試してフシギ

吸着熱 気化熱温かい水 冷たい湯(No.181)

温かい水 冷たい湯 温かい水 冷たい湯

実験監修:東海大学教育開発研究所所長 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

70℃くらいの湯を霧吹きで手に吹きかけると、熱い湯なのにひんやりします。また、布を巻いた温度計を密閉できる容器にセットし、その中に霧吹きで水を吹きかけると、温度計の表示が2~3℃上昇します。熱い湯をかけると冷たく感じ、冷たい水をかけると温かくなるのはなぜでしょう?

そうなんだ!

まず、湯を吹きかけて冷たく感じるのは、気化熱が原因です。
霧になった水は表面積が大きいので気体に変化(気化)しやすくなり、そのときに周囲の熱を吸収して冷やします。また、水を吹きかけた容器の中で布の温度が上がったのは、気体の水の分子が布のせんいにくっつくときに熱を放出したからです。このときの熱を吸着熱といいます。
熱の正体は、その物質を構成する分子の運動です。気体の分子は動きやすい状態なので熱をよく運びます。どちらの現象も、気体の水分子を通した熱のやりとりによるものです。

1. 霧吹き
2. 棒温度計
3. 70℃くらいの湯
4. メガネふきクロス 10cm×15cm
5. プラスチックのコップ(425ml)2個
・カッターナイフ
・はさみ
・セロハンテープ

実験で使用した材料の詳細

・霧吹き:良品計画 ポリボトルスプレー付き・小 300mlクリア
・棒温度計:シンワ測定 温度計 棒状H アルコール -20~105℃
・メガネふきクロス:大創産業 レンズクリーナー
・プラスチックのコップ:大創産業 クリアカップ 425ml

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

吸着熱

  • 1

    1つのプラスチックコップの底にカッターナイフで十字の切り込みを入れます。棒温度計を差し込み、温度計の球の部分に、メガネふきクロスを巻き付け、テープでとめます。

  • 2

    もう1つのコップの中に霧吹きで軽く水を吹きかけます。コップの上に素速くのコップをかぶせて温度変化を確かめます。

気化熱

  • 3

    70℃くらいの湯を霧吹きに入れ、30cm以上離して手に吹きかけます。 ※湯の扱いには注意してください。手に吹きかける前に、霧状に噴射されることを確かめてください。

実験を成功させるコツとヒント

・吸着熱の実験には、メガネふきクロスのようにせんいの細い布が適しています。せんいが細いと、布の表面積が大きくなるので、気体の分子(水蒸気)を吸着しやすいからです。
・極端に気温が低い場合や湿度が高い場合は水が気化しにくいので、吸着熱の効果がはっきり現れないことがあります。水の代わりに、気化しやすいスプレー式の芳香剤を使うと、吸着熱を確認しやすくなります。

ぬれない霧で夏をクール&エコに

霧吹きの原理を応用して、細かい霧状の水(ミスト)を散布することで気温を下げる装置があります。水粒がとても細かいので一瞬のうちに蒸発し、気化熱をうばって涼しくなりますが、体はぬれません。エアコンと違って野外やオープンな場所でも使え、気化熱を利用するので省エネ。設置するところが全国に広がっています。

着るだけで発熱する衣類のヒミツ

人間の汗で発熱する吸湿発熱素材の衣類が人気です。吸着熱のしくみを考えると、そのヒミツはすぐにわかりますね。蒸発した汗がせんいにくっつくときに熱を放出しているのです。ところで、吸湿発熱素材というと最先端の技術のようですが、実は天然せんいのウールや絹などにも同じような機能があります。

冷蔵庫もエアコンも、気化熱を利用してる

電化製品の代表のような冷蔵庫やエアコンにも、実は内部に霧吹きと同じ仕組みが入っています。霧吹きと違うのは、冷媒(れいばい)と呼ばれる特殊なガスを使うところ。冷媒は、圧力の変化によって気体や液体に変化しやすい物質です。
液体の冷媒を小さなノズルから吹き出すと、気体になって気化熱をうばいます。冷蔵庫やエアコンは、それで庫内や室内を冷やしています。気体になった冷媒は、ポンプ(コンプレッサー)で圧力をかけると、液体にもどって熱を放出するので、うばった熱を外に捨てられます。コンプレッサーを動かすのには電気が必要です。また、冷蔵庫の運転は冷やすだけの一方通行ですが、エアコンは逆向きにも動かせるので、暖房にも使えるのです。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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