試してフシギ

相互誘導響き合う2つのコイル(No.166)

響き合う2つのコイル 響き合う2つのコイル

実験監修:東海大学教育開発研究所教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

くぎに巻いたコイルとストローに巻いたコイルがあります。片方のコイルには音楽プレーヤーを、もう片方のコイルにはヘッドホンをつなぎました。音楽プレーヤーとヘッドホンはつながっていません。ところが、くぎをストローにさしこむとヘッドホンから音楽が流れてきました。

そうなんだ!

音楽プレーヤーの音は電流の変化によって伝えられます。片方のコイルに音楽プレーヤーから音の電流が流れると、電流の変化に合わせて磁力が発生します。その磁力がもう片方のコイルにはたらいて電流が発生し、ヘッドホンから音が出たのです。
電気と磁気の間には密接な関係があり、この実験のように磁力でつながった2つのコイルの間で、電流が互いに影響し合う現象を「相互誘導」と呼びます。

1.エナメル線10m(直径0.3~0.4mm) 2本
2.鉄くぎ(直径4.6mm、長さ約125mm) 1本
3.太いストロー(直径10mm、長さ約180mm) 1本
4.両端にミニプラグのついた接続ケーブル 1本
5.クリップ付きリード線 4本
6.レシーバー(ヘッドホン、イヤホン、スピーカーなど
7.オーディオ機器(音楽プレーヤー、ラジオなど)

・セロハンテープ
・紙やすり
・はさみかカッターナイフ

実験で使用した材料の詳細

・エナメル線:ELPA エナメル線(直径0.4mm、10m)PP-07NH
・鉄くぎ:八幡ねじ 丸釘(長さ125mm、太さ♯7〈4.6mm〉)
・太いストロー(タピオカストロー):大創産業 スーパービッグストロー(長さ180mm、直径約10mm)
・接続ケーブル:ソニー オーディオコード RK-G136
・リード線:ELPA シールドクリップキット・小 PU-13NH
・ヘッドホン:大創産業 オーディオ用フラットヘッドホン
・音楽プレーヤー:Apple  i Phone(3G)

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    1本のエナメル線の両端を5cmほど残して鉄くぎに巻きつけ、テープでとめます。

  • 2

    エナメル線の両端1cmほどの皮膜を紙やすりではがします。

  • 3

    ストローにも同様にエナメル線を巻いてテープでとめ、両端の皮膜をはがします。

  • 4

    2つのコイルと音楽プレーヤー、ヘッドホンをクリップ付きリード線で接続し、音を流します。

実験を成功させるコツとヒント

・コイルは10mのエナメル線すべてを使って巻いてください。巻数の目安は、くぎが約550回、ストローが約300回です。巻数を多くするほど、磁力の変化が伝わりやすくなります。整然と巻く必要はありませんが、くぎのコイルはストローに出し入れするため、部分的に太くなりすぎないよう、均等な太さになるように心がけて巻いてください。
・音源はにぎやかな音楽などが適しています。静かな曲や番組では、効果を確認しにくい場合があります。
・レシーバー側にアンプ付きのスピーカーなどをつなぐと、大きな音にして、複数の人で聞くことができます。

電気と磁気の“切っても切れない”不思議な関係

実験では、つながってない2つのコイルの間でも磁力によって電流の変化が伝わることを確かめました。では、電気と磁気の間にはどんな関係があるのでしょう?
コイルに電流を流すと磁力が発生し、コイルの周囲に磁界(磁場)ができます。流す電流を変化させると、磁界も変化します。一方、磁石などを使ってコイルの近くで磁界を変化させると、今度はコイルに電流が流れます(ファラデーの法則)。
このように、コイルをなかだちにして電気と磁気が関係し合う現象を「電磁誘導」と呼び、モーターや発電機など、さまざまなところで応用されています。今回の実験テーマの「相互誘導」は、電磁誘導を応用して、2つのコイルの間で電流の変化を伝え合うものです。

置くだけで充電できる?

充電器の上に置くだけで携帯電話や音楽プレーヤーが充電できたら便利ですね。相互誘導を利用すれば、接続しなくても2つのコイルの間で電力を伝えることができるので、一部の製品で実用化が始まっています。今後は「つながない充電」が主流になるかもしれません。

かざすだけでOKのICカード

駅の改札で「ピッ!」とタッチするだけで通れるICカード型の乗車券にも、相互誘導の原理が使われています。カードに電池は入っていませんが、コイルが埋め込まれています。磁力が発生している改札機にICカードを近づけると、カードに内蔵されたコイルから電力が発生します。この電力でICを動かしてデータ通信をしているのです。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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