試してフシギ

静電気浮かぶ風船電球(No.187)

浮かぶ風船電球 浮かぶ風船電球

実験監修:東海大学教育開発研究所所長 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

色とりどりに光る風船が浮かんでいるように見えますが、これらの風船は部屋の天井にくっついています。ヘリウムガスで浮いているからでも、のりやテープで天井に貼り付けているからでもありません。どうしてくっついているのでしょう。

そうなんだ!

風船が天井にくっついているのは、静電気のはたらきです。風船(ゴム)をマフラー(ウール)でこすって天井に押し当てたのです。ゴムをウールでこすると、ゴムにはマイナスの電気が集まる性質があります。天井にはプラスとマイナスの電気が同じだけあるので、マイナスの電気を帯びたゴム風船と天井のプラスの電気が引き合ってくっつきます。風船の色はすべて白色で、中にLEDを入れて色とりどりに光らせています。LEDと小さな電池の重さに耐えられるほど、この静電気の力は大きいのです。

1. 白いゴム風船 1個
2. LEDランプ(高輝度タイプ・順方向電圧3V程度) 1個
3. 3Vコイン型電池 1個
4. 輪ゴム小(髪どめ用) 1本
5. マフラーなどのウール製品
・セロハンテープ
・はさみ
※複数の風船電球を作る場合は、風船、LED、電池、輪ゴムを個数分用意してください。

実験で使用した材料の詳細

・ゴム風船:大創産業 バルーンアート9インチ/ホワイト(20個入り)
・LED:ピースコーポレーション 5φ緑色LED Max20000mcd、5φ赤色LED Max8000mcd、5φ青色LED Max9000mcd、5φ白色LED Max30000mcd(各10本セット)
・コイン型電池:maxellマンガンリチウム電池CR20
・輪ゴム小:大創産業 からまな~いヘアゴムS
・ウール製品:良品計画 ウールリブマフラー/ベージュ

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    LEDの足でコイン型電池をはさんで点灯させ、セロハンテープで固定します。風船を傷つけないようにテープの角を切り落とします。
    ※LEDには極性があるので、+−を正しく接続 してください。逆に接続すると点灯しません。

  • 2

    風船の口から約5cmのところを、二重にした小さな輪ゴムで軽くしばり、電池のストッパーにします。
    LEDのランプ部分だけが輪ゴムより中に入るようにを風船の口から押し込みます。

  • 3

    風船を標準のサイズよりやや小さめにふくらませ、口をしばって閉じます。

  • 4

    風船の上部をウール製品で10回ほどこすります。
    静電気が起きたら静かに天井にくっつけます。部屋を暗くすると、風船全体がLEDの光の色に照らされます。
    ※静電気のはたらきは、LEDを使わずに風船だけでも確かめることが

実験を成功させるコツとヒント

・静電気の実験には湿度が大きく影響します。秋から冬にかけた、気温の低い乾燥した日がおすすめです。空気中の水分を通して静電気が逃げやすくなるので、湿度の高い夏場や雨の日は避けてください。また乾燥している冬場でも、加湿器や水分の出るガスストーブなどは使わないでください。
・LEDの明るさが足りなかったり、部屋が明るいと風船電球がきれいに発色しません。部屋を十分に暗くして実験してください
・風船は、規定のサイズよりやや小さめにふくらませてください。大きくふくらませすぎるとゴムが薄くなって、LEDの光が全体に広がりません。

プラスの顔を向けて分子が整列!

風船と天井の間に起こっていることをもう少し詳しく見てみましょう。天井に使われている物質は、一般的には電気を通さない不導体です。自由に動ける電子を持たないのです。ところがマイナスの電気を帯びた風船が近づくと、天井を構成する物質の分子では、マイナスの電気を持った電子が反発して少し奥にずれます。すると、プラスの電気を持った部分が天井の表面を向くことになるので、マイナスの電気を帯びた風船と引き合うのです。この現象を誘電分極といいます。

コピーできるのは静電気のおかげ!?

静電気がものをくっつける力は、さまざまなところで役立っています。その代表が、仕事や暮らしの中でよく使われるコピー機です。コピー機の心臓部は静電気を帯びたドラムと呼ばれる筒。そこにコピーするものの像を写すと、絵や文字のある部分だけ色の濃さに応じて静電気が残ります。その静電気がトナーという黒い粉をくっつけ、紙に転写します。

引き合う。反発する。静電気の2つの力

プラスとマイナスの静電気は引き合い、プラス同士やマイナス同士の静電気は反発します。風船が天井にくっついたように、静電気の引き合う力は意外に大きく日常生活でも感じることがよくありますが、反発する力はあまり感じません。それには距離が関係しています。静電気による力は距離の2乗に反比例するので、接近しているときは非常に大きく、距離が離れると急に小さくなるからです。

風船が電球のように光るわけ

LEDの光は一方向だけ照らして横にはあまり広がりません。それなのに、実験で作った風船は全体がLEDの色に光るのはなぜでしょう? それは風船の色に理由があります。白い風船は、LEDの光を中で乱反射させるので全体が柔らかく光るのです。実際の多くの電球にも白いすりガラスが使われていますね。透明のガラスではまぶしくて使いにくいからです。実は電球のこのしくみ、大正時代の日本で発明されました。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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