試してフシギ

浸透圧濃度の違いで一方通行(No.74)

濃度の違いで一方通行 濃度の違いで一方通行

実験監修:名古屋市科学館学芸員 佐伯平二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

どうしてなのかな?

2種類の液体が入った容器。上の容器には食塩水、その周りと下には水。食塩水と水の間はセロハンで仕切られています。しばらくおいておくと、上の容器に立てたストローの水位が上がりはじめます。周りの水が食塩水の容器の中へ移動しているから です。どうして上にある容器の中へ水が移動するのでしょうか?

そうかなるほど!

食塩水と水の間にセロハンがあることがミソ。セロハンは食塩のような大きな分子は通しませんが、水のような小さな分子だけは通す「半透膜」なのです。濃度の違う液体が半透膜で仕切られていると、膜の両側の濃度が等しくなるように、水は濃い液体の方へ移動します。この現象を「浸透」といい、浸透していく力を「浸透圧」といいます。今回の実験では周囲の水が半透膜を通って容器の中の食塩水を薄めます。浸透圧がよく見えるようにストローを立ててみました。浸透圧を比べるために、砂糖水やしょうゆでもためしてみましょう。

ワンポイント・スタディ

日本人の知恵「さ・し・す・せ・そ」
料理の味付けには「砂糖(さ)」「塩(し)」「酢(す)」「しょうゆ(せ)」「みそ(そ)」の順番があることを知っていますか?これは味をよくしみ込ませ、柔らかく風味よく煮物をつくるコツ。たとえば塩を使った後に砂糖を入れると、砂糖がうまく食材になじみません。この味付けにも浸透圧が一役買っています。ほかにも、拡散速度などが順序付けの要因になっていますが、生活の知恵にも科学的な根拠があるんですね。

1.透明プラスチック製容器
(ゼリーやヨーグルトの空容器) 6個
2.セロハン(10×10cm) 3枚
3.透明なストロー 3本
4.食塩(100ml の水に対して) 大さじ2杯
5.砂糖(100ml の水に対して) 大さじ3杯
6.しょうゆ 適量
((1) の容量分)
7.調味料ポット 3個
8.ボール 3個
9.プラスチック用 耐水性強力接着剤
10.ビニールテープ
11.キリ
12.丸彫り用の彫刻刀
13.カッターナイフ
14.はさみ
15.油性ペン
16.輪ゴム 6本

工作の完成品

[工作の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・工作を行う際は、必ず手順を読んでから行ってください。
・刃物や器具の取り扱いには十分注意し、ケガをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    3個のプラスチック容器の底にストローを差し込む穴をあけます(A)。もう3個の容器はへりのすぐ下に数カ所の穴をあけ、底の部分を切り落します(B)。

  • 2

    (A)と(B)の図の部分に接着剤をぬり、セロハンを置いてプラスチック容器をはり合わせます。接着剤がかわくまで輪ゴムで固定します。

  • 3

    (A)の穴にストローを3cmほど差し込んでその周りを接着剤でぬり固め、かわいたら余分なセロハンをはさみで切ります。同じものを3組つくります。
    ※空気がもれないか、ストローから空気を吸って確かめましょう。

  • 4

    食塩水と砂糖水をつくり2本の調味料ポットに入れ、もう1本の調味料ポットにしょうゆを入れます。

  • 5

    (A)の図の位置に穴を小さくあけ、ストローから調味料ポットの溶液を注ぎます。90%程度入れたら、穴をビニールテープでしっかりふさぎます。
    ※空気抜きの穴をあけないと容器の中に溶液が入っていきません。

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・実験を行う際は、必ず手順を読んでから行ってください。
・刃物や器具の取り扱いには十分注意し、ケガをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    3個のボールに水を注ぎ、それぞれに溶液を満たした容器を沈めます。ボールの水の量は必ず容器のセロハンより上の位置にくるようにします。
    ※セロハンの下に空気が残ると浸透圧が起こらないので、上手に容器を沈めましょう。

  • 2

    実験開始時のストローの水位に油性ペンで印を付けます。

  • 3

    時間の経過とともにボールの中の水がセロハンを通って移動し、それぞれの容器の中の水量が増えます。
    5~6時間後、溶液ごとの浸透圧の違いがストローの水位で観察できます。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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