試してフシギ

共鳴双子のスプーンは以心伝心!?(No.212)

双子のスプーンは以心伝心!? 双子のスプーンは以心伝心!?

実験監修:東海大学特任教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

糸で結ばれた2本のスプーン。片方をたたくとたたいていないもう1本も鳴っているようです。

そうなんだ!

同じ形のスプーンA・Bを1本の糸で結んで紙コップからぶら下げます。スプーンAをたたいて鳴る音を糸電話のように紙コップで聞くと、カーンと金属音がひびきますね。Aを鳴らしたすぐあとに、指でつまんで音を止めると、止めたはずの音がかすかに聞こえてきます。
スプーンBを形の違うスプーンやフォークに変えて同じように試してみると、音はピタっと止まってまったく聞こえません(写真右)。同じ形のスプーンを使うと、Aの振動が糸を伝ってBも震わせ、少しでも形が違うと振動は伝わりません。
スプーンとフォークでは、たたいたときの音がわずかに違います。音の違いは、振動数の違いです。物に衝撃を与えると、決まった振動数(固有振動数)で震えます。同じ形のスプーンは固有振動数が同じで、少しでも形が違えば固有振動数も異なります。そして、固有振動数が同じ物同士には、振動が伝わる性質があります。これを共振といい、音の場合を共鳴といいます。同じ形の2つのスプーンは共鳴しますが、形の違うスプーンやフォークは固有振動数が異なるので共鳴しません。AをたたいてBからも音が聞こえたのは、共鳴によるものです。

1. 金属のスプーンやフォーク
(同じ形のもの3本、少し形の違うもの1本)
2. ぬい糸 50cm2本
3. 紙コップ 2個
4. つまようじ 1本
・押しピン
・はさみ
・セロハンテープ
・たたくための金属製品

実験で使用した材料の詳細

・スプーン 大創産業 OpenHeart シンプルライン ステンレススプーン(小)
・フォーク 大創産業 OpenHeart シンプルライン ステンレスフォーク(小)
・ぬい糸 大創産業 家庭用手ぬい糸(太口)
・紙コップ 大創産業 ペーパーカップ 54個入(205mL)

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    2本の糸に、20cmほど間隔を開けてスプーン2本をそれぞれ結んでセロハンテープで固定します。1本だけ形の違うものは、上に結んでください。

  • 2

    紙コップ2個の底に押しピンで穴を開けます。①の糸の端をそれぞれコップの穴に通し、約1cmに折ったつまようじを結びます。

  • 3

    糸電話のように紙コップを耳に当て、ぶらさげた下のスプーンを金属製品でたたきます。

  • 4

    たたいた方のスプーンをすぐに手で押さえ、紙コップから聞こえる音を確かめます。両方のセットで同様に実験して音の聞こえ方を比べてみましょう。

実験を成功させるコツとヒント

・紙コップは少し傾けて耳に当て、糸が紙コップのふちにふれないようにしてください。
・スプーンをたたくときは、楽器のトライアングルをたたくように、金属製品をスプーンに当てたらすばやく戻してください。

楽器の音はなぜ、大きく響くのでしょう?

楽器には、驚くほど大きな音を出すものがありますね。実は、多くの楽器は共鳴をたくみに利用しているのです。たとえば太鼓は、皮の振動を大きな胴で共鳴させて迫力のある音を生み出します。また、弦楽器では弦の振動を、管楽器ではくちびるや小さな板の振動を、それぞれ本体に共鳴させて大きな音にしています。

私たちも共鳴を利用して声を出しています

人間の声は、のどの奥にある声帯(せいたい)という器官で生み出されます。声帯は一対の膜でできていて、筋肉によって開閉します。私たちが声を出すときは、声帯のすき間を狭めて、肺からはき出される息で震わせます。声帯の振動によって生じた音は、のどや口や鼻の空間などで共鳴させることで大きくしたり、音色を調整したりします。このしくみは管楽器にそっくりですね。舌やくちびるを動かすことで共鳴する空間の形状が変化し、固有振動数も変化するので、さまざまな音声を出すことができるのです。共鳴は物体だけでなく、空気の塊でも起こります。管楽器や人間の声は、楽器や体の内部にある空気の共鳴を利用しています。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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