試してフシギ

倒れる早さ倒れるのはどちらが早い?(No.179)

倒れるのはどちらが早い? 倒れるのはどちらが早い?

実験監修:東海大学教育開発研究所所長 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

長い木と短い木を同時に倒したら、どちらが早く地面に倒れると思いますか。長い方が勢いがつきやすい? 短い方が軽くて倒れやすい? それとも同じ? 考えれば考えるほど、わからなくなりますね。正解は「短い方が早い」です。空気の抵抗は無視できるとすると、木が倒れる早さは何で決まるのでしょう?

そうなんだ!

木が倒れるときは、木の根元は一定の場所にとどまり、先端が円弧を描いて動きます。上下をひっくり返して考えると、木の重心の位置(中央付近)にオモリが付いている振り子と見ることができます。長い振り子と短い振り子を比べると、短い振り子の方が周期が短く、早く動きます。振り子の周期は振り子の長さの平方根に比例します。長さが2倍になると周期は約1.4倍、つまり長さが2倍の木は、倒れるまでの時間が約1.4倍かかるのです。

1. 木の薄板(厚さ5mm、幅3cm程度)長さ60cmと30cm 各1枚
2. ブックエンド 1組(2個)
3. ゼムクリップ 2個
4. ストロー 1本
・セロハンテープ
・本などの重し

実験で使用した材料の詳細

・木の薄板:東急ハンズ ヒノキ 5×30×900(30cmと60cmに切断)
・ブックエンド:大創産業 ブックスタンド カラー大
・ゼムクリップ:アスクル ゼムクリップ 29mm大
・ストロー:大創産業 ストレートカラーストロー

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    ゼムクリップ2個を図①のように広げ、ブックエンドにテープで固定します。

  • 2

    2つのブックエンドが一直線になるようにならべ、本などの重しをのせます。

  • 3

    ゼムクリップの上にストローを置き、ストローが動かないように手で押さえながら2枚の板を少し傾けてセットします。

  • 4

    ストローを押さえている手をはなし、板の倒れる早さを観察します。

実験を成功させるコツとヒント

・長い板と短い板が同時に倒れ始めることが重要です。そのため、1つの動作で両方の板が確実に倒れるようにしてください。
・角材や丸い棒でも実験は可能ですが、セットした状態が安定しないので、少し幅のある板材をおすすめします。また、バルサ材のように極端に軽いものは、空気抵抗の影響を強く受けるので適しません。

重心の位置で速さを変えるメトロノーム

カチッ、カチッとアームが振れて一定のテンポを刻むメトロノームは、オモリを上下することによって自由にテンポを変えることができます。メトロノームのアームには、見えない下の部分にもうひとつ固定されたオモリがついています。2つのオモリの組み合わせで振り子の周期を変化させるしくみです。上のオモリを動かすと重心の位置が変わり、振り子の長さを変えるのと同じ効果が生まれます。

長い棒はバランスをとりやすい?

手や頭の上に長い棒や道具をのせてバランスをとる大道芸があります。長い棒と短い棒では、一見長い方が難しそうに見えますが、実際はその反対。倒れるまでの時間は長い棒の方が長く、バランスをとる時間があるわけです。また、長い棒の方が重いので、慣性がはたらいて動きにくいという利点もあります。長い棒と短い棒で実際に試してみましょう。

振り子の周期を決める「慣性モーメント」

長い振り子の方が周期が長くなる(長い棒の方が倒れにくい)のは、どんな理由によるのでしょう?この問題を理解するのに必要な考え方が「慣性モーメント」です。慣性モーメントは、物体の「回転しにくさ」をあらわしています。たとえば、オモリを付けたコマを考えてみましょう。同じ重さでも、コマのへりにオモリを付けた方が軸の部分に付けた場合より回しにくくなりますね。慣性モーメントは、回転軸までの距離が長くなるほど大きくなります。振り子の動きも支点を軸とした回転運動の一種なので、長い振り子は短い振り子より振れにくく、周期が長くなるのです。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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