なんでだろう?
ビーカーのお湯に小さな氷を落とすと、激しく沸き立ちました。冷たい氷を入れたのに、どうして沸騰したのでしょう?
そうなんだ!
水が沸騰する温度(沸点)は、1気圧では100℃とされています。
ところが、実際に水を加熱していくと、100℃になっても沸騰しないことがあります。沸騰が起こるためには、何かきっかけが必要なのです。
ふつうは、水の中にある不純物や鍋のキズなどが沸騰のきっかけになりますが、水をきれいな容器で加熱すると、沸点を超えてもなかなか沸騰しません。いわゆる過沸騰(過熱)の状態です。過沸騰の状態はとても不安定なので、ほんの少しのきっかけで沸騰を起こします。実験では、沸騰がおさまった直後の過熱したお湯に氷を入れました。
小さな氷のかけらが、再び沸騰を呼び起こすきっかけになったのですね。
1.耐熱ガラスの容器
2.氷(5mm角くらいに砕く)
3.ピンセットかスプーン
・電子レンジ
・水
実験で使用した材料の詳細
・ビーカー:PYREX ビーカー300ml
・耐熱ガラス容器:キントー 耐熱ガラス製器具FH-012
・ピンセット:兼古製作所 ステンレスピンセット
・電子レンジ:パナソニック(松下電器産業)NE-S20
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
・熱くなった容器やお湯でやけどをしないように注意してください。
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1
耐熱ガラスの容器に約7分目まで水を入れ、電子レンジでいちど沸騰させます。
※新しい容器を使うときは、突沸(右ページ『もっと知りたい』参照)が起こりやすいので、扉をゆっくり開けるなどなるべく衝撃をあたえないようにしてください。 -
2
沸騰が完全におさまってから電子レンジの扉を開け、容器の中に氷を1粒入れます。すると、再び沸騰が起こります。
実験後は、容器が十分冷めるまでさわらないでください。
実験を成功させるコツとヒント
・実験に使用する容器は、軽く洗ったものを使ってください。汚れが付着しているとうまくいかないのはもちろんのこと、新品やきれいに洗いすぎたものを使っても、突沸が起こりやすいためうまくいきません。
・氷は5mm角くらいの大きさが適当です。小さすぎると沸騰していることがよくわかりません。大きすぎると水温が下がりすぎて沸騰しなかったり、逆に激しく沸騰して熱湯がこぼれたりして危険です。
突沸に気をつけよう
過沸騰の状態から一気に沸騰することを「突沸」といいます。激しく沸き立つので、熱い液体が飛び散ったり、容器が壊れたりして危険です。鍋のお湯に塩を入れるときやカレーなどとろみのある食品を煮込むとき、電子レンジで加熱した飲み物を取り出すときや砂糖などを入れたときに突沸が起こりやすくなります。
突沸による事故を防ぐために
突沸は過沸騰状態の液体に、沸騰のきっかけとなる振動や固形物が加わったときに起こります。突沸を防ぐためには、火力を弱めにして加熱し過ぎないようにするか、あらかじめ沸騰のきっかけになるものを入れておけばいいわけです。
みそ汁やとろみのあるカレーなどの食品は加熱ムラが突沸の原因になるので、弱火でよくかき混ぜながら加熱しましょう。電子レンジで飲み物などを加熱するときは、設定時間を控えめにし、沸騰した後は2分ほど冷ましてから取り出すようにしましょう。あらかじめ飲み物に割りばしを入れておくと、割りばしの中に含まれる空気が沸騰のきっかけとなり、突沸を防ぐことができます。
沸騰石の役割
科学実験で突沸を防ぐために使われるのが「沸騰石」です。沸騰石は素焼きやガラスなどでできていて、内部に多数の細かい穴を持っています。液体に沸騰石を入れて加熱すると、沸騰石の穴から放出される気体が沸騰を促すため、突沸を防ぎます。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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