試してフシギ

マグヌス効果シュートはどっちに飛んでいく?(No.176)

シュートはどっちに飛んでいく? シュートはどっちに飛んでいく?

実験監修:東海大学教育開発研究所教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

右向きに曲がった管から球を飛ばします。
さて、この球はどの方向に飛んで行くでしょうか?
A.左  B.まっすぐ  C.右
正解はA。球は管の曲がりに沿って飛び出しますが、すぐ左方向にカーブします。なぜ飛び出す方向とは逆にカーブするのでしょう?

そうなんだ!

球は曲がった管の中を通るとき、曲がりの外周に接しながら転がります。右曲がりの管の場合、球は左側の壁に接するため左向きに回転します。左回転しながら飛び出した球は、まわりの空気を巻き込んで、右ななめ後ろに空気を送り出します。この反作用で球が左ななめ前に押し出されるため、左方向にカーブするのです。
回転する物体が、気体や液体の中で、このような一定の力を受けることを、「マグヌス効果」といいます。

1. ビニールチューブ (内径15mm) 長さ約200mm
2. 発泡スチロールの球 (直径12mm) 2~3個

実験で使用した材料の詳細

・ビニールチューブ:三洋化成 K透明ホース 15×18
・球:発泡スチロール球 径12ミリ(50個入)

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    ビニールチューブを曲げて、カーブのくせをつけます。 曲がりにくいときは、ぬるま湯などであたためながら曲げてみてください。

  • 2

    発泡スチロールの球をチューブの手前側に入れて勢いよく吹き飛ばします。 チューブの向きを変えるなどして、球の軌跡を観察しましょう。

実験を成功させるコツとヒント

・ビニールチューブと球の大きさは、チューブの中で球が自由に動く組み合わせであれば、「準備するもの」で表示している大きさでなくてもかまいません。
・発泡スチロール球が入手しにくい場合は、かたまりの発泡スチロールを球形に削って自作したものでも代用できます。その場合は、硬めの発泡スチロールを使ってください。

変化球の秘密はマグヌス効果

野球やサッカーで大きな威力を発揮する変化球。球の向きが変化するのは、球の回転が原因です。つまりマグヌス効果によるものです。右に曲げたいときは右向きに、左に曲げたいときは左向きに回転を与えればいいのです。回転が強いほど変化も大きくなります。

浮き上がる剛速球と落ちる魔球

直球や落ちる球は一見マグヌス効果と関係なさそうですが、実はこれらもマグヌス効果を利用しています。直球は、前から後ろに向かう縦方向の回転をしています。そのため、上向きの力を受けて浮き上がるように見えます。一方、球に回転を与えないで飛ばすと、マグヌス効果が働かないので、重力に引っぱられてストンと落ちるように感じるのです。

マグヌス効果で風車や船を動かす

気体や液体が流れている中で筒を回転させると、回転する球と同様にマグヌス効果が働きます。このしくみを利用して、さまざまなものを動かそうという試みが行われてきました。20世紀の初めには、回転する太いマストで風を受け、帆船のように走る船(ローター船)が実際に作られて、大西洋を横断したという記録が残っています。風車や潜水艦、回転する円筒形の翼で飛ぶ飛行機というアイデアもありました。しかし、当時の技術では効率が悪く、実用化には至らなかったようです。 近年になって、構造や回転の制御を工夫することでエネルギー効率を高める研究がすすみ、2007年に風力発電用のマグヌス風車が日本で実用化されました。この風車は、羽根のかわりに回転する円筒が風を受けて回り、発電機を動かします。通常の風車と比べるとゆっくりとした回転で大きな力を生み出し、騒音も小さいというメリットがあります。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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