どうしてなのかな
カップラーメンの容器を合わせて中の空気をストローで吸い出すと、二つの容器はくっついて、引き離すには思ったよりも大きな力が必要となります。ちょっと不思議ですね。1657年、ドイツのマグデブルグ市長だったオット・フォン・ゲーリッケは、二つの銅製の半球を動物の皮を間にはさんで合わせ、真空ポンプで内部の空気を抜いて両側から馬で引っ張るという「マグデブルグの半球」と呼ばれる実験を行いました。この半球は8頭ずつの馬で引っ張り合ってようやく離れ、大気圧の存在とその大きさが示されました。今回はいろいろな容器を使って「マグデブルグの半球もどき」を試してみましょう。
そうかなるほど
私たちは地球を取り巻く大気(空気)の中で生活しています。空気はとても軽くてその重さを感じることはありませんが、体積の約78%が窒素分子、約21%が酸素分子で構成されていて、1Lあたり約1.3g(0℃,1気圧)の重さがあります。この1Lの空気に含まれる分子の数は約2.7×1022個(1022は千億の千億倍)という想像もできないほどの数で、しかもこれらの分子は超音速で私たちのまわりを飛び回ったり、私たちにぶつかったりしているのです。こんなにすごいスピードで動いている分子にぶつかっても痛くないのは、分子の質量がとても小さいからで、たくさんの分子がぶつかると大きな力(圧力)になります。この空気の粒子(分子)が衝突することで生じる力は地表付近では1cm2あたりおよそ1kg重ですから、私たちは指先に1Lの水を乗せているのと同じだけの力を受けていることになります。これが大気圧(1気圧)で、これほど大きな圧力を受けても私たちがつぶれないのは、内側からも同じ大きさの圧力で押し返してつり合っているからです。空気は地球の重力によって地表近くに集中しているため、地表付近の大気圧は大きな力になりますが、上空では空気の密度が低い(分子の数が少ない)ために大気圧も低くなり、5km上空では地表のおよそ半分になります。
さて、ようやくカップラーメンのお話しです。カップラーメンの容器を合わせただけでは容器の内側の空気の密度も外側の空気の密度も同じだから、両側から同じ大きさの圧力が加わって力はつり合うことになります。ストローで容器の内側の空気を少し抜くと、内側の空気の密度が低くなって外側から容器を押す力の方が大きくなり、引き離すには思ったよりも大きな力が必要となるのです。吸盤が平らな面にくっつく原理も同じで、吸盤の内側にある空気を抜くことで大気の圧力によって吸盤を平面に押しつけているのです。
材料
1. 即席カップめんの容器 2個
2. クリアファイル 1枚
3. ストロー 2本
4. 目玉クリップ 1個
工作の完成品
道具
•はさみ
•カッターナイフ
•キリ
•ものさし
•コンパス
•セロハンテープ
•プラスチック用強力接着剤
•紙(裏が無地の包装紙やチラシでよい)
[工作の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・工作を行う際は、必ず手順を読んでから行ってください。
・刃物や器具の取り扱いには十分注意し、ケガをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
ストローの先を4等分に切って広げます。カップめんの容器の底に接着し、セロハンテープで押さえます。
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2
もう一つの容器の底に穴をあけ、内側からストローを通して接着し、セロハンテープで押さえます。ストローと容器の間から空気が漏れないように、容器の外側にも接着剤を塗ります。
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3
容器のサイズにあわせて幅3~4cmのドーナツ状の円を描き、パッキンの型紙を作ります。外周の円は容器の半径より約1cm大きく描いてください。
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4
型紙をクリアファイルにセロハンテープで固定し、型紙通りにファイルごと切り抜きます。
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5
ファイルで作った2枚のパッキンをそれぞれの容器に接着します。
凸凹にならないように注意しましょう。
※容器の口に接着剤を均一に塗ってからパッキンの上に伏せ、そのまま しばらく押さえておくときれいに仕上がります。パッキンの表面に 接着剤をつけないよう注意しましょう。
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・実験を行う際は、必ず手順を読んでから行ってください。
・刃物や器具の取り扱いには十分注意し、ケガをしないようにしましょう。
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1
2つの容器を合わせて、中の空気を大きく一呼吸で吸い出します。
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2
中に空気が入らないよう、ストローを折り曲げてクリップでとめます。
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3
2つの容器はくっついて、ストローを引っぱっても離れません。
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4
クリップをはずすと球の中に空気が入って容器は簡単に離れます。
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5
ゼリー、プリン、納豆の容器や紙コップなどを使って同じように試してみましょう。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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