試してフシギ

毛細管現象容器の中から逃げ出す?水!(No.45)

容器の中から逃げ出す?水! 容器の中から逃げ出す?水!

実験監修:名古屋市科学館学芸員 佐伯平二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

どうしてなのかな?

学校の理科の実験でおなじみの毛細管現象。でも、「なぜ?」と考えたことがありますか?毛細管現象には(1)液体の表面張力 (2)固体と液体の濡れやすさ(3)毛細管の直径の3つが関係しています。
水と水との分子の間には分子間力(凝集力)が働いていて、水の分子どうし、お互い四方八方に引き合っています。しかし、水面の水の分子は空気に接しているため、水の中だけに引っ張られて表面が丸くなります。このとき、水面に働いている力が表面張力です。細いガラス管を水につけると、水の分子に働く分子間力(凝集力)よりもガラスと水の分子との間に働く力(付着力、濡れやすさ)の方が大きいため、水はガラス管の壁に引き寄せられてせり上がります。そして、この力と上昇した水の重さがつり合う位置まで水は上へ移動します。ガラス管が細いほど上昇した水の重さは軽くなるので、水はより高い位置まで移動していきます。

そうかなるほど!

毛細管現象は、細いガラス管の中だけで起こる現象ではありません。たとえば布でも実験することができます。布は細い繊維をより合わされた糸を縦糸と横糸とにして織り上げたもので、内部には繊維どうし、糸どうしのすき間がたくさんあります。この細かなすき間が細いガラス管と同じ働きをして、水を吸い上げます。また、水に濡れやすい性質をもっている物質ほど現象が起こりやすく、布では天然繊維の綿や麻、絹などの方が合成繊維よりも顕著な毛細管現象を示します。

・透明な容器3本
(透明のガラスびん、または350ml程度のペットボトル)
・天然綿製の脱脂綿
・食紅2色
(食品用の着色材。食料品売場にあります。)

  • 1

    2つの容器に3分の2ほど水を入れ、食紅でそれぞれ色を付けます。

  • 2

    からの容器をまん中にして、3本の容器を並べます。

  • 3

    長さ20cm、幅5cmほどに切った脱脂綿を2枚用意します。

  • 4

    指先を水で濡らして、脱脂綿を端からひねりながら丸めていき、ひも状にします。

  • 5

    色付きの水の入った2本の容器の中にひもを浸し、もう一方の端をまん中のからの容器の中に入れておきます。

  • 6

    それぞれの容器に浸したひもが、色の付いた水をゆっくり吸い上げていきます。

  • 7

    数時間経つと、からだったまん中の容器に2つの色が混じった水がたまりはじめます。2~3日間で3本の容器の水の高さが同じになります。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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