試してフシギ

ブーメラン曲げ反りねじれで(No.05)

曲げ反りねじれで 曲げ反りねじれで

実験監修:サイエンスディレクター 米村傳治郎 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

遠くまで投げても正確に手元に戻ってくる不思議なブーメラン。その驚きが、手軽に味わえます。翼の形や数はいろいろ試した結果、「く」の字より三枚翼がおすすめ。自作のブーメランが手元に戻ってきたときの感動は格別です。
ところで、なぜブーメランは戻ってくるのでしょう。三つの翼がまっすぐならば、ただの手裏剣。三枚の翼に働く力を、曲げ、反り、ねじれの三つの角度で調整して、ブーメランに変身です。翼の「曲げ」と「ねじれ」は、左倒しにひねる力(右投げの場合)を生み、左に傾けたバイクがハンドルを切らなくても左に曲がるように、ブーメランは左旋回します。翼の「反り」は、ブーメランを右倒しする力となって働きます。これらの力は、空気と翼との間に生じたものです。
ブーメランは回転しながら飛んでいるので、空気に対する翼の速度は回転速度と飛行速度を加えたもので逐次変化しています。この速度変化が、翼に生じる力の違いを生み、ブーメランの姿勢を変え、姿勢変化によってまた新たな力を受ける。このバランスよく連続した姿勢変化の結果、ブーメランは戻ってくるのです。

ブーメランは、もともとオーストラリア先住民の部族名。武器として鳥の狩りに使ったという説が一般的ですが、実は同じようなものは多くの地域で発見されており、古くから広く使われていた道具だと考えられています。大昔の人類がどうして手元に戻ってくる道具を思いついたのか。そしてそれは、なぜ歴史の中で忘れられたのか。武器ならぬ遊具としてのブーメランに人類の創造の不思議が見えてきます。

ブーメランから始まる「なぜ」。そこに科学する心への入口が待っています。

・厚紙
(工作用厚紙がよいですが、牛乳パックをひろげて使ってもよいでしょう)
・カッター、金差し(厚紙を切るもの)
・ホチキス(できれば厚い紙を留める大きなもの)

  • 厚紙を幅約2cm、長さ約12cmに切ったものを3枚つくります。

  • 2

    3枚重ねにして、一方の端に約1cmの切れ目を入れます。

  • 3

    切れ目を組み合わせて三つに組みます。2枚の紙でできる角度が3つとも同じになるように調整します。

  • 4

    ホチキスでずれないように留めます。

  • 5

    <曲げ>
    それぞれの翼を、飛行機の翼のように大きく湾曲させます。こうすることで、空気抵抗を減らし、揚力を大きくして、しかも強度も増します。

  • 6

    <反り>
    それぞれの翼を、湾曲の上の方向に根元から反らせます。つまり上反角をつけるのです。反りが大きいほど舞い上がるようになります。

  • 7

    <ねじれ>
    右投げの人は右上がりに、左投げの人は左上がりに、ねじれを入れます。ねじれが強くなると軌道が小さくなります。あまりねじると失速して飛ばないので注意しましょう。

  • 8

    三つの調整ともやりすぎないことが肝心です。翼の先端にテープを巻くと遠くまで飛びます。

  • 9

    投げ方は、よく見るような水平ではなく、翼のひとつを持ってブーメランが縦になるように構え、回転を付けるようにして、まっすぐ前方に投げます。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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