試してフシギ

水の抵抗飛び込み上手はどの姿勢?(No.180)

飛び込み上手はどの姿勢? 飛び込み上手はどの姿勢?

実験監修:東海大学教育開発研究所所長 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

水はとても柔らかそうに見えるのに、飛び込みに失敗して胸やお腹を打つと痛くて泣きたくなります。同じように飛び込んだのに、上手に飛び込めたときと失敗したときでは、どこに違いがあるのでしょう?

そうなんだ!

物体が水に飛び込むと、水の抵抗によって速度が落ち、やがて止まります。そのときの速度の変化は「物体にかかる力の大きさ×時間」で表されるので、止まるまでの時間が短いほど大きな力を受けることになります。 また、水の抵抗は物体の断面積に比例します。断面積が小さい縦向きに飛び込むと、水の抵抗が少ないので長い時間をかけて(深く潜って)速度が落ちます。断面積が大きく抵抗の大きい横向きでは、短時間で速度が落ちます。そのため体に大きな衝撃を感じるのです。また同じ縦向きでも、先がとがっている方が水をまわりに逃がしやすいので、より抵抗が小さくなります。 痛くない上手な飛び込みのコツは、水に入るときの姿勢だったのです。

1. 洗面器
2. 輪ゴム
3. 色鉛筆(長さ7cm)
4. 水槽などの透明な容器(深さ18cm以上)
5. 目盛りを付けた紙
・定規
・セロハンテープ

実験で使用した材料の詳細

・洗面器:ASAKURA コンフォート湯おけ
・色鉛筆:大創産業 いろえんぴつ12色
・透明容器:大創産業 飼育容器 大

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    水の抵抗を確かめます。洗面器に2cmくらい水を入れ、洗面器の底で輪ゴムを押さえて反対の手で思い切り引っぱってはじいてみましょう。

  • 2

    先をとがらせた長さ7cmの色鉛筆と、目盛りをつけた紙を用意します。

  • 3

    水槽にふちから2.5cmまで水を入れます。落とす高さの目安にするセロハンテープと、目盛りを付けた紙を貼ります。

  • 4

    色鉛筆を縦のとがった方、横向き、縦の平らな方の3つの向きで落とし、潜る深さを比べます。
    落とす高さが同じになるように、色鉛筆の重心の位置を合わせます。

実験を成功させるコツとヒント

・普通の鉛筆を使うと、比重が小さいのですぐに浮き上がり、落とす向きによる違いがはっきり現れません。実験には色鉛筆を使ってください。
・色鉛筆でも種類によって沈み方に多少差があります。沈みすぎたり沈み方が足りない場合は、落とす高さや色鉛筆の長さを変えて調節してください。
・なるべく垂直に着水するように、まっすぐ落としてください。斜めに着水すると、落とす向きによる違いがわかりにくくなります。

水の抵抗を理解して上手に泳ごう

水中では水の抵抗が体の動きをさまたげます。魚のように流線型の体になるのは無理ですが、水の抵抗と上手に付き合えば、もっと速く、効率よく泳げるようになります。水中では、なるべく全身を水平に保ち、一直線になるようにしましょう。この姿勢が、水の抵抗を最も小さくします。ひざが曲がったバタ足や、息つぎのために頭が上がりすぎるのは、抵抗を増してスピードを落とす原因に。余分な力を抜いて、体をまっすぐに伸ばして気持ちよく泳ぎましょう。

水でズバッと切断!意外にかたい水の利用法

飛び込みに失敗すると、意外な水のかたさを実感します。この水のかたさを利用して、非常に優れた切断性能を発揮するウォータージェット(ウォーターカッター)と呼ばれる工具があります。ウォータージェットは、小さいノズルから超高圧で水を噴射して、あらゆるものを切断します。機種によっては、金属や石を切断するものもあり、火気厳禁の現場でも使用できるため、レスキュー隊の装備にも採用されています。

時間をのばして衝撃をやわらげる工夫

水に飛び込むときに、時間をかけて運動を止めると衝撃がやわらぐことがわかりました。この原理は、水の外でも同じようにはたらきます。かたい床に飛び降りると強い衝撃を受けますが、マットを敷いた上に飛び降りると痛くありません。マットが変形しながら時間をかけて運動を止めているからです。また、飛び降りるとき無意識に膝を曲げるのも、背骨が横から見るとS字型をしているのも、体が時間をかけて衝撃を吸収するためです。
この効果を強めて製品化したものに、衝撃吸収ゲルという素材があります。スポーツシューズやヘルメット、パソコン、携帯電話などさまざまなところで利用されています。薄くても衝撃をやわらげる効果が大きく、わずか2cmの衝撃吸収ゲルが、ビルの6階(18m)から落とした生卵を割らずに受け止めたそうです。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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