試してフシギ

半透膜野菜の水はどこからやってきた?(No.168)

野菜の水はどこからやってきた? 野菜の水はどこからやってきた?

実験監修:東海大学教育開発研究所教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

ニンジンやナスの上部をくり抜いて、塩を詰めておきました。ひと晩おいてから観察すると、塩は溶けて水がたまっていました。この水は、一体どこからやってきたのでしょう?

そうなんだ!

野菜などの植物は、小さな細胞の集まりです。一つひとつの細胞は細胞膜という薄い膜で包まれていて、中には水分がたっぷり含まれています。この細胞膜のはたらきで、水が出てきたのです。小さな水の分子は細胞膜を自由に通れますが、大きな塩の分子は通れません。細胞膜のような性質を持った膜を「半透膜」と呼びます。野菜をくり抜いて塩を詰めると、切り口からにじんだ水分で塩が溶けて濃い塩水ができます。濃度の違う液体の間に半透膜があると、両方の濃度が等しくなるように水が移動します。そのため、細胞の中の水が細胞膜を通って、濃度の高い塩水の方に出てきたのです。

1.野菜(ニンジン、ナス、ズッキーニ、サツマイモ、ジャガイモ、ナガイモなど)
2.コップ(野菜の個数分)
3.つまようじ(野菜1個につき3本)
4.塩

・スプーン
・包丁
・まな板

実験で使用した材料の詳細

・ガラスコップ:東洋佐々木ガラス SGタンブラー

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    コップの高さより少し長めに野菜を切ります。

  • 2

    野菜の上部をスプーンで円すい形にくり抜きます。深さは約1.5cmが目安です。

  • 3

    上から約3cmの2ヵ所につまようじを刺します。

  • 4

    コップの中に野菜を入れ、野菜の切り口が水平になるように3本目のつまようじを刺します。

  • 5

    くり抜いた部分に、塩をたっぷり入れます。

  • 6

    直射日光の当たらない場所にひと晩おいて観察しましょう。サツマイモのように水分が少なそうな野菜からも水が出ています。

    ※野菜が傷んでくるので、実験は1日以上続けないでください。実験後の野菜は、水分が抜けて柔らかくなった部分を除いて料理に使えます。

実験を成功させるコツとヒント

・実験に使う野菜は、ニンジンやイモ類のようにかためのものか、ナスやズッキーニのようにやわらかくても皮がしっかりしているものが適しています。
・キュウリのように水分が多くやわらかい野菜は、すぐに水が出てしなびてしまうので、あまり適していません。また、ゴボウのように極端に水分の少ない野菜も適していません。
・野菜から出た水がこぼれないように、野菜の切り口を水平に保ってください。
・直射日光が当たる場所や気温が極端に高い部屋では、野菜が乾燥したり、しみ出た水が蒸発するので実験の効果が確認しにくくなります。
・実験で使った野菜は料理に活用できます。柔らかくなった切り口の部分を除いて、野菜炒めや味噌汁の具にしておいしくいただきました。

塩でおいしくクッキング

塩が細胞の水分を引き出すはたらきは、料理の分野で広く利用されています。野菜の「塩もみ」や「つけもの」は、このはたらきの応用です。つけものでは、長時間塩づけにすることで細胞から多くの水分が引き出されます。その結果、細胞がこわれて細胞膜が半透膜として機能しなくなり、細胞膜を通れなかった塩分や調味料が細胞の中にまで入るようになります。
また、肉や魚も細胞でできているので、身を引きしめるために塩をふってから調理する方法がよく使われます。

人間の細胞にも水がたっぷり

人間のカラダをつくっているのも細胞です。もちろん、人間の細胞にも水が多く含まれています。血液などに含まれる水と合わせると、人間のカラダの半分以上は水なのです。
くわしくは「NGKウォーターラボ」をご覧ください。

こっちの水はあ~まいぞ

塩のかわりに砂糖で実験すると、どうなるでしょう? 砂糖でも水が出てきます。半透膜は、膜の両側にある液体の濃度の違いによって水が移動するので、水に溶ける物質なら塩と同じように実験ができます。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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