試してフシギ

重さ羽毛の重さは何グラム?(No.170)

羽毛の重さは何グラム? 羽毛の重さは何グラム?

実験監修:東海大学教育開発研究所教授 滝川洋二
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

ふわふわして、ほとんど重さを感じない羽毛にも重さはあります。しかし、ふつうのはかりにのせても重さの表示は「ゼロ」のまま動かず、量れそうにありません。どうしたら羽毛の重さを量ることができるのでしょうか。

そうなんだ!

手作りの“超精密”てんびんで量ることができます。細長い板の中心を支点にして、うまくバランスをとれば、てんびんのできあがり。てんびんの端に羽毛を置き、もう一方の端にはつり合うまでオモリを乗せます。このオモリに軽いティッシュペーパーを使うのがポイントです。普通のはかりであらかじめティッシュペーパーの重さをまとめて量り、1枚あたりの重さを計算しておきます。1枚のティッシュペーパーを100分の1に切って1片のオモリにします。ティッシュペーパーは厚さがほぼ均一なので、1片の重さは1枚の100分の1です。ティッシュペーパー1枚が0.5グラムの場合は0.005グラム単位で量ることができます。米粒や髪の毛など、身近な軽いものの重さを量ってみましょう。

1. 薄くてやわらかい板(厚さ2mm、幅2cm×長さ90cm)
2. まち針
3. ビーズ
4. コピー用紙
5. 水を入れたペットボトル
6. ティッシュペーパー
7. はかり
・セロハンテープ
・のり
・はさみ
・定規
・ピンセット
・量るもの(羽毛、米、ゴマ、髪の毛など)

実験で使用した材料の詳細

・薄板:大創産業 工作材料平板910×2×2
・まち針:大創産業 パールカラーピン
・羽根:大創産業 <おもしろ素材>天使の羽根

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    コピー用紙から4cm角の正方形2枚、高さ2~3cmの三角形2枚をつくります。

  • 2

    正方形の紙を板の端にのりではりつけ、てんびんの受け皿にします。

  • 3

    板の中心にまち針をゆっくり回しながら通します。まち針の下に三角形の紙をのりではります。

  • 4

    まち針にビーズを通します。ビーズを板とペットボトルのふたの間にはさむようにして、まち針をテープで固定します。

  • 5

    小さく切ったテープを軽い方にはって、てんびんのバランスを水平に調節します。
    ・重くなりすぎた場合は、はる位置を少しずつ中心にずらす。
    ・まだ軽い場合は、はる位置を少しずつ受け皿側にずらす。

  • 6

    板にはりつけた三角形の頂点に合わせて、もう一枚の三角形をボトルにはります。重さを量るときにつり合いを見る目印にします。

  • 7

    ティッシュペーパー10枚(2枚重ね5組)の重さをはかりで量ります。1枚を10分の1の幅に切り取り、これをさらに10等分、つまり100分の1にして、ティッシュ1片の重さを計算します。

  • 8

    片方の受け皿に量るもの(羽毛など)をのせ、反対側にオモリをのせます。てんびんがつりあったときのオモリの重さが、量るものの重さです。つりあったときのオモリの枚数から重さを計算します。
    ※オモリを半分に切れば、さらに細かい調整ができます。

実験を成功させるコツとヒント

・てんびんにする板は、なるべく薄く(2mm以下)、まち針が通るほどやわらかく、まっすぐなものを選んでください。
・てんびんのバランスは、静止した状態が保たれていれば、完全な水平でなくてもかまいません。ただし、静止した水平でない状態で、ボトルに目印をはってください。量るときは水平を目指すのではなく、板とボトルの目印が合うようにオモリを乗せてください。
・重さを量るときは、まず「量るものを」先にのせ、その後でオモリを1枚ずつのせてつり合うようにします。オモリを1枚増やすと重くなりすぎる場合は、オモリを半分に切ったもので試してみましょう。

どんなものにも重さがある

この実験で、一見重さのなさそうな羽毛にも、ちゃんと重さがあることがわかりました。ものの重さとは、その物体にはたらく重力の大きさです。地球上のものにはすべて重力がはたらいているので重さがあるのです。

大きなものは、どうして量る?

大きすぎてはかりにのらないものは、どんな方法で重さを量るのでしょうか?ゾウの体重や地球の重さは、どうしてわかるのか考えてみましょう。
ゾウの量り方は昔から話題にされていたようで、中国や日本の古典にいろいろな話として登場します。その方法とは、まず船にゾウをのせ、船の水面の位置に印をつけます。次にゾウを船からおろし、かわりに石などのオモリを船にのせていきます。ゾウがのったときと同じ位置に水面がくるまでオモリをのせると、その重さがゾウの重さです。現代ではゾウの体重計があり、動物園ではそれで量っています。
地球は動かすことも、何かにのせることもできないので、計算で重さを求めます。ニュートンの発見した万有引力の法則を使うと、地球の大きさ(半径)と地球が引っぱる力(重力加速度)がわかれば地球の重さ(質量)が計算できるのです。計算で求めた地球の重さは、ゾウ(約6トン)の1021倍(0が21個。10億倍のさらに1兆倍)というけた違いの重さです。

計量の歴史を支えた「てんびん」

てんびんはシンプルな構造でありながら、人類の歴史の中では長い間、重さを量る主役でした。紀元前5000年の古代エジプトでは、すでにてんびんが使われていたと言われています。19世紀になると「バネばかり」が使われるようになりますが、あくまでも簡易的なはかりであり、精密な計量は「てんびんばかり」が中心でした。現代では、センサー技術によって10000分の1グラムより軽いものも正確に量れる「電子てんびん」が開発され、ようやく主役の座を譲ることになりました。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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