試してフシギ

気柱の共鳴音で火が消える!?(No.224)

音で火が消える!? 音で火が消える!?

実験監修:東海大学特任教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

管の向こう側で音を鳴らすとロウソクの炎が揺れて消えました。

そうなんだ!

長さ1mの管の端に火をつけたロウソクを置き、反対側でスピーカーから低い音を鳴らすと、炎が大きく揺らいで消えました。まるで音が炎を吹き消したように見えます。普段、音を聞いているときに風圧を感じることはないのに、何が起こったのでしょう?
音は空気を伝わる振動の波です。管に音が伝わると、中の空気(気柱)も振動します。管の長さと音の波長が一定の関係にあると波が止まっているように見え、激しく動く部分(腹)と動かない部分(節)ができます。この現象を「気柱の共鳴」といいます。管の端は腹にあたるので、空気が激しく動いて炎が吹き消されたのです。
共鳴の起こる管の長さと音の波長には一定の規則があり、両端が開いた管では、管の長さが波長の1/2のときによく共鳴します。1mの管では、波長が2m(振動数170ヘルツ)の音に共鳴します。

※実際の音波は縦波ですが、わかりやすくするために横波で表しています。

1. 塩ビ管 1m
2. アルミホイル
3. アンプ内蔵スピーカー
4. プラスチックのコップ(大) 2個
5. ロウソク 1本
6. 170ヘルツ音源をダウンロードしたスマートフォンまたはパソコン
mp3ファイルのダウンロードはこちら
zipファイルのダウンロードはこちら
・はさみ
・高さを調節する本など
・皿などの器
・ライター

実験で使用した材料の詳細

・塩ビ管 積水化学 エスロンパイプVU 40×1000
・アルミホイル 大創産業 アルミホイル(長さ約18m×幅約25cm)
・アンプ内蔵スピーカー クリエイティブ Creative T12 Wireless SP-T12W
・プラスチックのコップ 大創産業 クリアカップ 545ml
・ロウソク 大創産業 高級ローソク 3号14本入

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    塩ビ管の一端をアルミホイルで
    内、外ともに3cm以上おおいます。

  • 2

    プラスチックのコップ2個を図のように加工し、スタンドをつくります。
    塩ビ管とスピーカーをセットし、スピーカーにスマートフォンまたはパソコンを接続します。

  • 3

    ロウソクを皿などの上に立て、溶かしたロウで固定します。

  • 4

    火のついたロウソクを塩ビ管のアルミホイルでおおった口の近くにセットします。
    炎が管の中央にくるように本などで高さを調節します。

  • 5

    ダウンロードした音源ファイルを再生します。
    ※ボリュームはできるだけ大きくしてください。
    mp3ファイルのダウンロードはこちら
    zipファイルのダウンロードはこちら

実験を成功させるコツとヒント

・管の材質は、容易に変形しないものであれば、塩ビでなくてもかまいません。
・スピーカーと管の口の間には少しすき間を空け、完全に密着させないでください。
・空気が激しく動く「腹」の位置は、多少前後する場合があります。炎があまり変化しない場合は、ロウソクを前後に動かして最適な場所を探してください。
・170ヘルツ以外の音源は、インターネットの動画サイトなどから入手可能です。

長さが変われば音が変わる。
管楽器で音が出るしくみ

共鳴を起こしている気柱からは、特定の振動数(波長)の音が出ます。気柱の長さと共鳴を起こす音の振動数の関係は決まっているので、気柱の長さを変えることで、いろいろな高さの音を出すことができます。この原理を利用しているのが、リコーダーやトロンボーンなどの管楽器です。リコーダーは、側面に開けられた穴を開閉することで気柱の長さを変えます。トロンボーンは、スライドする部品を前後に動かして気柱の長さを変えます。
家庭や学校にあるさまざまな管楽器は、どのようにして気柱の長さを変えて音を調節しているのか、調べてみましょう。

共鳴の起こる音の振動数(波長)と気柱の長さはどんな関係?

実験で使ったような両端の開いた管を開管といいます。開管では、共鳴しているときは両端が「腹」になるので、音の波長の1/2と管の長さが等しい振動数のときに、最もよく共鳴が起こります(基本振動)。また、2倍、3倍など、基本振動の整数倍の振動数のときにも両端が腹になるので、共鳴が起こります。
一方、片方が閉じた管を閉管といい、共鳴しているときは閉じた方の端が必ず「節」になります。そのため、音の波長の1/4と管の長さが等しい振動数のときに、最もよく共鳴が起こります(基本振動)。また、3倍、5倍など、基本振動の奇数倍の振動数のときにも、開いた端が腹になるので共鳴が起こります。
開管と閉管の違いは、フルートとクラリネットを比べればよくわかります。フルートは、くちびるを開口部(唄口)に当てるだけでふさぎません。それに対してクラリネットは、吹き口をくわえて完全にふさぎます。フルートは開管、クラリネットは閉管にあたるので、同じくらいの長さでもフルートは振動数が高い音、クラリネットは低い音に共鳴します。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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