どうしてなのかな?
ニュートンは、リンゴの実が木から地上に落ちるのを見て万有引力を発見しました。万有引力とは、質量をもつ物体の間に働く引力のことです。私たちが地上に立っていられるのは、地球と私たちの身体の間に万有引力が働いているからです。この万有引力に、地球の自転による遠心力の影響を含めたものを重力と呼んでいます。この重力の働きによって、地球上の物体はすべて地上に落下しようとします。今回は、この重力に逆らう実験をしてみます。なんと、お茶わんが斜面をのぼっていくのです。不思議ですが、実験では確かにそう見えます。でも、そんなことがあり得るのでしょうか?
そうかなるほど!
斜面の真横から見ると、ふたつに貼り合わせたお茶わんが斜面をのぼっていくように見えます。次に斜面を真上から見ると、2本のレールからできた斜面は低い方から高い方に向かって幅が広がり、V字型になっています。重力は物体の各部に働いています。その各部に働く重力の合わさった力の中心点を重心といいます。その重心の位置の動きを見ると、斜面にそって下へ下へと沈んでいくことがわかります。
つまり、重力の自然な法則に従っているわけです。このような形をした斜面では、重心の位置を見れば斜面を下っているのがわかるのですが、お茶わん全体では斜面をのぼっているように見えるのです。
・同じ大きさのお茶わん2個
※お茶わんの形ができるだけ直線に近いものを使いましょう
・角材2本
(タテ3cm×ヨコ3cm×長さ120cm)
・でんぷんのり
・雑誌数冊
・ガムテープ
・水性ペン
※あとで洗い流せるよう水性ペンを使用他のものでも可
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1
お茶わん2個をでんぷんのりでくっつけます。
※実験のあとでまたお茶わんがつかえるように、でんぷんのりを使います。 -
2
テーブルの上に2本の角材を置き、一方の端に雑誌を敷いて2~3cm高くします。
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3
2本の角材の幅を、低い方の端は1.5cmに、高い方の端はお茶わんが落ちない程度の幅にして、外側に開かないようガムテープで固定します。
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4
お茶わんを低い方に置いて軽く押し出すと、斜面をのぼっていくように見えます。
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5
次にお茶わんの重心(底の中心部)に水性ペンで印を付け、転がしてみます。重心の位置が徐々に下がっていくことがわかります。
お茶わんの重さによって転がりやすい斜面の角度が違ってきます。雑誌の高さを調整しながら実験を進めましょう。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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