試してフシギ

静電気モーター私たち、静電気で回ってます(No.08)

私たち、静電気で回ってます 私たち、静電気で回ってます

実験監修:科学実験プロデューサー 米村傳治郎 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

くるくると軽快に回るスケーターたち、でもこのスケーターを乗せたコップはどんな仕組みで回っているのでしょう。

下敷きをこすって、ティッシュペーパーや髪の毛に近づけると、静電気の力でくっついてしまうことはよく知られています。じつは、これと同じことが、スケーターを乗せたコップにも起こっているのです。静電気を蓄えたコンデンサーから伸ばしたアルミ箔の電極は、静電気を帯びています。この静電気がコップに刺した画びょうを引きつけ、コップは動き始めます。すると画びょうはアルミ箔の電極に接触し、その瞬間、画びょうも静電気を帯び、画びょうとアルミ箔を引きつけている力がゼロになってしまいます。
ここが、ティッシュペーパーや髪の毛と違うところ。ティッシュペーパーなどの絶縁体は、接触しても電気をおびないので、引きつける力はそのままで、下敷きにくっついています。ところが、画びょうは金属(導体)なので、電気が流れ込んでアルミ箔と同じ状態になり、引きつける力が無くなってしまうのです。

静電気を帯びた画びょうは、回転して反対側の電極に接触し、放電します。そして、ふたたび静電気を帯びたアルミ箔の電極に引きつけられます。こうしてコップは回転を続けるのです。この仕組みは、静電気の力を回転運動に変えるので、静電気モーターと呼ばれています。

静電気モーターの原理は昔から知られていましたが、力が弱いためコイル式モーターが発明されてからは、ほとんど忘れられていました。しかし、最近ではマイクロマシンの動力源として見直されています。マイクロマシンの大きさでは、コイルを作るのが難しく、また静電気モーターの力でも十分と考えられているからです。

プラスチックコップで作る静電気モーター、そこの科学する心への入口が待っています。

・アルミホイル
(30センチ×30センチを2枚)
・プラスチックのコップ(4個)
・画鋲(8個)
・鉛筆
(端の平らなものの先をとがらせて使います)
・瞬間接着剤
・糊またはテープ
・土台となる厚紙または板
・ティッシュペーパー
・消毒用アルコール
(できれば無水のエチルアルコール)
・はさみ
・カッターナイフ
・塩ビパイプ
(静電気を起こすために使います。サイエンスサイトNO.1静電気をご参照ください)

  • アルミホイルの型に使うため、プラスチックコップを口と底を切り取り、切り開きます。
    アルミホイルを型に乗せ、鉛筆などで印を付け、切り取ります。同じものを2枚作ります。

  • 2

    切り取ったアルミホイルを、プラスチックコップに巻き付け、糊かテープで留めます。このとき1センチくらい底にはみ出すようにします。

    コップの縁をアルコールできれいに拭きます。ここが汚れていると電気がたまりません。

  • 3

    集電板を作ります。アルミホイルを何重にも折り重ねて細長い板状にしたものを2本つくり、1本の端にはさみで切り取った1枚のアルミホイルをテープで貼り付けます。

    アルミホイルを貼ったコップを重ねて、間に集電板を挟みます。これがコンデンサーになります。

  • 4

    プラスチックのコップを半分の長さに切り、その側面に等間隔で接しあわないように8個の画鋲をさします。

    コップの底の中心部分をボールペンなどで穴があかない程度にくぼませます。

  • 5

    土台の厚紙(または板)のうえに芯をとがらせた鉛筆を瞬間接着剤でくっつけます。

    アルミホイルを折り畳んで細い板状にしたものを鉛筆のそばに立て、上部に1枚のアルミホイルでひらひらと動く接触子を作り、コップの画鋲に触れるように調整します。

  • 6

    アルミは土台の上をはわせて、その反対の端にコンデンサーをおきます。コンデンサーには、集電板と同じものをもう一本はさみ、やはり画鋲に触れるようにします。

    塩ビのパイプをティッシュペーパーでこすって、コンデンサーの集電棒に近づけ静電気を送り込むと、電気がたまっている限り回ります。

うまくコップが回らない。

・この実験は、コップでつくるコンデンサーが難しいようです。コップは絶縁体の役割をしています。二つのコップに巻いたアルミホイルが触れ合ってはいけません。
・静電気は起きていますか?
No.01「空飛ぶ電気くらげ」に、塩ビパイプの静電気のおこし方を詳しく紹介しています。参考にしてください。
・引き合う力が弱いので、コンデンサーからのアルミ箔(電極)と、画びょうの距離、また画びょうに帯電した電気を逃がすアルミ箔の接触するタイミングや形状に工夫を加えてみてください。

コンデンサーからの電気がうまく伝わっていないような気がする。

動作の原理としては、コンデンサーからの電気を帯びた画びょうと、電気受け取った電極とで電気的に反発することから運動エネルギーを得ています。よって、非常に微弱な力で、ジンワリと動き出します(風でコップが傾いても抵抗になります)。帯電した画びょうは、今度は反対の電極に引かれ、接触すると電気を逃がし再び帯電する、というサイクルで回り続けます。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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