試してフシギ

過冷却注いだ水が一瞬で氷に!?(No.81)

注いだ水が一瞬で氷に!? 注いだ水が一瞬で氷に!?

実験監修:名古屋市科学館学芸員 佐伯平二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

どうしてなのかな

水がお皿の上に落ちて一瞬にして氷に変わっています。不思議ですね。水は0℃になると氷になります。でも、実験に使った水の温度は-5℃くらいに冷えていますが、氷になっていません。このような水に衝撃を与えるとたちまち氷に変わるのです。なぜでしょう?

そうかなるほど

水の分子は液体の状態では自由に動き回っています。しかし、氷の状態では決まった位置に落ち着いて結晶化しています。水が氷になるには、水の分子が「自由に動き回る状態」から「決まった位置に落ち着く状態」にならなければなりません。そのためには、氷の種となる微少な氷の結晶(氷核)が必要ですが、氷核ができるにはきっかけとなるわずかなエネルギーが必要になるのです。ところがゆっくり均一に冷やされると、このエネルギーが得られなくなり、条件によっては-10℃以下でも凍らない場合があります。物質が液体から固体に変わる温度(凝固点)以下の温度でも液体のままでいる状態を過冷却といいます。この過冷却の水に衝撃を与えたり氷のかけらを入れたりすると、一瞬にして氷に変わるのです。

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・実験を行う際は、必ず手順を読んでから行ってください。
・刃物や器具の取り扱いには十分注意し、ケガをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    500mlペットボトルに4分の3ほど水を入れてキャップをし、-5℃くらいに設定した冷凍室に入れ、4~5時間ほどかけてゆっくり冷やします。
    ※実験で使うお皿もいっしょに入れて冷やしておきます。

  • 2

    衝撃を与えないように静かにペットボトルを取り出し、キャップをはずします。高い位置から一気に空気が入らないように少しずつお皿の上に注ぐと、シャーベット状の氷の山ができます。

    図1のように、強く振ったり、氷のかけらを入れたりしても一瞬で氷になります。

実験のポイント

<ポイント1>
-5℃程度でゆっくり均一に冷やせる冷凍庫なら、500mlペットボトルで実験できます。
水が冷凍室の中で凍ってしまう、そんな場合は・・・
ゆっくりと時間をかけて、水全体の温度が均一に下がるようにします。

・冷蔵庫の性能の違いがありますから、冷凍室の温度を温度計で確かめ、冷やす時間を変えるなどして何度か試してみましょう。
・ペットボトルの周囲に断熱材(エアシートや発泡シート)を巻いてゆっくり冷やしてみましょう。空気断熱を利用した道具(工作の手順参照)を使うと失敗が少なくなります。
・水に含まれる不純物がきっかけとなって凍る場合があります。水道水でできない場合は精製水(コンタクトレンズ用洗浄水など)で試してみましょう。
<ポイント2>
冷凍室が冷えすぎる場合はゆっくり冷やすための道具をつくって実験しましょう。
(実験Bで準備するものはこちら

1. ガラスまたはプラスチック製の
透明小瓶(キャップ付き)1本
2. 円筒形ペットボトル
(1.5Lと500ml)各1本
3. 台所用スポンジ2~3個
4. 温度計
5. カッターナイフ
6. はさみ
7. ビニールテープ

工作の完成品

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・工作を行う際は、必ず手順を読んでから行ってください。
・刃物や器具の取り扱いには十分注意し、ケガをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    2つのペットボトルを冷凍庫に入る高さに調整して切り、それぞれの底にスポンジを敷きます。

  • 2

    小びんに水を入れて500mlペットボトルの底に置き、周りにスポンジをつめて安定させ、上半分のペットボトルをかぶせてビニールテープを巻きます。

  • 3

    1.5Lペットボトルの底に(2)のペットボトルを置き、周りにスポンジをつめて安定させ、上半分のペットボトルをかぶせてビニールテープを巻きます。冷凍室に入れて4~5時間冷やします。

  • 4

    小びんを静かに取り出して冷やしたお皿の上に水を注ぎます。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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