試してフシギ

骨伝導骨で聞くラジオ(No.151)

骨で聞くラジオ 骨で聞くラジオ

実験監修:東京大学教養学部特任教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

音は耳で聞くものと思っていませんか? ところが、耳をふさいでいても聞くことができるのです。

そうなんだ!

私たちがふだん聞いている音は、耳から入ってくる空気の振動です。空気を伝わる音の振動が鼓膜(こまく)をふるわせ、鼓膜の内側の内耳(ないじ)と呼ばれるところで音を感じる神経に伝えられます。もし、音の振動が内耳に直接伝われば、鼓膜を通さなくても音が聞こえるはずです。実は、自分の話し声は鼓膜からの振動と、それとは別に歯や頭がい骨から内耳に伝わる振動─骨伝導(こつでんどう)─も含まれています。骨伝導を使えば、耳をふさいでいても音を聞くことができます。ラジオなどの音声出力の電流でモーターのコイルを振動させて、骨伝導の実験をしてみましょう。モーターに割りばしをつなげて歯でかむと、ほら、ちょっと不思議なところから音楽やおしゃべりが聞こえてきますよ。

1. 両側にミニプラグのついた接続ケーブル
2. 工作用のモーター(1.5Vタイプ)
3. ラジオなどのオーディオ機器(なるべく大きな音が出るものがよい)
4. 耳せん(ティッシュペーパーを丸めたものでもよい)
5. 割りばし

・セロハンテープ
・キリ

実験で使用した材料の詳細

・オーディオ機器:ラジオ(OHM Electric RAD-F220N)、テープレコーダー(Panasonic RQ-L100)でも試しました。
・モーター:ELPA HK-M130H(FA-130型、適正電圧1.5V)
・接続ケーブル:ELECOM ステレオミニプラグケーブル 1.0m DH-MM10

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・工作・実験を行う際は、必ず手順を読んでから行ってください。
・刃物や器具の取り扱いには十分注意し、ケガをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 接続ケーブルのプラグにモーターのリード線を巻き付け、セロハンテープでしっかり固定します。

  • 2

    接続ケーブルのプラグをラジオなどのイヤホンジャックに差し込み、ボリュームを最大にします。

  • 3

    静かな部屋で耳せんをして、モーターを耳の前のほお骨に押し当ててみましょう。かすかに音楽やおしゃべりが聞こえてきます。

  • 4

    耳の後ろの骨や、もしかしたら、おでこでも聞こえるかも知れません。

  • 5

    割りばしにキリで穴をあけ、モーターの軸を差し込みます。

  • 6

    割りばしを歯でかんでみましょう。やはり、音が聞こえてきますね。

実験を成功させるコツとヒント

・使用するオーディオ機器は、なるべく大きな音が出るものを選んでください。携帯音楽プレーヤーよりは、ラジオやラジカセなどが適しています。テレビの音声は大きな電流が流れるのでより効果的です。
・音源はにぎやかな音楽などが適しています。静かな曲や番組では、効果が出にくい場合があります。
・騒音のある場所では効果が確認しにくくなります。静かなときに実施するか、しっかり耳せんをすると聞きやすくなります。
・モーターは1.5Vタイプが適しています。大型のものは効果が出にくくなります。

骨伝導の利用

日常生活の様々なシーンで、骨伝導が活躍しています。

骨伝導携帯電話

騒音の大きな工事現場や工場などでは通常の携帯電話からの声が聞き取りにくいため、骨伝導を使った携帯電話を利用することがあります。

骨伝導ヘッドホン

ほほの骨に装着する骨伝導ヘッドホンは耳をふさがないため、周りの音も聞くことができ、ウォーキングや自転車運転中などに使用しても安全です。また、水泳中に音楽を聴ける骨伝導イヤホンも発売されています。

骨伝導補聴器

歳をとって難聴気味になった人でも、骨からダイレクトに聞く骨伝導なら音を聞くことができます。補聴器や携帯電話として利用されています。

ベートーベンと骨伝導

ベートーベン(18世紀ドイツの作曲家)は20歳代後半から始まった難聴が次第に悪化し、晩年の約10年はほぼ聞こえない状態になりました。指揮棒を口にくわえてピアノに押し付け、骨伝導で音を聴くことで作曲活動を続けたと言われています。

自分の声と骨伝導

自分の声を録音し、再生して聞くと、普段の自分の声とは違う、別人の声のように聞こえることがあります。録音した声は、空気を伝わった音だけを録音・再生しているからです。自分が話すときは、空気を伝わる音と骨伝導で直接耳に伝わる音の両方を聴いているので、録音した声と異なって聞こえるのです。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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