試してフシギ

風力発電ふうふう風力発電(No.153)

ふうふう風力発電 ふうふう風力発電

実験監修:東京大学教養学部特任教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

地球にやさしいエネルギーとして注目される風力発電。大きな風車や発電機がなくても、あなたの息で発電する小さな風力発電所が、なんと工作用モーターで作れるのです。

そうなんだ!

発電の原理は、磁石のつくる磁界の中でコイルを動かすと電気が起きるという電磁誘導。実際の風力発電では、風を受けた羽根が発電機のコイルを回して電気を起こします。モーターと発電機は構造が同じなので、工作用モーターの軸に羽根をつけ、息を吹いて回すと発電するはずです。ところが、息を吹く程度の風力では得られる電圧が低いので、今までは特殊な高性能モーターを使わないと発電を確かめることができませんでした。でも今回は、ごくふつうの工作用モーターでうまくできる実験を紹介します。そのヒミツは自己誘電(「もっと知りたい」参照)。羽根はアルミホイルで作り、発電はLED(発光ダイオード)で確かめます。アイデアいっぱいの小さな風力発電所を作り、あなたの息で発電してみましょう。

1. アルミホイル(25cm幅×16cm)
2. 工作用モーター(1.5Vタイプ)
3. ストロー
4. リード線(モーターにLEDを直接つなげる場合は不要)
5. 赤色LEDランプ(透明タイプ、順方向電圧1.8V程度)
赤色以外や、電球部分に色がついているもの、電圧が高いタイプは発光が確認しにくいので避けてください。

・両面テープ
・セロハンテープ
・定規

実験で使用した材料の詳細

・LED:ELEKIT LK-5RD(高輝度LED 赤色・5mm)
・モーター:ELPA HK-M130H(FA-130型 適正電圧1.5V)
・リード線:ELPA PU-13NH(シールドクリップキット・小)

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・長時間続けて実験しないでください。息を吹き続けると気分が悪くなることがあります。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • アルミホイルで羽根を作ります。定規などを使って空気を抜きながら、しっかり折り曲げていくのが上手に作るコツです。

  • 2

    工作用モーターの軸に羽根を両面テープで取りつけます。

  • 3

    LEDをモーターの端子に接続し、モーターのリード線どうしをねじってショートさせます。

  • 4

    室内を暗くして、羽根をストローで強く吹いて回すと、LEDが光ります。

実験を成功させるコツとヒント

・息で吹いても変形しないように羽根をしっかり作ります。
・LEDは電球部分が透明で赤色のタイプを使ってください。電球部分に色がついているものや赤色以外では発光が確認しにくいので避けてください。
・LEDの光は横からは見えにくいので、上から見るようにセットしてください。また、明るいところでは確認しにくいので、部屋を暗くして実験してください。
・ストローで吹くときは、正確に羽根をねらって強く吹いてください。

コイルの自己誘導

羽根を吹いただけでは電圧が低くて点灯しないLEDが、手順(3)「モーターのリード線をショートさせる」ことで点灯しました。これには、発電した電圧をさらに高くするために「自己誘導」という現象を利用しています。

自己誘導とは?

スイッチの入・切などでコイルに流れる電流(とそれによる磁場)が急に変化すると、電磁誘導により、その変化を打ち消すようにコイル自身に逆向きの電流が流れます。これが自己誘導です。自己誘導では、電流の変化が大きいほど高い電圧が発生します。

なぜLEDが光る?

羽根を吹いてモーターの軸を回転させると中のコイルも回転し、電磁誘導によってコイルの両端に電圧が生じます。ところが、この程度の低い電圧では電流が流れず、LEDを点灯させることができません。
そこで、コイルの両端につながったリード線をショートさせることで電流が流れやすい回路を作ります。コイルが回転すると回路に電流が流れ、自己誘導が起こります。その結果、コイルの両端に高い電圧が生じ、弱い風力でもLEDを点灯させることができるのです。

風力発電と自然エネルギー

自然の力を利用して発電した電力を自然エネルギーといいます。風力発電もそのひとつ。化石燃料の消費やCO2の排出を減らし、地球温暖化を防ぐクリーンな電力として注目されています。
風力のほかに、どんな自然エネルギーがあるのでしょう?

太陽光・太陽熱

地球に降りそそぐ太陽の光を直接電力に変える太陽光発電。砂漠などに設けられた大規模なメガソーラー発電所から、家庭の屋根に取り付けるものまで、さまざまな形での利用が世界中で進んでいます。
太陽光を鏡で集め、その熱で蒸気を発生させてタービンを回す太陽熱発電もあります。

地熱

火山活動などによる地下の熱(地熱)を利用して蒸気を発生させ、タービンを回して発電します。火山地帯であるアメリカのカリフォルニア州やフィリピンで多く利用されており、日本でも主に東北や九州地方に地熱発電所があります。

バイオ燃料

植物などの生物(バイオマス)の持つエネルギーを利用してつくる燃料。木くずなどからつくる固形燃料、家畜のふん尿などを発酵させたメタンガス、トウモロコシやサトウキビのしぼりカスを発酵させてつくるアルコールなどがあります。
そのまま車の燃料にしたり、発電所で燃やして電気に変えることもできます。バイオ燃料を燃やすときはCO2を出しますが、植物として成長するときにCO2を吸収しているので、トータルではCO2をほとんど増やさないといわれています。

自然エネルギーの安定供給を支えるNAS電池

クリーンなエネルギーとして期待される自然エネルギーですが、風力発電や太陽光発電は天候や時間によって発電量が大きく変化します。この不安定な自然エネルギーを安定的に供給するために、日本ガイシのNAS電池が活躍しています。大量の電力を貯蔵して、変動する自然エネルギーの出力を滑らかにします。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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