試してフシギ

結晶づくりキッチンで育てる大きな結晶(No.25)

キッチンで育てる大きな結晶 キッチンで育てる大きな結晶

実験監修:東京大学教育学部附属中・高等学校 佐巻健男 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

だんだん大きくなっていく溶液の中の「宝石」、ミョウバンの結晶。

料理のアク抜きや、漬け物の色みをよくする働きを持つ、ミョウバン。このミョウバンで、結晶づくりに挑戦しましょう。

実験は、まずミョウバンを溶かして小さな種結晶(たねけっしょう)を作り、その種結晶をミョウバンの溶液に2日間ほど吊るしておくだけ。種結晶は小石くらいの大きさにまで成長します。

結晶づくりのコツは、種結晶を選ぶときにできるだけ透明度が高く、欠けていないものを探すこと。そして、この種結晶を入れるときの溶液の温度に注意することです。

じっくり時間をかければ宝石のように美しい結晶を実らせることも可能です。夏休みに何日かかけて大きな結晶を育ててみるのもおもしろいでしょう。

・ミョウバン 約110g
(結晶カリミョウバン)
・ナイロンテグス(0.3~0.6号くらいの細いもの)
・割りばし
・画用紙
・温度計
・なべ 2つ
(ステンレス製か耐熱ガラス製)
・プラスチックの容器
(底が平らな弁当箱など)
・耐熱ガラス製容器
(広口びんなど)
・コップ
(プラスチック製か耐熱ガラス製)
・発泡スチロールの容器
(クーラーボックスでも可)

  • きれいに洗ったなべにミョウバン約80gを入れ、水を約400ml加えて火にかけます。ミョウバンが完全に溶けたら(70~80℃で溶けます)、火からおろし、プラスチックの容器に3mm程度の深さに流し込みます。
    なべとプラスチック容器を、半日くらい静かに放置すると、底に小さな結晶ができます。プラスチック容器にできた結晶の中から形がよく透き通ったものを選び、「種結晶」にします。(なべの中身は手順(2)で使います)

  • 2

    選んだ種結晶をナイロンテグスでくくり、反対側を割りばしに結びつけます。種結晶を入れる耐熱ガラス製容器(広口びんなど)を用意し、種結晶を吊るしたとき底から3分の1の深さになるよう、結び方を調整します。種結晶やテグス糸は流水でよく洗い、表面のほこりを取り除いておきます。(1)のなべに残ったミョウバンの上澄み液300mlを別のなべに移し、23gのミョウバンを足し入れ、再び熱して溶かします。溶けたら、その液の一部(20mlくらい)をコップに取り、残りを耐熱ガラス製容器に静かにそそぎ入れます。

  • 3

    コップを水に入れて液を冷やすと細かい結晶が出てくるので、このときの温度を測ってメモします。(約35℃くらいになります)耐熱ガラス製容器の液はそのまま放置し、メモの温度に5℃足した温度(約40℃になるはずです)くらいまで冷えるのを待ちます。

  • 4

    耐熱ガラス製容器の液が(3)の温度まで冷えたら割りばしを渡して種結晶を吊るし、ほこりが入らないように画用紙などで作ったふたをします。

  • 5

    急激な温度の変化をさけるため、発泡スチロールの容器やクーラーボックスに結晶の入った(4)の容器を入れ、そのまま2日ほど放置します。結晶が大きくなったところで取り出して水洗いします。水分をふき取って完成です。

・ミョウバン(結晶カリミョウバン)は薬局で手に入ります。
・ミョウバンは直接口に入らないように注意し、実験の後もよく手を洗いましょう。
・ガスコンロを使用する際は必ず大人の人と一緒に行ってください。
・ミョウバンを溶かした溶液は熱いので、やけどに注意しましょう。

種結晶をナイロンテグスでくくることができない。

太いものだとくくるのが難しく、うまくいきません。0.3~0.6号くらいの細いものが使いやすいでしょう。釣具店や、手芸店で購入できます。

透明のきれいな結晶にならず、白く濁ったものになってしまう。形がいびつなものになってしまう。

・なべや、コップはきれいに洗った状態で、実験をはじめてください。
・種結晶やナイロンテグスも水でほこりを洗い流してから、コップの中に入れてください。
・ミョウバンの溶液をプラスチック容器に入れたら、ほこりが入らないようにふたをしてみてください。

種結晶よりも、コップの下の方に大きな結晶がたくさんできてしまう。

・種結晶を入れるときの温度を正確に測ってください。
・コップの中のミョウバンの溶液が急激に冷えないよう気をつけてください。急激な温度変化を防くために、発泡スチロールの容器や、クーラーボックスの中にすぐに入れるのも手です。

ネックレスにするにはどうしたらよいか?

結晶にくくったナイロンテグスを利用します。結晶をつるすテグスを、あらかじめ長めにしておくとよいでしょう。長さが足りない分は、作りたい長さに合わせて接着剤でつなぎ、好みのビーズやパーツを組み合わせて完成です。

焼きミョウバンでもできるか?

少々扱いにくいですが、できます。ミョウバンにはいろいろな種類があり、この実験では透明できれいな「カリミョウバン」を使うことにしていますが、薬局やスーパーでは結晶水を焼き飛ばしている白い粉状の「焼きミョウバン」がよく売られています。種結晶をつくるミョウバンの水溶液さえできればいいのですから、よく溶かしてから使えば大丈夫です。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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