なんでだろう?
竹ぐしをアルミホイルで包み、しっかり蒸し焼きにすると、かたい炭になります。炭になった竹ぐしに電流を流すと、なんと光りました。
そうなんだ!
炭になった竹ぐしが光るのは、電気を熱に変えて光らせる白熱電球のフィラメントと同じはたらきをしているからです。竹は、炭素・水素・酸素からなる炭水化物が主な成分なので空気に触れないようにして加熱すると、炭素だけが残って炭になります。その炭をさらに加熱し続けると、炭素が結晶化して電気をよく通す黒鉛(グラファイト)になります。そこに電流を流すと電気抵抗のために発熱し、高温になり、光り始めるのです。発明王エジソンの白熱電球にも京都の竹で作ったフィラメントが使われたのは有名な話です。
1. 竹ぐし 3本
2. アルミホイル
3. 単一乾電池 6本
4. ネオジム磁石 7個(アルミで包んだ小さなフェライト磁石でもよい)
5. 割りばし
6. リード線
7. ピンセット(小型のトングでもよい)
8. ガスコンロ
実験で使用した材料の詳細
・竹ぐし:竹串15cm
・ネオジム磁石:大創産業 強力マグネット(ピン型クリア)の磁石部分
・リード線:ELPA PU-13NH(シールドクリップキット・小)
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
・熱くなったガスコンロやフィラメントに手を触れないよう、十分注意してください。
-
1
竹ぐしをアルミホイルで包みます。
-
2
竹ぐしのとがった方を持ち、反対側のはし5~10cmくらいをガスコンロの火にかざして蒸し焼きにします。はじめは激しく燃えますが、やがて炎や煙が出なくなります。
真っ赤になってから1分以上加熱し続けます。 -
3
十分に冷ましてから慎重にアルミをはがします。炭になった竹ぐしを取り出し、机などに軽く落として金属音がすれば、フィラメントの完成です。
2~3cmの長さのものをいくつか用意します。 -
4
割りばしにアルミを巻いて、フィラメントを置く電極を2本作ります。
-
5
乾電池を直列につなぎます。磁石を使うと、電池ボックスがいらず簡単です。
-
6
割りばしの電極と電池をリード線でつなぎます。
-
7
電極にフィラメントを置き、その両はしを竹ぐしで押さえます。フィラメントがだんだん赤くなり、明るく光ります。しばらくすると燃えつきます。
実験を成功させるコツとヒント
・竹ぐしを蒸し焼きにするときは、竹ぐしが空気にふれないように、しっかり空気を追い出しながらアルミホイルを密着させて巻いてください。
・竹ぐしは炎や煙が出なくなるまで十分に加熱してください。加熱が不十分な場合は黒鉛(こくえん)に変化しないので、電気抵抗が大きすぎてフィラメントには使えません。
・黒鉛に変化したかどうかは、机などに軽く落として音を聞いて確かめます。金属音がすれば成功です。テスターがある場合は、抵抗値が100Ω (オーム)以下になっていることを確認してください。
・乾電池は必ず単一を使用してください。6本でうまくいかない場合は、乾電池をもう1本追加すると成功する場合があります。
・炭になった竹ぐしは壊れやすいので、慎重に取り扱ってください。うどんなどの乾めんで実験する場合は、竹ぐしよりもさらに壊れやすいので注意してください。
日本の竹で作ったエジソン電球
トーマス・エジソンは丈夫で長持ちするフィラメントを作るために、世界中から何千種類もの材料を取り寄せて試したといわれています。その中で日本の京都の竹をフィラメントの材料に使って、実用的な白熱電球を完成させました。炭水化物をふくむ身近なものでフィラメントを作ってエジソンに挑戦してみましょう。うどんやスパゲティなどでも成功するかもしれません。
もっと効率のいいエコな照明へ
実験でもわかるように、白熱電球のフィラメントは電気を流すと光とともに多くの熱を出します。一般的な白熱電球では、消費する電気エネルギーの10%ほどしか光にならず、残りは熱としてムダにされています。そのため、エコロジーの観点から、白熱電球よりはるかに効率の良い蛍光灯やLED電球に切り換える動きが、世界的に広がっています。人類に安全で手軽な照明をプレゼントしてくれた白熱電球も、その歴史的役割を終えようとしています。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
NGKサイエンスサイトは日本ガイシが運営しています。ご利用に当たっては、日本ガイシの「プライバシーポリシー」と「ご利用条件•ご注意」をご覧ください。
本サイトのコンテンツ利用に関しては、本サイトお問い合わせ先までご相談ください。