試してフシギ

気化熱暖かい部屋で、氷の結晶(No.12)

暖かい部屋で、氷の結晶 暖かい部屋で、氷の結晶

実験監修:科学実験プロデューサー 米村傳治郎 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

常温の部屋の中でフェルトに氷の結晶がつく。
氷の結晶ができる秘密は気化熱にあります。

フェルトにアクリル樹脂用接着剤の液が十分に染み込むと、みるみるうちにフェルトの繊維の端に氷の結晶ができます。氷の結晶ができるようすを観察してみましょう。

この実験では、気化熱によって、空気中の水蒸気が凍ることを見ています。消毒用アルコールを脱脂綿に含ませて腕を拭くとひんやりとします。これは腕についたアルコールが蒸発するときに皮膚から熱を奪うためです。液体が気体になる、つまり気化するときに必要な熱を気化熱といいます。気化しやすいアルコールなどの液体は、気化するときにまわりに接する物質から気化熱に相当する熱を奪うため、まわりの物質は急激に冷たくなります。アクリル樹脂用接着剤も常温で気化しやすい液体で、フェルトの繊維の端で空気に接すると、空気から熱を奪って気体になろうとします。このとき、空気に含まれている水蒸気がフェルトの繊維の端を核として凍るのです。

水蒸気が水を経ずに凍るには、急激な温度低下と、核になる物質が必要です。気化による温度低下と、フェルトの繊維の端という核となる物質の両方があるため、フェルトの表面に氷の結晶ができるのです。

接着剤の液が気体になるときにできる美しい氷の結晶。
ここにも科学する心の入り口があります。

・フェルト
(厚さ1.5mm程度のものを用意しましょう)
・はり金
(太さ0.8mm程度のもの)
・フィルムケース
・アクリル樹脂用接着剤
(成分が二塩化メチレンのもの)
・ハサミ

  • フェルトをハサミで木の形に切ります。木の高さは5cm程度にします。(ギザギザの部分の多い形にすると結晶がつきやすくなります。)

  • 2

    はり金を9cm程度の長さに切ります。切ったはり金を曲げて、フィルムケースの中に立つように足になる部分を作ります。

    (1)のフェルトの中に(2)のはり金を差し込んで、フェルトが立つようにします。

  • 3

    フィルムケースを1/3くらいの高さになるように輪切りします。

    (3)のフェルトを(4)のフィルムケースの中に立てます。

    アクリル樹脂用接着剤の液を(5)のフィルムケースの中に注ぎ、フェルトの下の部分がひたるくらいにします。

    ★フェルトに息を吹きかけると氷の結晶ができやすくなります。

    ※アクリル樹脂用接着剤は吸引すると健康を害する恐れがありますので換気をよくするなど取り扱いに十分注意して実験をしましょう。

どんな接着剤を使えばいいのか?

アクリル樹脂用であれば結構です。透明な液状のものです。私たちが実験に使用したのは「アクリサンデ」です。ホームセンターなどのアクリル材を扱っている売り場で手軽に手に入ります。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

NGKサイエンスサイトは日本ガイシが運営しています。ご利用に当たっては、日本ガイシの「プライバシーポリシー」と「ご利用条件•ご注意」をご覧ください。
本サイトのコンテンツ利用に関しては、本サイトお問い合わせ先までご相談ください。

このサイトが気に入ったらシェアしてください

page top