試してフシギ

キュリーエンジン磁石とロウソクでつくるエンジン(No.09)

磁石とロウソクでつくるエンジン 磁石とロウソクでつくるエンジン

実験監修:科学実験プロデューサー 米村傳治郎 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

針金が左右に動き、グラスをたたく。
この装置の秘密は、磁石とローソクにあります。

針金のように磁石にくっつきやすい物質は、実はミニ磁石の集合体。ふだんはミニ磁石のS極とN極がバラバラな方向を向いているため、磁石としての性質が現れません。ところが、外から強い磁力を受けるとミニ磁石の向きがそろい、全体でひとつの磁石となります。この磁石となった針金が熱せられてある温度を超えると、向きの揃っていたミニ磁石たちが再び勝手な方向を向いて、この針金の磁石としての性質が失われてしまいます。

この装置では、まずYの字の針金の片方を固定した永久磁石に近づけます。すると、この針金は磁石になり、永久磁石に引き寄せられます。ところが、この永久磁石の前にはローソクがあり、その炎で熱せられると針金の磁石としての性質が失われてしまいます。このとき、Yの字のもう片方の針金が持つ磁石としての性質の方が相対的に強くなることから、こちらの針金が永久磁石に引き寄せられます。一方、ローソクから離れた方の針金は、冷めると再び磁石としての性質を取り戻します。この繰り返しによって、針金が左右に動き、グラスをたたくのです。

磁石が磁力を失う温度を、発見者の名前をとって「キュリー点」といいます。この装置はキュリー点を利用しているので「キュリー・エンジン」と名付けました。ミニ・ディスクや光磁気ディスクのデータ書き込み技術は、このキュリー点を利用したものです。

磁石とローソクでつくるキュリー・エンジン。そこに科学する心への入り口が待っています。

・木の板
(約5センチ×10センチ×厚さ1センチ 釘の打てる堅さと材質のもの)
・針金
(30センチ、磁石の強さとバランスをとって太さを選んでください。ちなみにこの実験では、0.45ミリの針金を使いました)
・ビニールテープ
・釘
(太めのもの[直径3ミリ程度]がよいでしょう)
・かなづち
・ろうそく
(火力が強い太いもの[直径1センチ程度]を、短く切って使います)
・永久磁石
(なるべく強いもの、ネオジム磁石があるとよいでしょう)
・コップなど
(たたいて音が出るものを他にも試してみましょう)
・針金の先の玉
(アクセサリー用のガラス玉で穴のあいているもの)

  • 細い鉄の針金を寄り合わせてYの字型にします。

  • 2

    Yの字の針金の二本の部分を釘に巻き付けます。Yの字の針金が自由に動く程度にゆるく巻きます。

  • 3

    この釘にビニールテープを巻き、針金が落ちないようにします。

  • 4

    針金のついた釘を板の端のほうに打ちつけます。

  • 5

    Yの短い二本の先端から永久磁石の大きさの分だけ離して板に別の釘を打ち、側面に永久磁石をつけます。

  • 6

    長い方の針金の先に玉をつけます。

  • 7

    磁石の前にろうそくを立てます。ろうそくは、火をつけてYの字の針金の片方に炎があたるように高さや炎の大きさを調整します。永久磁石も、あまり続けて熱していると磁力を失ってしまうので、濡らしたティッシュなどを巻き付けて冷やします。(ティッシュが燃えないようにくれぐれも気をつけてください)

  • 8

    磁石と針金の距離、炎が針金を熱する加減、針金のYの幅などを調整すると針金が左右に動きます。針金の先の玉が当たる場所にコップをおいて音を鳴らしてみましょう。磁石の強さや針金の太さ、ローソクの太さなど、いろいろ実験装置に工夫をして試してみましょう。

針金が動かない。

この実験には、強い磁力を持った磁石が必要です。そして針金のY字の微妙な角度に成功の鍵が隠されています。少しずつバランスを調整してみてください。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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