なんでだろう?
水を入れたアルミカップに小さな氷のかけらを落とすと、水がパッと凍りました。他のカップにも氷のかけらを落とすと、次々に水が氷に変わっていきます。まるで氷の花を咲かせているようですね。なぜ、氷を入れると急に水が凍ったのでしょう?
そうなんだ!
アルミカップの中の水は、過冷却といわれる状態になっていました。水は、ふつう0℃以下になると凍りますが、静かに冷やしていくとマイナス10℃以下になっても凍らないことがあります。これが過冷却です。過冷却の水に、氷のかけらや強い衝撃などの「凍るきっかけ」を与えると、たちまち氷に変わります。この実験では、複数のアルミカップを同時に冷やし、その中の1つ(写真のA)が凍ったのを見計らって他のカップに氷を落としました。カップの1つが自然に凍ったことで、残りのカップの水が過冷却になっていると推測できるからです。
1.チョコレート用アルミカップ(底径 2.4cm、深さ1.5cm) 8個
2.プラスチック容器(弁当箱くらいの大きさ。あればふたつき)
3.氷 約100g(冷蔵庫の角氷)
4.厚手のポリ袋
5.塩 約20g(大さじ1杯強)
6.ピンセット
・金づち
・はかり
・計量スプーン
・水(水道水でよい)
実験で使用した材料の詳細
・アルミカップ:大創産業 チョコホイルカップ・丸A(9枚入)
・プラスチック容器:大創産業 ランチBOX 大(3セット入)
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
氷をポリ袋に入れ、金づちで細かくくだきます。
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2
くだいた氷をプラスチック容器に入れます。
氷に塩をふりかけ、かき混ぜます。 -
3
プラスチック容器と台の間に容器のふたなどを置いて空気の層をつくります。
下からの熱を伝わりにくくするためです。 -
4
アルミカップを2枚重ねにしたものを4組用意し、それぞれに水を2~3ml(小さじ半分)入れます。
※水は精製水などではなく、水道水でかまいません。 -
5
②の氷に4カ所のくぼみをつくり、アルミカップを水平に置きます。
※アルミカップのまわりに均等に氷があたるようにします。 -
6
そのまま5~10分観察して、アルミカップの一つが凍ったら、残りのカップの水に小さな氷のかけらを入れます。
すると、たちまち水が氷に変化します。
実験を成功させるコツとヒント
・気温などの影響で、塩を混ぜた氷がちょうどよい温度にならない場合があります。カップの水がすぐに凍ってしまう場合は温度が低すぎるので、塩の量を減らして実験してみましょう。また、10分以上たっても凍らない場合は温度が高すぎるので、氷と塩の量を増やして試してみましょう。温度計で氷の温度が測定できる場合は、マイナス5℃~マイナス10℃が適温の目安です。
・実験に使う水は精製水などの特別なものを用意する必要はなく、普通の水道水でかまいません。また、色をつけた水や、糖分や塩分、炭酸などが含まれている水は通常より凍りにくくなります。
氷に塩を入れるとなぜ冷える?
氷に塩を混ぜると元の氷よりも冷たくなります。この実験ではマイナス10℃くらいになりました。どうしてそんなことが起こるのでしょう? 秘密は「溶ける」ことにあります。氷だけでなく、固体が溶けて液体になるときには、まわりから熱を奪います。氷に塩を混ぜると、塩のはたらきで氷が溶けやすくなるとともに、塩が水に溶けるときにも熱を奪うのでいっそう温度が下がります。
氷の種をまいて雨を降らせる
雲はとても小さな水滴(雲粒)の集まりです。雲が雨になるためには、雲粒がいちど凍って、まわりの雲粒をくっつけて大きくなる必要があります。ところが、気温が0℃以下の高い空の上でも水はなかなか凍らず、過冷却状態のままです。そこで、雲粒が凍るきっかけを人工的につくりだそうというのが人工降雨。水不足に悩む世界の各国で人工降雨の研究が行われています。
さまざまな人工降雨の方法と利用
人工降雨によく使われる「氷の種」は、ドライアイスやヨウ化銀という物質です。過冷却状態の雲の中にこれらの種をまいて氷の粒をつくります。飛行機を使ってまくのが一般的ですが、中にはロケットや大砲で雲の中に打ち上げる場合もあります。
人工降雨が最もよく利用されているのはアメリカ合衆国です。干ばつ対策だけでなく、スキー場に雪を降らせるたり、空港の霧を消したりするのにも利用されています。中国では、乾燥地帯の水不足を解消するために大がかりな人工降雨が実施されています。北京オリンピックの開会式では、雨雲を消すために人工降雨を利用したと言われています。日本でも、文部科学省と気象庁が2005年から本格的な人工降雨の研究をスタートさせました。自由に雨をコントロールして、水不足が解消できるようになったらいいですね。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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