電子ライターをパチンと押すと、電気が流れてプロペラが回る。
無線通信の発展に大きく貢献した実験を体験してみましょう。
電磁波が来ると電気が流れる装置をコヒーラーといいます。100年ほど前に発明され、無線の受信装置に応用されました。どういう仕組みで見えない電磁波を感知するのでしょうか。
装置を組み立てた状態では、電池がつながれているのに電気は流れていません。実はコップに入ったアルミ箔でつくった玉のところで回路が切れているのです。なぜかというと、アルミニウムは電気をよく通しますが酸化しやすく、空気中では表面が酸化アルミニウムの膜で覆われています。この酸化膜が絶縁体であるため、そのままでは電気が流れないのです。
この装置に電磁波が伝わると、アルミ玉とアルミ玉の間に電圧が生じ、アルミ玉のアルミニウムの中にある電子に力が働いて、絶縁体である酸化アルミの膜に飛び込み、酸化アルミの電子をはじき出します。この電子がまた別の電子をはじき出すという現象がつぎつぎと起きて、そこの酸化膜が溶けます。このためアルミ玉からアルミ玉へ電気が伝わる接点ができ、電気が流れます。コップをゆすってアルミ玉を動かすと、接点が離れるため、また電気が伝わらなくなり、プロペラは止まります。
ちなみに初期のコヒーラーは、アルミ玉の代わりに電気を通しにくい金属充填物をガラス管に詰めていました。
・アルミホイル(幅25cm)
・モーター
・プロペラ
・ミノムシクリップ
(50cmコード付3本)
・単3電池
・電池ボックス
・電子ライター(チャッカマン)
・透明コップ
・紙コップ
・カッター
・セロハンテープ
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1
アルミホイルを長さ約15cmに切り、折りたたんで、約1.5cm幅の帯を作ります。(同じものを2本作ります。)
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2
アルミ帯の片端が透明コップの底につくように入れ、電極にします。(2本を向かい合わせに入れます。)
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3
アルミホイルを約12cm四方に切り、これを丸めて、直径1cmほどの玉を作ります。玉を、10~15個くらい、透明コップのなかにいれます。
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4
紙コップの底面にカッターで切れ目を入れ、プロペラをセットしたモーターを外側からさし込み、セロハンテープでとめます。側面に穴を2カ所開けて、モーターのコードを出します。
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5
電池を電池ボックスにセットします。ミノムシクリップを使って、プラス極と片方のアルミ帯、マイナス極とモーター、モーターともう一方のアルミ帯を、それぞれつなぎます。透明コップの近くで、電子ライターをパチンと押して電気火花を飛ばします。
・電子ライターの火で燃やしたりしないよう取り扱いには十分注意してください。
・回路にちょうどよく伝わる角度でないと電磁波は伝わらないので、反応しない場合、電子ライターの場所を変えて試してみましょう。
・つなぎ方を間違えると電気が伝わらないので、プラス極とマイナス極とモーターの関係を間違えないようにしましょう。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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