なんでだろう?
風船の中にコインを入れて軽く振っていると、コインが立ち上がって風船の中を走り始めます。風船を振るのをやめても、コインはしばらく走り続けます。慣れてくると、コインをななめや水平に走らせることもできます。まるでサーカスみたいですね。風船の中を走るコインは、なぜ倒れないのでしょう?
そうなんだ!
風船の中のコインをよく観察すると、回転しながら走っているのがわかります。回転している物体は、なるべく同じ姿勢のままで倒れずに回り続けようとします。これをジャイロ効果といいます。風船の中で回転するコインは、ジャイロ効果で風船の内側に対していつも垂直な姿勢をとろうとします。そのため、コインが逆さになっても、ななめや水平でも、倒れずに走り続けることができるのです。回っているコマや走っている自転車が倒れにくいのも、ジャイロ効果が関係しています。
1. ゴム風船(30cmタイプ) 1個
※なるべく色の薄いもの
2. 1円硬貨 1枚
※どの硬貨でもできますが、軽いほうが簡単です。
実験で使用した材料の詳細
・風船:まほうとまほう 透明風船〈大〉(50個入り)
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
風船にコインを入れてふくらませ、口をしばって閉じます。
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2
両手で風船を持って円をえがくように振り、中のコインを回転させます。
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3
コインが回転しはじめたら、風船を振るのをやめてコインの動きを観察します。 ※風船をふくらませすぎたり、長時間実験を続けると風船が割れる場合があります。
実験を成功させるコツとヒント
・風船を動かすときは激しく振り回すのではなく、ゆっくりと円を描くように動かしてください。
・コインが回りはじめると、風船を止めてもしばらく回転が持続します。ときどき風船を動かしてコインの勢いを保つようにすると、安定して長時間回り続けます。
いろいろなシーンで活躍するジャイロ
ジャイロ(Gyro)には、回転や輪という意味があります。人類は古くから回転する物体の動きに興味を持ち、おもちゃのコマやヨーヨーのかたちでジャイロ効果を利用してきました。また、二輪車の発明にも大きな関わりがあります。自転車やオートバイは、回転する 車輪のジャイロ効果で倒れにくくなっているのです。最近では、高い工事現場で荷物を吊り上げるクレーンにも応用されています。ジャイロ効果によって姿勢を保ち、つり荷が風などで回転しないようにします。
ロケットやロボットも制御するジャイロスコープ
回転する円盤が一定の方向を保つジャイロ効果を応用して、物体の向きや回転の速さ(角速度)を測る装置をジャイロスコープといいます。もともとは、19世紀に地球の自転を研究する目的で考え出されました。その後、空中や海中でも正しい方向を知ることができることから、航空機や潜水艦のコンパスとして利用されるようになりました。 今日では、回転する円盤の代わりに、振動やレーザー光線を使ったさまざまなジャイロスコープが開発されています。宇宙ロケットやロボットの姿勢を制御したり、カメラの手ぶれ補正やゲーム機のコントローラーにもジャイロスコープが使われています。
ジャイロ効果と季節の意外な関係
地球は自転しながら、まるで巨大なコマのように太陽のまわりを回っています(公転)。実は、地球の自転軸は、太陽を回る公転面に対して垂直から約23度傾いているのです。地球は自転していますから、ジャイロ効果によって自転軸の傾きはほとんど変わりません。太陽との位置関係が反対になる夏と冬では、地球に太陽光が当たる角度と時間が変わります。この大気の暖まり方の違いが地球に四季をもたらしています。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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