試してフシギ

うず電流アルミのゲレンデで大滑降!(No.186)

アルミのゲレンデで大滑降! アルミのゲレンデで大滑降!

実験監修:東海大学教育開発研究所所長 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

ほぼ同じ重さの磁石とコインを、斜面の上から同時に滑らせます。プラスチックの斜面では、磁石とコインはほとんど同じ速さで滑りますが、アルミニウムの斜面では、磁石がコインより遅れてゆっくり滑ります。アルミニウムは磁石にくっつかない物質なのに、どうして滑る速度が遅くなるのでしょう?

そうなんだ!

アルミニウムなどの電気をよく通す金属の近くで磁石を動かす(磁界を変化させる)と、金属の中に電流が流れます。金属に電流が流れると、そのまわりに磁界が発生し、一種の電磁石となって磁石とお互いに引きつけ合います。つまり、磁石が動くことで電流が生じ、その電流によってブレーキがかかったというわけです。このときに金属の中で生じる電流は、その場でぐるぐるとうずを巻くように流れるので「うず電流」といいます。

1. プラスチックの下敷き(B5サイズ) 1枚
2. アルミテープ(幅7cm×長さ24cm) 2枚
※B5サイズ以外の下敷きを使う場合は、下敷きのたての長さに合わせてください。
3. ネオジム磁石(直径約13mm、厚さ約2.5mm) 1個
4. 50円硬貨 1枚
・本などの台
・定規
・はさみ

実験で使用した材料の詳細

・下敷き:共栄プラスチック B5下敷ニューカラー NO.850-B ブルー
・アルミテープ:大創産業 キッチンアルミテープ 7cm×3m
・ネオジム磁石:大創産業 超強力マグネット(4コ入)

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    プラスチックの下敷きに、中央より片側に寄せてアルミテープを2枚重ねてはります。

  • 2

    本などを台にして、下敷きで20度くらいの斜面を作ります。

  • 3

    ネオジム磁石とコインをアルミテープのはってない部分で滑らせて、ほぼ同時に滑り降りることを確認します。磁石とコインが途中で止まるようなら、斜面の傾きを少し強めます。

  • 4

    アルミテープの上でネオジム磁石とコインを滑らせて、磁石の方がゆっくり滑ることを確かめます。

実験を成功させるコツとヒント

下敷きの傾きがポイントです。傾きが小さすぎると途中で止まってしまい、傾きが大きすぎるとスピードの違いがわかりにくくなります。下敷きの材質などによって滑り方が異なるため、20度くらいを目安にして、磁石もコインも下までゆっくり滑り落ちる角度に調節してください。

うず電流で電車を止める!?

電磁石を使って必要なときだけ磁界を発生させ、うず電流によってブレーキをかける。そんな装置が、電車や大型自動車で実際に使われています。固定した電磁石で、車輪といっしょに回る金属板に磁界を作用させる方法が一般的です。うず電流ブレーキは減速する力が比較的大きく、摩擦を利用するブレーキと違って、部品の消もうが少ないメリットがあります。ただし、うず電流は金属板を流れるうちに熱(ジュール熱)を発生させます。発熱するという点では摩擦によるブレーキと同じです。

うず電流でぐつぐつ、おいしく

火を使わないのに、上にのせた鍋だけ熱くなる不思議な電磁調理器も、うず電流を利用しています。電磁調理器は、うず電流ブレーキでは捨てられているジュール熱を上手に使って加熱します。電磁調理器の中にはコイルが入っていて、周波数の高い交流電流が流れます。交流は電流の向きが周期的に変化するので、コイルのまわりに発生する磁界も、まるで磁石を動かしているように変化します。そのため、金属の鍋にうず電流が発生し、鍋だけが熱くなるのです。もちろん、うず電流が発生しない陶器やプラスチックは熱くなりません。

くるくる回って使った電気を計量

一般的によく見かける家庭用の電力メーター(電力量計)は、中で円盤がくるくる回っていますね。電気をあまり使ってないときはゆっくり動き、たくさん使っているときは速く動いています。それでは、電気を使うとなぜ円盤が動くのでしょう? 電力量計の円盤はアルミニウムでできていて、スムーズに回転することができます。円盤のそばにはコイルが置かれ、固定されています。家庭内で電気を使うとコイルに電流が流れ、磁界が発生します。家庭用の電力は交流なので周期的に磁界が変化して、磁石を動かすようにアルミニウムの円盤にうず電流が起こります。その結果、コイルと円盤が力を及ぼし合い、固定されてない円盤が回転するのです。 電力量計の円盤は回りやすい構造なので、電気を使い終わったらすぐに止めるブレーキが必要です。実は、そこにも渦電流が利用されています。永久磁石がブレーキ用に使われ、回りすぎを防いでいるのです。動かしたり止めたり、うず電流は大活躍ですね。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

NGKサイエンスサイトは日本ガイシが運営しています。ご利用に当たっては、日本ガイシの「プライバシーポリシー」と「ご利用条件•ご注意」をご覧ください。
本サイトのコンテンツ利用に関しては、本サイトお問い合わせ先までご相談ください。

このサイトが気に入ったらシェアしてください

page top