試してフシギ

磁力と磁性体出動!くらしの鉄探知機(No.155)

出動!くらしの鉄探知機 出動!くらしの鉄探知機

実験監修:東海大学教育開発研究所教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

赤と青の豆電球がついたプラスチックケースがあります。鉄製の家具に近づけると、それまで光っていた青が消えて赤が点灯しました。ところが、アルミや銅製品に近づけても豆電球は変化しません。

そうなんだ!

プラスチックケースの中には、鉄に反応する鉄センサーが入っています。このセンサーがスイッチを動かして、赤や青の豆電球を光らせているのです。鉄センサーの正体は磁石。ただし、よく見かける黒い磁石(フェライト磁石)ではなく、小さくても磁力が強いネオジム磁石です。間にプラスチックや厚紙をはさんでも、その磁力は強力にはたらきます。ケースを鉄に近づけると、磁石を取り付けたスイッチがプラスチックをはさんで引き寄せられ、豆電球の回路が切り替わる仕組みです。磁石にくっつくのは鉄やニッケル、コバルトとその合金で「磁性体」と呼ばれます。身のまわりの磁性体のほとんどが鉄とその合金です。この「鉄探知器」を使って、くらしの中で鉄や鉄の仲間がどこに使われているか調べてみましょう。

1. ネオジム磁石 2個 (直径5mm、厚さ2~3mm程度のもの)
ネオジム磁石は模型材料店などにあります。市販の「強力マグネット」などから取り出すことも可能ですが、必ず大人にやってもらいましょう。フェライト磁石は磁力が弱いので、この実験には使えません。
2. 中が見えるプラスチックケース(ペンケースなど)
16cm×6cm以上の大きさで、厚さが3cm程度。広い面が平らで、ふたが本体につながっているもの。
3. 電球ソケット 2個
4. 色付き豆電球 (赤・青)各1個
5. アルミホイル(アルミテープでもよい)
6. 単3乾電池 2本
7. 電池スナップをつけた乾電池ホルダー
8. ビニタイ(針金入りビニールひも)

・セロハンテープ
・瞬間接着剤
・キリ
・はさみ
・カッターナイフ

実験で使用した材料の詳細

・ネオジム磁石:ボタンタイプ プッシュオンマグネット(一個から2個採取)
・プラスチックケース:スリップオン ペンケース(S)クリア
・電球ソケット:山田電器小型ソケットリード線付きE10セパC
・豆電球:山田電器2.5V(青/赤)
・ホルダー:UM3×2 A301
・電池スナップ:電池スナップ006P1
・ビニタイ:共和 ビニタイ

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
・器具の取扱には十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・ネオジム磁石は磁力が非常に強いため、刃物などの磁性体を強力に引き寄せます。
刃物類を十分に遠ざけ、磁石で指などをはさんだりしないよう注意してください。
また、磁気カードなどの記録媒体やペースメーカーなどの電子医療機器には近づけないでください。

  • ケースの加工

    ケースの底側の側面に、電球ソケットを固定する穴をあけます。

  • 2

    リード線の調整

    電球ソケット(2個とも)のリード線を5cmと20cmに切って、先端のビニールをむきます。

  • 3

    豆電球の固定

    リード線をケースの穴に通してから、ソケットとケースを接着剤で固定します。豆電球をソケットに取り付けます。

  • 4

    スイッチの加工

    ビニタイのビニールを、一部を残してはがします。図のように針金を折り曲げてスイッチを作ります。

  • 5

    磁石の取り付け

    スイッチ(A)の部分を2つのネオジム磁石ではさみます。(磁石が横向きにならないように注意)

  • 6

    スイッチの取り付け

    上図の配置になるよう、アルミホイルとスイッチをテープで固定します。ケースを閉じたとき、(A)の磁石が下から2~3mm浮いた状態で、(B)が上のアルミに接触するよう針金を調整します。さらにケースの下面を鉄に近づけて(A)を下のアルミと接触させたとき、(B)が上のアルミから離れるように調整します。

  • 7

    回路の接続

    上のアルミには青い豆電球の短いリード線を、下のアルミには赤い豆電球の短いリード線をテープで固定します。豆電球の長いリード線2本を乾電池ホルダーの「+」側に、スイッチの端を「-」側につなぎます。(アルミとスイッチとの接点にテープがかからないよう注意しましょう)

  • 8

    鉄探知機の完成

    乾電池をセットしてホルダーをテープなどで固定し、ケースを閉じたら完成です。センサーを固定した下面を使います。通常は青の豆電球が点灯し、鉄に近づけると赤に変わります。(ケースを開けると電源が切れます。使わないときは電池を取り外しましょう)

実験を成功させるコツとヒント

・ネオジム磁石は適切な大きさのものを使用してください。大きいと磁力が強すぎてあつかいにくく、鉄に反応するたびにスイッチの調整が必要になります。
・プラスチックケースは「ふた側」に凹凸が無く、平らなものを使ってください。
・電球ソケットのリード線は、鉛筆などに巻き付けてカールさせておくと、ケースを開閉するときにじゃまになりません。

身のまわりの磁性体を調べよう

たとえば、スチール缶(かん)は磁性体ですが、アルミ缶はどうでしょう。いろいろな金属に鉄探知器を近づけて、磁性体を探してみましょう。また、磁性体と思っていたのに磁石にくっつかない金属は何か調べてみましょう。鉄、ニッケル、コバルトを含む合金でも、一部のステンレスや100円硬貨など、磁石にくっつかないものもありますよ。
ステンレスは鉄とクロム・ニッケルなどの合金です。いろいろな種類があり、成分の割合などによって磁石にくっつくものとそうでないものがあります。100円硬貨や50円硬貨は白銅(はくどう)という銅とニッケルの合金ですが、磁性体ではありません。

超強力!ネオジム磁石

磁石はさまざまなところで利用されています。その中でも最近、特に活躍の場が広がっているのがネオジム磁石。鉄・ネオジム・ホウ素などから作られます。永久磁石の中では最も強力な磁力を持つので、家電製品や医療機器、ハードディスクドライブなどに幅広く利用されています。また、携帯電話などの小型化が求められる製品にも欠かせません。現代のくらしを支えるネオジム磁石は、1982年に日本で発明されました。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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