なんでだろう?
紙などの薄くて軽いものを飛ばそうとすると、ヒラヒラしてうまく飛びません。ところが、オモリをつけると、まるで紙飛行機のようになめらかに飛ぶようになります。
そうなんだ!
オモリをつけた薄くて軽い紙や板がなめらかに飛ぶのは、「滑空」という現象です。紙のように面積が広く軽い物体を飛ばすと、空気の抵抗を強く受けます。そのとき、じゃまな空気を逃がそうと、前後左右に不安定に動くのが“ヒラヒラ”の原因です。紙や板を正方形に切って1つの角にオモリをつけると、重心が中央からオモリの方へ移動して傾きます。すると、空気の逃げる向きが一方向になって安定した飛び方になります。飛び方が安定すると、物体の位置エネルギーが常に一定の割合で運動エネルギーに変わるので、ゆっくり降下しながら遠くまで滑空します。
1.チラシ(10cm×10cm)
2.画用紙(25cm×25cm)
3.発泡スチロールの薄い板(45cm×45cm程度)
4.ビニールテープ
5.クリップ 数個
6.洗濯ばさみ
実験で使用した材料の詳細
・発泡スチロール板:発泡スチロール角板45cm×45cm×1cm
・クリップ:ゼムクリップ超特大(50mm)・大(27mm)、ダブルクリップ大(幅32mm)・小(幅19mm)
・洗濯ばさみ:強力Wバネ竿ピンチ
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
オモリにするビニールテープを正方形に切り、まず3枚をチラシの一角に重ねてはります。
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2
オモリの反対側を持って高いところから手をはなし、飛び方を確かめます。軽すぎると上昇してから急に落ちます。重すぎるとストンと落ちます。テープの枚数を調節して、ちょうどいい重さになると、遠くまで飛びます。
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3
25cm角の画用紙でも試してみましょう。画用紙の角にクリップをつけ、手順2と同じように重さを調節して飛ばします。
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4
発泡スチロールの板で同じように試すと、より遠くまで飛びます。安全な広い場所で飛ばしてみましょう。
実験を成功させるコツとヒント
・紙で実験するときは、コシのあるかための紙を選ぶと、薄くてもうまく飛ばせます。やわらかすぎると、変形してうまく飛びません。
・飛ばすときは、紙や発泡スチロールを水平に持って、軽く押し出すように手をはなしてください。強く投げると、きれいに滑空しません。
グライダーはなぜ飛ぶ?
グライダーにはエンジンなどの推進機関がありません。その代わりに、軽い機体と面積の大きな翼を持ち、うまく滑空できる構造になっています。最初は小型の飛行機などに引っ張ってもらって上空にのぼり、その後は滑空しながら飛行します。途中で上昇気流に乗ると、さらに長く飛び続けることができます。
滑空動物のヒミツ
ムササビやモモンガは鳥のような翼を持たないのに、なぜ空を飛べるのでしょう? そのヒミツは前脚と後脚の間などにある「飛膜(ひまく)」と呼ばれる部分にあります。空中に飛び出すと飛膜を伸ばして帆を張ったような形になり、グライダーのように滑空することができるのです。
タネを滑空させる植物
東南アジアの熱帯雨林に生育するハネフクベという植物は、三日月形の翼を持つタネを作ります。15cmほどの翼は薄い膜でできていて、その中央の先端部分に2~3cmのだ円形をしたタネの本体があります。ハネフクベは高い木にからみついて成長し、数十mの高さからタネを放出。タネの本体がオモリになり、翼で風を受けてグライダーのように滑空します。20世紀初めに使われたエトリッヒ・タウベ型飛行機は、ハネフクベのタネを参考にして設計されたと言われています。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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