試してフシギ

浮き方と重心この浮き方 自然?不自然?(No.57)

この浮き方 自然?不自然? この浮き方 自然?不自然?

実験監修:名古屋市科学館学芸員 佐伯平二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

どうしてなのかな?

湯飲みの中に茶柱が立つことがありますね。これは茶柱の密度の分布(重心の位置)や浮力、表面張力など、いろいろな物理現象が関係し合って偶然に起こるのです。今回は、水の中でのモノの浮き方と重心の関係を調べてみましょう。
比重0.5程度(半分浮いて半分沈む状態)の断面が正方形の角材(正四角柱)を水に浮かべた時、どんな浮き方をするか調べてみましょう。

そうかなるほど!

正四角柱の角材は、上の写真のように水面から出ている部分が三角形になった状態で浮きます。ちょっと不思議な気がしますが、自然な浮き方なのです。水に浮かべた物体は、水面上に出ている部分と水面下に沈んだ部分のそれぞれの重心の位置が水面にもっとも近くなる時に安定して浮きます。
つまり、正四角柱の角材が三角形の状態で浮くのは、2つの重心の位置が水面にもっとも近くなり、バランスが一番とれた状態になるからです。では重心の位置を実験で確かめてみましょう。

「角乗り」って知っていますか?

角乗りは川に浮かべた1尺角(約30×30cm)の角材に人が乗り、それを回転させながら進んだり曲芸を行う伝統芸能です。正方形の断面をもった角材は水面から出る部分が三角形になった状態で浮きますから、角材を足で回転させることもできるんですね。

・角材A1本
(断面4×4cm、長さ10~15cm程度)
・角材B1本
(断面4×2~3cm、長さ10~15cm程度)
角材はヒノキ、アカマツ、ベイマツ、ベイツガなど比重0.4~0.6のものを選びます。
・バケツ
・ボール紙
(10×10cmを2枚)(10×20cmを1枚)
・ものさし
・カッターナイフ
・画びょうまたは虫ピン
・鉛筆

  • 1

    バケツに水を満たし、静かに角材AとBを浮かべます。

  • 2

    角材Aは三角形の状態で、角材Bは断面の長辺が水面に平行な状態で浮きます。

    ※三角形の状態で浮かないこともあります。これは角材に節があったり木目が揃っていないなど、密度が均一でない場合があるためです。

  • 1

    10×10cmのボール紙を対角線上で2等分して三角形をつくります。これを角材Aを水に浮かべた時の三角形の状態とみなします。

  • 2

    10×20cmのボール紙の中央に垂直線を引いて台紙にします。
    その線上に三角形の直角の部分を重ね、画びょうで垂直な壁などにとめます。

  • 3

    三角形を左右に振ってバランスをとり、静止したところで台紙の線に合わせて三角形上に垂直線を引きます。

  • 4

    三角形の45度の角を虫ピンでとめ、3の手順で垂直線を引きます。2つの線が交わった点が重心の位置です。

  • 5

    もう1枚の10×10cmのボール紙を長方形に2等分して2本の対角線を引きます。2つの線が交わる点を、角材Aが水面に平らに浮くと仮定した場合の重心の位置とみなします。

  • 6

    図のように2つの重心の位置を比べると三角形の重心の位置の方が1.5mmほど低くなっています。つまり重心の位置が同じ面積の長方形の重心よりも水面に近く、安定して浮くことになります。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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