試してフシギ

空気圧空気はチカラ持ち(No.152)

空気はチカラ持ち 空気はチカラ持ち

実験監修:東京大学教養学部特任教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

“ポリ袋とストローで人間を持ち上げる”と聞いたら、信じられますか?空気のチカラをうまく利用すれば、そんなマジックのようなことが簡単にできます。

そうなんだ!

まず手はじめに、事典などの重い本を持ち上げてみましょう。ポリ袋とストローで作った実験装置の上に本をのせて息を吹き込むと、重い本がらくらく持ち上がります。なぜでしょう?
ポリ袋の内部は、中に閉じ込められた空気によって「どの場所にも等しく圧力がかかる(パスカルの原理)」ので、面積が大きいほど大きな力になります。思い本でも、それを支える面積があれば持ち上げることができるのです。さらに袋の上に板を置けば、それだけ面積も増え、持ち上がる力がパワーアップします。人の息は1cm2あたり0.1kgくらいの重さを支える圧力があるので、20リットルのポリ袋(45cm×60cmくらいの大きさ)とそれにのる板を使えば、人を持ち上げることも十分可能です。

1. ポリ袋(20リットル)
2. ストロー
3. すべり止めシート
※敷物や置物などのずれを防ぐために使う樹脂製のシート
4. 画板などの丈夫な板

・セロハンテープ
・ガムテープ

実験で使用した材料の詳細

本を持ち上げたとき
・ポリ袋
台所用透明保存ポリ袋〈中〉25cm×35cm(ダイソー)
・すべり止めシート
すべり止めマット ロングタイプ(ダイソー)

人を持ち上げた時
・画板
シナ合板製画板 4切用
・ポリ袋
KEIKO ホビーポリ20枚入り 20リットル
東京23区推奨(第05175-2号)20リットル ごみ収集袋
・すべり止めシート
株式会社七虹 なんでもピタッと止まるんです。15cm×30cm(東急ハンズ)

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・工作・実験を行う際は、必ず手順を読んでから行ってください。
・刃物や器具の取り扱いには十分注意し、ケガをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • ポリ袋の端にストローを差し込み、袋の口をセロハンテープで両側からとめて密閉します。

  • 2

    すべり止めシートをポリ袋の上下に置きます。板をのせて装置は完成です。

  • 3

    本がぐらつかないよう、ポリ袋の真ん中にのせてください。

  • 4

    ストローで息を吹き込むと、簡単に持ち上がります。お米の袋など、いろんな物をのせて実験してみましょう。
    ※持ち上げたものの落下に注意してください。

  • 5

    物がうまく持ち上がったら、いよいよ人間にチャレンジ!人を持ち上がる場合、板の片側をガムテープでしっかり固定しましょう
    ※もし落ちてけがをしないように低いテーブルか床の上で実験しましょう。

  • 6

    板の上に人を座らせて、ストローで行きを吹き込みます。うまく持ち上がらない場合は、ポリ袋と板を大きなものに替えて実験してみましょう。
    ※板で指をはさませないように注意しましょう。

実験を成功させるコツとヒント

・すべり止めシートは安全に実験するために必要です。使用しない場合は、ポリ袋の上にのせた物がすべり落ち、けがすることがあります。
※すべり止めシートは、ゴムや樹脂でできた網目状の薄いシートです。「すべり止めシート」や「すべり止めマット」の名称で家庭用品や自動車用品の売り場で扱われています。
・ストローの差し込み口は空気がもれやすいので、しっかりふさいでください。
・息つぎをするときは、ストローの穴を舌でふさぐとよいでしょう。
・人を乗せるときは不安定になりやすいので、必ず板の一辺を固定してください。

圧力の単位に名を残すパスカル

17世紀のフランスで活躍したパスカルは、科学・数学・哲学などの幅広い分野で多くの業績を残した天才でした。現在でもパスカルの原理にちなみ、圧力の単位として「パスカル(Pa)」が使われています。天気予報などでよく聞く気圧の単位「ヘクトパスカル(hPa)」は、100Paのことです。1気圧が1013hPaにあたります。

空気圧の利用

空気圧を利用したものを探してみましょう。

ドーム球場の屋根

東京ドームの屋根の総重量はなんと400t。この重さの屋根を支えているのが空気圧です。ドーム内に空気を送り込み、外よりも0.3%だけ空気圧を高くしています。例えば外の気圧が1気圧(1013hPa)の場合、ドーム内を1.003気圧(約1016hPa)にするわけです。この中と外の気圧差はマンションの1階と10階を移動する程度の違いです。だからほとんど差を感じません。気圧の差は小さくても、持ち上げる力は広い屋根の面積に比例するので、400tの重さを支えることができるのです。

移動式サッカー場

札幌ドームのサッカー場は世界初の「ホヴァリングサッカーステージ」。普段は屋外で天然芝を育成し、試合のあるときに屋内に移動させるサッカー場です。重さ8300tの巨大なサッカーステージを空気圧で7.5cm浮上させ、ドーム内に引き入れます。

エアージャッキ

今回紹介した空気圧で人を持ち上げるという原理をそのまま利用しているのはエアージャッキです。車の排ガスを袋に入れて車を押し上げます。また、エアークッションやエアーベッドも空気圧を利用して人の体重を支えています。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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