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切っても切れない?ガラスとの関係(No31 ガラス)

監修:生物学者  福岡伸一 
※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

今回のテーマ「ガラス」のサイエンス

今や生活になくてはならないガラスですが、実はとても歴史のある素材なのです。
また、生活だけでなく科学の進歩にとっても重要なものでした。
そんなガラスの歴史や特性を紐解き、身近な素材の魅力を再発見してみましょう。

福岡ハカセのもう一言よろしいですか?

人類が、素材としてのガラスの有用性に気づいたのは1万年以上前の石器時代のことでした。最初の発見は、番組内でも紹介した黒曜石です。黒曜石は、火山の熱で二酸化ケイ素(シリカ)が熱せられてできた自然のガラス素材です。これを使ってナイフや矢じりなどの道具や武器が作られました。
日本では、北海道のオホーツク地方や長野県など限られた場所でしか採掘できませんでしたが、そこで産出された黒曜石は広い地域に分布して使われました。つまり大昔、すでに貿易や流通ルートができていたわけです。

ガラスの解説図

人工的なガラス製造は、紀元前4000年頃、古代メソポタミアで発明され、それが各地に伝わったとされます。
シリカの砂を熱することで人工的にガラスを作り出せることに気づいたのです。その後、熱したガラスを成形してゆっくり冷やす鋳造ガラスや、溶けたガラスに空気を吹き込んで薄い球体をつくる吹きガラスなどが発明されたことで、さまざまな形をしたガラス用品が生み出されたのです。

最初はコップや食器など、ついで家具やガラス窓に使われるなど用途が広がりました。さまざまな金属を溶かし込むことでステンドグラスのように色のついたガラスも作られるようになり、教会建築などを彩りました。 さらには、レンズや注射器、試薬瓶、ビーカー、フラスコなど、実験器具にも多用されるようになりました。自由自在に形を作り出すことができることに加え、透明で内部が観察でき、かつ外部環境からサンプルを守り、酸やアルカリなどの薬剤にも耐えることができるガラスは、科学の進歩にとっても、非常に重要なものでした。

ガラスを熱すると、比較的低温で形を作り変えられるのは、その構造がアモルファスというものだからです。アモルファスとは非結晶構造のことです。素材内部では、二酸化ケイ素が緩く、不規則に網目状に広がった構造とされています。いうなれば、固体と液体の中間のような構造です。このような構造は光を通しつつ、熱可塑性(熱を加えると、形を変えられる)を持ちます。

ガラスの解説図

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