なんでだろう?
マーカーペンの上に、数十本のくぎがバランスよくのっています。まるで消防出初め式のはしご乗りのようですね。でも、これらのくぎは接着剤でくっつけたり糸でしばっているわけではありません。使っているのはくぎだけ。それなのにどうして、細いペンの上にこんなにたくさんのせられるのでしょう?
そうなんだ!
バラバラのくぎは不安定で、マーカーペンの上に数本しかのせられません。しかし、くぎとくぎを上手に組んで、やじろべえのような形にするとバランスがよくなり、ペンにのせやすくなります。さらに、組んだくぎの重心をペンの中心軸に合わせながらのせていくと、何段も積み重ねることができます。重心は、その物体の質量の中心です。そのため、重心を垂直方向にそろえてのせれば、小さな点でも大きなものを支えやすくなるのです。さあ、ペンの上に何本のくぎをのせられるか挑戦してみましょう。100本以上のせたという記録もありますよ。
1. 丸くぎ(長さ100mm)約50本
※他の長さのくぎでもかまいませんが、組むときの本数が変わります。
2. マーカーペン(両端の太さが異なる太・細両用タイプ)1本
実験で使用した材料の詳細
・丸くぎ:コーナン #4.2×100mm鉄丸釘(容量約500g)
・マーカーペン:大創産業 油性ツインマーカー(極太・太)
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
縦に置いた1本のくぎの上に、横向きに12本のくぎの頭部をたがいちがいに並べていきます。最後に上から縦にくぎを1本のせます。
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2
机の上にペンを立てます。いちばん下のくぎの両端を持ってゆっくり持ち上げ、ペンが中心にくるように組んだくぎをのせます。
※この方法で、ペンの中心軸に、組んだくぎの重心を合わることができます。 -
3
1と同じものをもう1組作り、2の上に中心の位置を合わせて慎重にのせます。うまくのせられたら、さらに段数を増やしてみましょう。
実験を成功させるコツとヒント
・組んだくぎを持ち上げる前に、最後に上からのせたくぎが、左右のくぎの頭でしっかりはさまれるように並びを整えてください。
・実験に使うくぎの大きさは問いませんが、大きめのくぎの方がバランスをとりやすいので数多くのせることができます。
・ペンにのせた後で組んだくぎを中央に寄せ、両端に新しいくぎを均等に差し込むことで、のせるくぎの数を増やすことができます。
重心を合わせて驚きのパフォーマンス
サーカスや曲芸では、一見不可能に思えることを軽々とやって見せてくれます。いすを何脚も積んでその上で逆立ちをしたり、1台の自転車に10人も乗って走ったり…。これらの演技は、重心とバランスをたくみに利用しています。人やものの重心を正確につかむことで、一点で大きなものを支えたり、高く積み上げていくことができるのです。もちろん、長年にわたる厳しいトレーニングによってのみ修得できる特別なパフォーマンスです。
やじろべえは、なぜ倒れないの?
やじろべえは細い棒の先だけで支えられているのに、ゆらしても簡単には倒れないなんて、不思議だと思いませんか? やじろべえは、左右の腕の先についたオモリが全体を支える支点より下にあります。この構造によって、やじろべえの重心は支点より下にきます。やじろべえが動いて質量の中心である重心の位置が左右にずれても、重力に引っぱられて真下に引き戻されるので、やじろべえは倒れにくいのです。
バランスをくずすことで人は動ける
人が運動するときにも、重心は大きな役割を果たしています。一見、足を前へ出すことで歩いたり走ったりしているように見えますが、これは重心が移動してバランスがくずれた結果です。その場で足踏みをしている状態を考えるとよくわかります。重心の移動がなければ、いくら足を動かしても歩くことはできません。歩いたり走ったりするときは、まず重心を前に移動させて体のバランスをくずし、それを支えるために足を踏み出す動きをくり返しているのです。簡単なことのようにも思えますが、二足歩行ロボットのぎこちない歩き方を見ると、実はとても高度な運動能力であることがわかるでしょう。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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