試してフシギ

光のスペクトル水の簡単プリズムで虹を描く(No.162)

水の簡単プリズムで虹を描く 水の簡単プリズムで虹を描く

実験監修:東海大学教育開発研究所教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

透明な四角い容器に水を入れ、角の近くをねらって懐中電灯の光を当てると、虹が現れます。水と身近にある四角い容器で簡単にプリズムが作れました。

そうなんだ!

太陽の光を三角柱のガラスのプリズムに当てると、虹のような光の帯が現れます。これを太陽光のスペクトルとよびます。白く見える太陽の光は、実はさまざまな色の光が混ざっていて、プリズムに通すことでそれが分けられるのです。
水を入れた容器に懐中電灯の光を当てると、虹が現れるのも同じ理由です。懐中電灯の光もさまざまな色の光が混ざっています。四角い容器に入った水は、角の近くがプリズムと同じ役割をするので、懐中電灯の光を虹色のスペクトルに分けることができます。
光は、空気とガラス、空気と水のように異なる物質を通るときその境で折れ曲がります(光の屈折)。そのとき、光の色によって折れ曲がる角度が少しずつ違うので、混ざり合った光が分かれるのです。
水のプリズムで分けた虹を手鏡に受け、反射させた虹の色を見ながら鏡を少し内側に曲げる気持ちで力を加えてみてください。虹が白い光に変わります。分かれた光が集まって、元の光の色に戻ったわけです。

1.プラスチックやガラスの四角い透明な容器
2.LEDタイプの懐中電灯
※電球タイプの懐中電灯でもかまいません。LEDタイプの方がよりきれいな虹を作ることができます。
3.黒い紙
4.アルミテープ
5.プラスチックの手鏡
※プラスチックの板にアルミテープをはったものでも代用できます。

・カッターナイフ
・セロハンテープ
・水

実験で使用した材料の詳細

・懐中電灯:三菱電機 懐中電灯 CL-4601
・透明容器:SAWADA PLATEC アクリルBOX 10cm×10cm×20cm
・プラスチックの鏡:アクリルミラー 10cm×10cm
・アルミテープ:大創産業 台所用アルミテープ

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    先端部分(レンズ)を取り外します。懐中電灯の先端に取り付ける約7cmの黒い筒を作ります。黒い紙を二重に巻くなどして、光が透けないようにします。

  • 2

    アルミテープを「手順1」の筒の太さよりやや大きめの円形に切り取ります。中央部にカッターで幅1mm、長さ1.5~2cmの切れ目を入れてスリットを作り、筒の先にはりつけます。

  • 3

    懐中電灯にかぶせた筒を前後に動かして、スリットから細い光が出るように調節します。

  • 4

    透明な容器に水を入れます。上の図を参考に懐中電灯、水を入れた容器、虹を映すものの位置を大まかに決めます。

  • 5

    部屋を暗くして、懐中電灯のスリットがタテになるように持ち、水を入れた容器に光を当てます。光を当てる角度をうまく調節すると、虹が現れます。

  • 6

    プラスチックの鏡で虹を反射させて壁や天井に映します。鏡の反射する面を少しへこませるくらいの気持ちで左右から力を加えると、虹の色が集まり白い光になります。

実験を成功させるコツとヒント

・よりきれいな虹を作るには、強力なLED1灯タイプの懐中電灯が適しています。電球タイプの懐中電灯では、光が広がりやすいので虹の形が不鮮明になり、できた虹の色も赤味が強くなります。
・スリットで懐中電灯の光を細く絞ると鮮明な虹が作れますが、細すぎると光が弱くなります。「手順3」で光の絞り方を調整して、適度な幅にしてください。
・水を入れた容器と虹を映すものの距離が長いと、大きい虹になりますが不鮮明です。距離が短いと、虹は小さくなりますが鮮明です。
・虹を白い光に戻すときは、プレスチックの鏡を内側に曲げる気持ちで力を加え、目には見えないほどわずかに変形させて凹面鏡にします。

虹を作る自然のプリズム

大空にかかる虹も、水がプリズムの役割をしています。雨上がりの空には細かな水滴が数多く残っています。そこに太陽の光が差し込むと、水滴で屈折して虹色のスペクトルに分けられます。現在の日本では虹の色は7色とされていますが、実際は連続した光の帯なので、時代や地域により色のとらえ方や表現は異なります。
例えばアメリカやイギリスでは6色、ドイツでは5色ととらえる場合があります。日本でも古くは5色とされていました。実は、虹が7色であるとはっきり規定したのは、アイザック・ニュートンです。それ以降、科学や教育の分野では「7色の虹」が定着しました。

夕焼け空はなぜ赤い?

地球のまわりには大気の層があります。夕方になると太陽の光は横から差して、大気の層を長い距離進みます。太陽の光の中で、紫や青の光は空気の分子にぶつかってじゃまされやすいので、夕方になると遠くまで届きません。一方、赤い光は長い距離を進みやすく遠くまで届くので、夕焼けは赤く見えるのです。

ダイヤモンドの美しさの秘密

ダイヤモンドはガラスや水に比べると、大きく光を屈折させる性質があります。そのため、外から入った光が内部で反射して戻ってきやすくなります。ブリリアント・カットとよばれる削り方では、上から入った光はほとんど底面で反射されて戻ってきます。しかも、その際にプリズムの原理で、白い光がさまざまな色の光に分けられるので、キラキラと美しく輝いて見えるのです。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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