試してフシギ

反磁性体トマトは磁石がキライ?(No.171)

トマトは磁石がキライ? トマトは磁石がキライ?

実験監修:東海大学教育開発研究所教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

ストローの両端にミニトマトをぶら下げ、中央を針で支えて自由に回転できるようにしました。トマトに強力な磁石を近づけると、ゆっくり磁石からはなれていきます。まるでトマトが磁石に反発しているようです。

そうなんだ!

トマトが磁石に反応して動いたのは、トマトにたっぷり含まれている水が原因です。意外ですが、水は磁石に対して反発する性質があります。このような性質を持った物質を反磁性体と呼びます。反磁性体は、磁石の磁界(磁力が及ぶ空間)の中に置かれると、磁界と逆向きの極性を持つ磁石になります。たとえば、磁石のS極を近づけると、反磁性体の磁石に近い側もS極になるので、近づけた磁石に反発するのです。水などの一般的な反磁性体の磁力はきわめて弱く、通常ではほとんど気がつきません。この実験では、複数のネオジム磁石をつなぐことで非常に強い磁界をつくり、反磁性体の磁力を高めて、その性質を目で見て確かめられるようにしました。

1.野菜や果物(小さめのミニトマトなど) 2個
2.ネオジム磁石(直径約13mm、厚さ約2.5mm) 16個
3.ストロー 1本
4.まち針(頭部が平らなもの) 1本
5.水を入れたペットボトル

・押しピン
・はさみ
・セロハンテープ

実験で使用した材料の詳細

・ネオジム磁石:大創産業 超強力マグネット(4コ入)※4セット使用
・まち針:大創産業 セルまち針(15本入)
・ストロー:大創産業 ストレートカラーストロー

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    ペットボトルのふたに、まち針の頭部をテープで固定します。

  • 2

    ストローの中央に、押しピンでまち針を通す穴を開けます。
    ※押しピンが反対側に抜けないように軽くさします。

  • 3

    ストローの両端に2カ所ずつ切り込みを入れます。

  • 4

    ミニトマトなどの小さい野菜や果物のへたを、ストローの切り込みにはさみます。

  • 5

    まち針の先に、押しピンで開けた穴を通してストローをのせます。ミニトマトの位置を動かしてバランスを調整します。

  • 6

    ネオジム磁石を16個くっつけてつなぎ、ミニトマトに近づけます。

実験を成功させるコツとヒント

・ネオジム磁石は、つないだ全体の長さが磁力に影響します。「準備するもの」に表示してある磁石と厚みが大きく異なる場合は、全体の長さが4cmくらいになるように個数を増減してください。
※ネオジム磁石が入手しにくい場合は、インターネットの通信販売などでも購入できます。
・装置を軽くして動きやすくするために、ミニトマトはなるべく小さいものを選んでください。野菜や果物を切って使う場合は、1cm角くらいが実験しやすい大きさです。

奇跡が起こる!?「モーゼ効果」

もし、実験で使ったものよりはるかに強力な磁石を水の中に入れたら、どうなると思いますか? 水は反磁性体ですから、磁石に反発して磁石から遠ざかろうとします。その結果、磁石を中心にして水が分かれて水の壁ができます。旧約聖書の、モーゼが海の水を分けて道をつくったというエピソードにちなみ、この現象は「モーゼ効果」と呼ばれています。

反磁性体にはどんなものがあるの?

反磁性体は磁石にくっつかない物質(非磁性体)の一分類です。身のまわりでは、金、銀、銅、鉛、炭素(ダイヤモンドや黒鉛)などが反磁性体です。反磁性の磁力はきわめて弱いので、ふつうは磁化すると思われていない物質、たとえば木やプラスチックも実は反磁性体に分類されます。磁石や磁力には、まだまだ不思議がありますよ。

磁性体のいろいろ

物質は磁界による影響の受け方(磁化)の違いで分類され、おもなものに強磁性体、反磁性体、常磁性体があります。強磁性体は強く磁化される鉄やニッケルなどで、一般的には磁性体と呼ばれます。反磁性体と常磁性体は弱く磁化されますが、通常では気づかない磁力なので非磁性体と呼ばれています。
常磁性体は、反磁性体と正反対の性質です。常磁性体は強力な磁石を近づけると磁界と同じ向きにごく弱く磁化され、磁石に引きよせられます。身近な物質では、磁石にくっつかないと思われているアルミニウムが常磁性体です。今回の実験装置で、ミニトマトのかわりに1円硬貨を使って常磁性体の性質を確かめることができます。ネオジム磁石を1円硬貨に接触させてからゆっくり後ろに引いてみましょう。1円硬貨が磁石にスーッとついてきます。
世の中のあらゆるものは、磁界によって何らかの影響を受けているのですね。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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