色と色素

イオンがつくるグラデーション(No.121)

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イオンがつくるグラデーション イオンがつくるグラデーション

実験監修:名古屋市科学館学芸員 佐伯平二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

実験の説明

どうしてなのかな

色素と組み合わせた燃料電池の実験では、とてもきれいな色の変化が見られましたね。今月はこれをもっとはっきりと見るために、ゼリーを使って実験してみました。でも、どうしてこんなにきれいな色が見られるのでしょう。ちょっと不思議ですね。

そうかなるほど

色は感覚のひとつで、目に入った光の波長に応じて網膜の奥にある細胞が刺激され、その情報が脳に伝わって色として感じているのです。わたしたちは物体から反射される光を見ています。物に色がついて見えるのは、その物体が目に見える光の中で特定の波長帯の光を吸収して、それ以外の波長の光を反射しているためです。
光の吸収は、物質を構成している原子核の周囲にある軌道をまわっている電子に、ちょうどぴったりのエネルギー(波長)をもった光があたると、電子がエネルギーを受け取って外側の軌道へ飛び出すことで起こります(図1)。分子の中の電子も同じようにして光のエネルギーを吸収します。実験に使った紫キャベツに多く含まれるアントシアニンは、pH(ペーハー)によって分子の構造が変わるため、吸収する光の波長帯が移動して色が変化するのです。一般に、二重結合(原子と原子が電子を一緒に持っている状態が2組ある結合)があると光は吸収されますが、目に見えない紫外光を吸収しているので色は見えません。この二重結合と単結合が交互につながったような構造が連続すると、電子が移動できる距離が長くなって、次第に波長の長い光を吸収するようになります。アントシアニン(図2)は酸性溶液では目に見える光の中でも波長の短い青や緑の光を吸収するので赤色に見えます。pHが大きくなるにしたがって溶液中の水素イオン(H)が減るため、アントシアニンに結合している水酸化物イオン(OH)からHが外れます。すると二重結合の連続が長くなり、吸収する光の波長が長くなって中性では紫色に見えます。さらにアルカリ性が強くなると残りのOHからHが外れて、より長い波長の光が吸収され、青緑色になります。
ところで、ゼラチンを水に溶かして加熱してから温度を下げると、ゼラチンの分子が網目構造につながって水をとじ込め、弾力性のあるゼリー状のゲルになります。ゲルは固体と液体の中間的な性質をもっていて、水分子やイオンはゲルの中を移動することができます。このため今回の実験では振動などで溶液が混ざることもなく、色素の色の変化がきれいなグラデーションになって見えるのです。もちろん、燃料電池の実験もできます。試してみましょう。

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