どうしてなのかな
半球状のお玉の中に浮かんでいる人形、まるでそこに人形があるように見えますが、さわろうとしてもさわれません。ちょっと不思議ですね。
そうかなるほど
人形が浮かんで見えるのは、半球状のお玉が凹面鏡となってお玉にかぶせてある紙の裏側にある人形を映しているからです。凹面鏡は球の内側を反射面にした鏡で、光を集める性質があり、図-1のように鏡の面に平行に入ってきた光は焦点(F)に集まり、焦点から出た光は鏡の面で反射すると平行光線となります。図-2のように人形が球心(O)よりも遠くにあると、凹面鏡がつくる像は小さく逆さになりますが、図-3のように人形がOとFの間にあると、像は逆さに拡大されて映ります。また、図-4のように人形がFよりも鏡に近いところにあると、鏡の奥に大きな像が逆さにならないで映ります。人形がFよりも遠くにあるとき(図-2、図-3)の像は、その位置にスクリーンを置くと像が映し出されるので「実像」と呼ばれ、図-4の像は像が映し出せないので「虚像」と呼ばれます。上の写真は、OとFの間で、Oに近いところに人形を逆さに置いたため、その人形とほとんど同じ大きさの人形が、あたかもそこにあるかのような実像となって見えたのです。
A=実物の人形 B=映し出される像
材料
1. 180cc(深さ4.5cm)
程度のスープレードル
(スープ用の半球状のお玉) 1本
2. 小さな人形など
(高さ2cm×幅1cmくらいまでのもの)2個(内径3mm×長さ20cm程度)
3. 磁石
(人形の幅程度で厚さ2mmくらいまでのもの) 2個
4. 無地の厚紙
12cm×6cm程度 1枚
5. 針金
(またはゼムクリップ)
道具
•ラジオペンチ
•小型LEDライト
•両面テープ
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・実験を行う際は、必ず手順を読んでから行ってください。
・刃物や器具の取り扱いには十分注意し、ケガをしないようにしましょう。
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1
図のように、お玉の底をのぞきながら人差し指を立ててお玉へ近づけると、上下左右が反転した指の像が最初は小さく、しだいに大きく映ります。
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2
指先がお玉のふちよりも少し内側に入ると、指と像の指がぶつかるように見え、さらに指先を進めると像は急に大きくなります。指をいろいろ動かしてお玉の凹面鏡がつくる像を見てみましょう。
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3
同じ様子を小さな人形を使ってもう少し詳しく見てみましょう。図のように人形に針金を取りつけます。
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4
針金を持って人形を動かしてみましょう。人形が左のページで示した球心(O)よりも鏡から遠い位置にあると、上下左右が反転した実物より小さな像が映ります。球心付近で像は実物とほぼ同じ大きさになり、さらに焦点(F)に近づくと像は実物よりも大きくなります。
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5
焦点を過ぎると、平面鏡と同じように左右が反転して正立した像が映り、お玉の底に近づくにしたがって小さくなって実物と同じ大きさになります。
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6
今度は人形の裏に両面テープで磁石をはって厚紙の上に置き、厚紙の裏側から別の磁石をくっつけます。人形を底の方に向けて厚紙をお玉の上に置き、斜め上からお玉の底を見ると厚紙の裏の人形が浮き上がったように見えます。
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7
磁石を使って人形を動かしてみると、像の大きさが変わったりゆがんだりします。像がゆがむのは、凹面鏡で反射された平行光線が焦点を通るのは鏡の中心付近だけで、中心から離れた位置では焦点から外れてしまうためです。
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8
暗くした部屋などで小型のLEDライトで照らしてみましょう。人形がさらにはっきりと浮かび上がって見えます。
(厚紙の裏面を黒くすると、よりくっきりと見えます) -
9
厚紙の上にも人形を置いて、浮かび上がった人形の像と並んで見えるようにするなどして遊んでみましょう。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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