試してフシギ

ローレンツ力平面モーターできました!(No.256)

平面モーターできました! 平面モーターできました!

実験監修:教育学博士 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

磁石の上でアルミ板がクルクル。
軸ではなく、円板そのものが回転しています。

そうなんだ!

ネオジム磁石を4個並べ、円板状に切り抜いたアルミホイルをのせます。磁石に電池をつなぐと、アルミの円板がクルクル回ります。円板はどうして回るのでしょう。
実は、この装置はモーターの一種です。それも、リニアモーターの仲間なのです。表面が金属の磁石を2個ずつセットにして、電池の+極とー極につないでいます。アルミの円板を磁石の上にのせると、+極から−極に電流が流れ、磁石のつくる磁界から一定の向きに力を受けます。これをローレンツ力といい、モーターが動く根本の原理です。
2個ずつセットにした磁石はN極とS極の向きを反対にしてあるので、N極側とS極側でアルミの円板が受ける力の向きが反対になります。そのため、アルミの円板はクルクルと回り続けます。このモーターが、なぜリニアモーターの仲間かというと、一般のモーターのように軸を回転させるのではなく、アルミの円板を直接動かしているからです。

①スチレンボード(10cm×15cm)(厚紙でも代用できます)
②ゼムクリップ 1個
③厚みのある(1mm程度)強力両面テープ
④銅線(12cm) 2本
⑤ネオジム磁石(直径16mm)4個
⑥アルミホイル
⑦コップなど円形のもの(直径7cm程度)
⑧単3形乾電池 2本
⑨乾電池ホルダー(単3、2本用)
⑩クリップ付きリード線 2本
・定規
・はさみ
・セロハンテープ
・コンパス
・つまようじなど

実験で使用した材料の詳細

・スチレンボード 大創産業 カラーボード(300mm×450mm×5mm)
・ゼムクリップ アスクル ゼムクリップ小(23mm)
・両面テープ 大創産業 超強力 アクリルフォーム 両面テープ(15mm×1.2m×1mm)
・銅線 ダイドーハント 銅線0.3mm×15m
・ネオジム磁石 大創産業 超強力 マグネット16mm
・アルミホイル 大創産業 アルミホイル(長さ約18m×幅約25cm)
・コップ GLASS COLLECTION 240ml
・単3形乾電池 パナソニック アルカリ電池エボルタネオ LR6NJ20SW
・乾電池ホルダー ELPA エルパ電池ボックス(単3×2本)UM-321NH

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    スチレンボードに部品を取り付ける位置をマークします。

  • 2

    クリップを図のように加工し、スチレンボードに裏からさしてセロハンテープで固定します。

  • 3

    両面テープを2.5cmの長さに4枚切り取り、磁石に傾斜をつけるために図のように折ってボードのマークした位置に貼ります。

  • 4

    銅線を図のように両面テープに取り付け、固定されてない部分をセロハンテープでとめます。

  • 5

    ネオジム磁石を4個つなげ、上から2つをA・Bに、ひっくり返した2つをC・Dの両面テープに少し傾斜をつけて貼り付けます。
    ※ネオジム磁石は強力にくっつきます。引きはがすときは横にすべらせるようにします。このとき、指などをはさまないように注意してください。

  • 6

    アルミホイルを直径8.5cmに切ります。中心にクリップの軸より少し大きな穴を開け、コップなどに押し当てて縁を軽く曲げます。

  • 7

    乾電池をセットしたホルダーを、両面テープでボードに貼り付けます。
    リード線を1本ずつ銅線につなぎ、片方のリード線だけを乾電池ホルダーにつなぎます。

  • 8

    アルミ円板の穴をクリップの軸に通し、円板をセットします。
    円板の端が磁石に接していることを確認します。

  • 9

    ⑦でつないでいないリード線を接続すると、円板が回ります。
    うまく回転しない場合は、円板をつまようじの先などでつついて弾みをつけます。
    ※逆方向に回って引っかかる場合は、電池の+/-の接続を反対にしてください。
    ※回転しなかった場合はそのまま放置せず、必ず円板をはずしてください。

実験を成功させるコツとヒント

・+極に接続した磁石と−極に接続した磁石は、極性(S/N)が必ず反対になるようにしてください。
・磁石は少し傾けて固定し、アルミ板が引っかかりにくいようにしてください。
・ネオジム磁石やアルミ板の表面は、時間がたつと酸化して電流が流れにくくなるので、ときどきティッシュペーパーなどでふいてください。
・電圧が低下すると回りにくくなるので、新しい電池を使用してください。4本つないで6Vで動かすと、より速く確実に回ります。

何に使えるかな?ユニークな平面モーター

電気モーターは電力を動力に変える装置です。家電製品や模型などに使われる一般的なモーターは、ローレンツ力を利用して軸を回し、回転運動を得ています。一方、リニア新幹線などで注目されているリニアモーターは、ローレンツ力を利用して平面で直線運動を得ています。さて、今回の実験で作った「平面モーター」は、同じくローレンツ力を利用しながら、軸を回すのではなく、平面で回転運動を得る「第3の動き方」をするモーターです。今のところパワーも弱く、何に使えるのか分かりませんが、将来何かの役に立てるといいですね。

平面モーターの性能と可能性を考える

モーターの能力は、一般に回転数とトルクで評価されます。トルクというのは、物体を回転させようとする力です。実験で作った平面モーターは、電圧を高くすると回転数はある程度上げられますが、あまり大きなトルクは得られません。一枚のアルミ板を流れる電流が限られていることや、電流の供給を磁石とアルミ板の不安定な接触に頼っていることなどが原因です。そのため、ものを動かす動力としてよりも、回転を利用した使い方が向いているといえるでしょう。たとえば、回転板で光をさえぎったり、透過させて混ぜ合わせたりすると、面白い効果が生まれそうです。磁石に接触しないで電流を流すしくみなどが工夫できると、もっと大きいトルクが得られるので、モーターの可能性が広がります。ぜひ、チャレンジしてみてください。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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