試してフシギ

電流と磁力響け!葉っぱのスピーカー(No.174)

響け!葉っぱのスピーカー 響け!葉っぱのスピーカー

実験監修:東海大学教育開発研究所教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

落ち葉の上に、小さなコイルと磁石がのっています。コイルに音楽プレーヤーをつなぐと、落ち葉からメロディーが聞こえてきました。葉っぱのスピーカーができたようですね。

そうなんだ!

スピーカーは電気信号を空気の振動に変換して音を出すもので、振動板、コイル、磁石からできています。この実験では、落ち葉が振動板の役割を果たします。
音楽プレーヤーからの音の電気信号(電流)をコイルに流すと磁力が発生します。電流が変化すると、それにあわせて磁力も変化するので、コイルが磁石に反発したり、引き合ったりして振動します。コイルに接している落ち葉も振動し、空気をふるわせて音が出るのです。

1. 落ち葉(よく乾燥した大きめのもの)
2. ミニプラグ付きビニールコード(イヤホンなど)約3m
3. ネオジム磁石(直径約13mm、厚さ約2.5mm)2個
4. クリップ付きリード線2本
5. オーディオ機器(音楽プレーヤー、ラジオなど)
6. 箱(落ち葉よりひとまわり小さいもの)

・セロハンテープ
・はさみかカッターナイフ
・はさみ
・筒状のもの(磁石の直径と同じくらいの大きさのもの)
・ライター

実験で使用した材料の詳細

・落ち葉:タイサンボク
・イヤホン:大創産業 ステレオヘッドホン3m黒
・ネオジム磁石:大創産業 超強力マグネット(4コ入)
・リード線:ELPA シールドクリップキット・小 PU-13NH
・オーディオ機器:Apple i Phone(3G)
・木箱:大創産業 焼桐浅型トレー

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    ビニールコードをプラグとコードの部分に切り分けます。イヤホンなどのコードを使うのは、細い導線で軽いコイルを作るためです。

  • 2

    コードのビニールに切れ目を入れ、導線1本をゆっくり引いて全部取り出します。

  • 3

    ②の導線を、ネオジム磁石の直径と同じくらいの大きさの筒に巻きつけてコイルにします。導線の両端は5cmほど残して、ほどけないようにテープで固定します。

  • 4

    ①のプラグのコードも、先端のビニールをはがして導線をむきだしにします。プラグとコイルの導線の先端(計4カ所)を火で軽くあぶります。冷めてから指でこすって皮膜を取り除きます。

  • 5

    落ち葉の真ん中あたりにコイルをテープで固定します。コイルの中心にかぶさるテープをくぼませて、磁石2個を重ねて置き、箱の上に乗せます。

  • 6

    オーディオ機器のイヤホンジャックにプラグを差し込み、リード線でコイルと接続します。オーディオ機器を再生すると、落ち葉から音が聞こえてきます。

    ※オーディオ機器に負担がかかるため、連続再生は短時間(5分以内)にしてください。

実験を成功させるコツとヒント

・コイルをなるべく軽くするために、導線の材料には入手しやすいイヤホンコードの芯線を使いました。0.2mm以下のエナメル線やホルマル線が入手できる場合は、それらを使ってもかまいません。。
・コイルの巻数は50回程度が適当です。(3mのイヤホンコードを使い、13mmの磁石の直径と同じ太さで巻くと、ちょうど50回くらい巻けます。)巻数が少なすぎても、多すぎても音が出にくくなります。
・落ち葉はよく乾燥して、厚みのある大きめのものが適しています。実験ではタイサンボクの葉を使いましたが、柿やプラタナス、ホオノキの葉

どんな音が出るか、いろいろためしてみよう

落ち葉の大きさや種類を変えたり、緑の葉や紙を使ったりすると音はどうなるでしょう? 落ち葉は空気を振動させる役割(振動板)なので、ある程度のかたさを持っているシート状のものなら、ほとんどのものから音が出ます。材料によって音の大きさや音色が変わるので、聞き比べてみましょう。一般的なスピーカーの振動板には、「コーン紙」と呼ばれる丈夫な紙が使われています。

スピーカーとマイクの関係は?

電気信号を音に変えるのがスピーカー。反対に、音を電気信号に変えるのがマイクです。どちらも電流と磁力の関係を利用しているので、基本的な構造は同じです。葉っぱのスピーカーで実験してみましょう。ICレコーダーなどの録音機器を用意し、コイルにつないだイヤホンのプラグをマイク端子にさしこみます。スイッチを録音状態にし、落ち葉に向かってしゃべってみましょう。ちゃんと録音できますよ。

コイルと磁石とフレミングの法則

スピーカーとマイクの関係でもわかるように、電気と磁気はお互いに影響し合い、磁界の中で電流を流すとコイルが動き、コイルを動かすと電流が発生します。この現象をわかりやすく表現したのが、イギリスの物理学者ジョン・フレミングです。フレミングは手の指を使って、電流と磁界とコイルにかかる力(ローレンツ力)の向きを表しました。フレミングの法則には右手の法則と左手の法則がありますが、スピーカーが音を出す原理は左手の法則で表されます。(No.144「あき缶を転がすのはどんな力?」参照) また、右手の法則は電磁誘導による電流の方向を表していて、マイクや発電機の原理を説明するときに使われます。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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