ちゃん誕生

実験監修:東海大学教育開発研究所所長 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

エナメル線で作った小さな輪がくるくる回っています。まるでモーターの赤ちゃんのようですね。使っているのは、エナメル線のほかに小さな磁石と乾電池とクリップ。たったこれだけの簡単なしくみなのに、どうして回り続けることができるのでしょう。

そうなんだ!

磁界の中でコイルに電流を流すと、コイルは力を受けて回転します(図)。ところが、コイルが半回転して上下が入れ替わると電流の向きが反対になるので、力の向きも反対になって逆方向に回ります。このままでは半回転ごとに力の向きが入れ替わるため、回り続けることができません。実際のモーターでは、「整流子」と「ブラシ」という部品を使って途中で電流の向きを切り替えていますが、簡単な工夫でこの問題を解決してみましょう。コイルの両端のエナメル線は、電流を流すために被膜をはがしています。その際に、片方は部分的に皮膜が残るように細工して、エナメル線に整流子の役割を持たせるのです。コイルが半回転したときに、皮膜が残っている部分では電流が流れなくなり、磁界からの力を受けなくなります。コイルはそれまでの勢いで回るので、さらに半回転して再び電流が流れ、回転が続きます。かわいいけれど、ちゃんとモーターと同じ原理で動いています。

1. エナメル線40cm(直径0.3~0.4mm)
2. ゼムクリップ(長さ約3cm) 2個
3. 乾電池(単3) 1個
4. ネオジム磁石 (直径約13mm、厚さ約2.5mm) 1個 
・セロハンテープ
・紙やすり
・ニッパー
・ラジオペンチ
・はさみ

実験で使用した材料の詳細

〈単3電池用〉
・エナメル線:ELPA エナメル線(直径0.4mm、10m)PP-07NH
・ゼムクリップ:アスクル ゼムクリップ大(29mm)1袋(100個入)
・乾電池:大創産業 ウルトラアルカリ乾電池 単3型
・ネオジム磁石:大創産業 超強力マグネット(直径13mm、4コ入)

〈単5電池用〉
・ポリウレタン線:サンコー電商 UEW ポリウレタン銅線(直径0.2mm、20m)
・ゼムクリップ:アスクル ゼムクリップ小(24mm)1袋(100個入)
・乾電池:大創産業 KEEPMAXアルカリ乾電池 単5型
・ネオジム磁石:大創産業 超強力マグネット(直径6mm、8コ入)

※実験材料の一例です。準備する際の参考にしてください。

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    エナメル線の両端を約8cmずつ残して乾電池に5回巻いて抜き取り、コイルを作ります。

  • 2

    ほどけないように両端を2回ずつコイルに巻き付けます。このとき、両端の延長線がコイルの中心を通るようにします。

  • 3

    片方のエナメル線の皮膜を紙やすりで全部はがします。反対側は、半分から先だけ皮膜をはがします。

  • 4

    エナメル線を半分に軽く曲げて両端に小さな輪を作り、7〜8回ねじります。コイルの中心とエナメル線の両端が一直線になるように整えます。

  • 5

    ゼムクリップ2つをラジオペンチで図のように加工し、セロハンテープで乾電池に固定します。

  • 6

    乾電池にネオジム磁石をくっつけます。コイルをクリップにのせて指で軽くはじくと、くるくると回り始めます。

実験を成功させるコツとヒント

・エナメル線の皮膜をはがす部分は、皮膜が残らないように完全に取り去ってください。また、皮膜を残す部分は皮膜を傷つけないように注意してください。
・コイルの中心と両端のリード線が一直線になっていないと、うまく回転しません。回転軸が一直線になるように調整してください。
・コイルをクリップにセットしても反応しないときは、乾電池とクリップの接触を確認してください。指で押さえると回り出す場合は、接触不良です。
・長時間通電し続けるとコイルやクリップが熱くなります。実験が終わったらコイルをはずしてください。

がんばれ! 小さいモーター大活躍

小さなコイルがくるくる回る「モーターの赤ちゃん」。実は、もっと小さくすることも可能です。工作は少し難しくなりますが、電池やコイルを小さなサイズにすれば、手順で紹介しているものの半分くらいまで小型化できるので、ぜひ挑戦してみてください。
私たちの回りでも、小さいモーターは大活躍しています。家電製品やゲーム機、自動車など、一見、モーターと関係なさそうなものの中にもたくさん入っています。機械の中に組み込まれるから、できるだけ小さくできた方が都合が良いですね。

日本は世界一の超小型モーター大国

何でも小さくするのが得意な日本人は、超小型モーターの分野でも世界をリードしているようです。「精密小型モーター」に分類される製品において、2010年には全世界の生産量の半分以上を日本企業が製造したと推定されています。また、直径がわずか1.5mmのマイクロモータも日本で開発されました。コンピューターやロボット、医療などの分野では、今後ますます高性能な小型モーターが求められます。日本で生まれたかわいいモーターたちに、世界中でもっともっと活躍してもらいたいですね。

単5電池サイズモーターの作り方

乾電池を単5に変え、コイルには一般的なエナメル線より細いポリウレタンやホルマル線を使います。クリップや磁石も小さいものを準備します(詳しくは「実験で使用した材料の詳細」を参照)。コイルは、太めのストロー(直径6mm程度)に巻き付けて作り、両端を約5cmずつ残しておきます。その後の作り方は単3の場合と同じですが、導線が細く、折れたり曲がったりしやすいので慎重に作業してください。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

NGKサイエンスサイトは日本ガイシが運営しています。ご利用に当たっては、日本ガイシの「プライバシーポリシー」と「ご利用条件•ご注意」をご覧ください。
本サイトのコンテンツ利用に関しては、本サイトお問い合わせ先までご相談ください。

このサイトが気に入ったらシェアしてください

page top