試してフシギ

全反射何でも光ファイバー!?(No.249)

何でも光ファイバー!? 何でも光ファイバー!?

実験監修:教育学博士 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

透明で細長いものの一端を照らすと、反対側が光りました

そうなんだ!

プラスチックやビニールチューブ、ひも状のゼラチンなど、透明で細長いものの端にライトで光を当てると、反対側の端が光を放ちます。途中で折れ曲がったり枝分かれしたりしていても、光が形状に沿って進んでいるようです。これらのものの中では、本来直進するはずの光がどうして曲がって進むのでしょう。
光がプラスチックと空気のように屈折率の異なる物質の境界を通るとき、一部は屈折して外に抜け、一部は反射して戻ってきます。ところが、境界に進入する角度が一定の値より浅い(入射角が大きい)と、すべて境界面で反射してしまうことがあります。これを光の全反射といい、インターネットなどで使われる光ファイバーにも応用されています。全反射を繰り返しながら進む光は、曲がっている物体の中でも遠くまで届きます。身近なプラスチック製品やゼラチンが、光ファイバーと同じはたらきをするなんて面白いですね。

①粉ゼラチン
②熱湯
③弁当箱などの平らな容器
④折れ曲りのある透明なプラスチック製品やビニールチューブ
⑤ミニLEDライト
・計量カップ
・スプーン
・ナイフ

実験で使用した材料の詳細

・粉ゼラチン 森永製菓 森永 クックゼラチン
・容器 大創産業 レンジOK フードパック
・プラスチック製品 大創産業 テーブルクロス止め、袋入りミニフォーク
・ミニLEDライト 大創産業 スリムライト LED

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    粉ゼラチンを規定の量の3分の1の熱湯でよく溶かします。

  • 2

    弁当箱などの平らな容器に深さ1cm程度になるように流し込み、冷蔵庫で冷やし固めます。

  • 3

    ゼラチンがしっかり固まったら、幅1cm程度に細長く切ります。
    ※断面がなるべくなめらかになるように切ってください。

  • 4

    部屋をうす暗くし、透明なプラスチック製品やビニールチューブの端をLEDライトで照らして、反対側の端がどのように見えるか観察します。

  • 5

    ③のゼラチンの端に光を当てて、見え方を観察します。
    身の回りにあるもので、同じような性質を持つものを探してみましょう。

実験を成功させるコツとヒント

・ゼラチンを固める容器は底が平らなものを使い、気泡ができないようにしてください。切るときはできるだけ同じ幅で表面をなめらかに切ってください。凹凸があると乱反射が起こり、効率よく光が伝わりません。
・ライトは小さめで、光が広がりにくい単球式のものが適しています。大きなライトを使う場合は、先を細くした紙筒などをかぶせて光を絞ってください。

どうして光ファイバーで通信できるの?

コンピューターのデータや電話の音声は電気信号です。一方、光ファイバーを流れるのは光の信号です。そこで、光ファイバー回線で情報のやりとりをするときは、専用の装置で電気信号を光信号に変換します。コンピューターなどのデジタル信号は「0と1」で表されるので、そのまま光の点滅に置き換えます。遠く離れた場所で、灯りを点滅させて通信するような感じです。
さて、実験で使ったプラスチックやゼラチンは透明度があまり高くありませんが、実際の光ファイバーは非常に透明度の高いガラスやプラスチックで作られています。中心部に屈折率の高い素材を用い、その周囲を屈折率の低い素材で包む構造です。屈折率の違う2つの素材の境界面で全反射を起こし、遠くまで効率よく光信号を伝えます。

ギガ、テラ、ペタ! 進化する未来の光ファイバー

現代社会ではあらゆるものがインターネットにつながり、光ファイバーの中を流れる情報も爆発的に増加し続けています。そのため、金属線に比べるとはるかに多くの情報を送れる光ファイバーでもやがて限界に達し、大きな混乱が起こることが予想されます。
そこで、さらに多くの情報を送れるように、次世代型光ファイバーの研究が世界中で行われています。たとえば、日本で開発されたマルチコアという技術。従来の光ファイバーは屈折率の高いコアと呼ばれる部分が中心部に1つだけでしたが、1本のファイバーの中に複数のコアを配置することで大量の情報が送れるようになります。
ギガ、テラ、ペタというのは単位の大きさを表す名称です。現在の一般向けインターネットサービスは1秒間に10億個以上の情報が送れるギガの時代に入り、通信事業者が使う幹線ネットワークではテラ(1000ギガ)の領域に入ってきました。将来的には、マルチコアなどの新技術によって、1本の光ファイバーでペタ(1000テラ)クラスの能力も目指せるといわれています。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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