なんでだろう?
いろいろな素材でできた台の上に、マンモスの模型をとじこめた氷を置きました。同じ大きさの氷なのに、みるみるとけるものと、あまりとけないものがあります。
そうなんだ!
氷を置いて10分ほどすると、アルミニウムの上の氷はかなりとけているのに、紙の上の氷は少ししかとけていません。氷のとけやすさを比べると、アルミ・ステンレス・ガラス・紙の順になります。氷を置いた素材によってとける速さが違うのは、物質ごとに熱の伝わりやすさ(熱伝導率)が違うからです。温度の違うものが接すると、温度の高い方から低い方に熱が伝わります。熱伝導率の高いアルミは氷にどんどん熱を伝えるので、上の氷が早くとけます。一方、熱伝導率の低い紙はあまり熱を伝えないので、氷がなかなかとけません。金属は一般的に熱を伝えやすく、アルミの熱伝導率は紙の4000倍もあります。
1. アルミニウム製品
(卵焼き器、フライパン、鍋など)
2. ステンレス製品
(バットやトレー)
3. ガラス製品
(皿やボウル)
4. 紙
(チラシ、新聞紙、厚紙など)
5. 製氷皿でつくった氷
実験で使用した材料の詳細
・マンモスのフィギュア:マンモスフィギアカプセル
・製氷皿:製氷皿ビッグキューブ5個取
・アルミニウム:アルミ板3.0×100×100
・ステンレス:ステンレス板3.0×100×100
・ガラス:ガラス板3.0×100×100
・紙:EDCブロックメモホワイト
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
家庭にある身近なもので実験してみましょう。
製氷皿でつくった同じ大きさの氷をアルミ、ステンレス、ガラス、紙の上に同時に置きます。
※チラシや新聞紙のように、うすい紙を使う場合は2~3回折りたたみます。 -
2
それぞれの氷のとけ方を観察します。一定の時間ごとに写真をとっておくと、後でとけ方を比べるのに便利です。
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3
プラスチック、発泡スチロール、木、陶器など、身の回りのいろいろなものでも、とけ方を比べてみましょう。
※水でぬれてもよい場所で実験しましょう。
実験を成功させるコツとヒント
・氷を乗せる台は、なるべく同じくらいの大きさのものを選んでください。大きさや厚さが異なると、とけ方の違いが正しく比べられません。
・金属やガラスの板を台にする場合、板が小さいと、とけ方の差が目立ちにくくなります。小さめの氷を使うか、板を何枚も積み重ねて台の質量を増やしてください。
・写真のマンモスのように何か入れて凍らせる場合は、台に接する部分の氷を厚く均一にしてください。とける途中で、入れた物が台に当たって氷が浮いてしまうと、正しく比較できないからです。
・氷がとけてたまった水は、時々吸い取ってください。水が多くたまると、氷のとけ方に影響が出ます。
銅鍋で名シェフになる?
プロ用の調理器具には銅が多く使われます。銅は金属の中では銀の次に熱伝導率が高いので、素早い加熱や微妙な火加減に適しています。しかし銅は高価です。そこで家庭用には熱伝導率が比較的高く、値段の安いアルミがよく使われます。
とても身近な断熱材
熱を伝えにくい物質は「断熱材」として利用されます。今回の実験でもわかるように、紙は熱を伝えにくいので、紙コップなどに使われています。それでは、紙よりもっと熱伝導率が低く、身近にあって、よく利用される断熱材は何でしょう?
それは「空気」です。空気の熱伝導率は紙の半分以下、金属に比べるとわずか千分の1から1万分の1しかありません。空気は非常に優れた断熱材になるので、二重窓やダウンジャケットなどの防寒具に広く利用されています。家屋の断熱材として使われているグラスウールや発泡スチロールも、実は中に含んだ空気の断熱効果を利用しているのです。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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