フワフワただよい、きらきらと光るシャボン玉は、とってもファンタジック。もっと大きく作れたらと思ったことはありませんか。その願いをかなえます。秘密は洗濯のり。
シャボン玉とは空気でふくらんだ液体の膜。この幕を安定させれば、こわれにくく大きなシャボン玉がつくれます。水と洗剤を混ぜたシャボン液に洗濯のりを加えると液の粘性が増し、膜がこわれる原因となる水の分子の移動を妨げます。この働きが、シャボン玉の膜厚調整機構を強化し、シャボン液だけの時よりも大きなシャボン玉ができるのです。
シャボン玉の膜厚調整機構は、膜の構造に由来します。シャボン玉の膜は、洗剤に含まれる界面活性剤が水をはさみこんだサンドイッチ構造になっています。この構造を持つことで水の分子間に働く力が膜の厚さを微妙に調節しているのです。
また、このサンドイッチ構造は、ナノメートル(1ミリメートルの100万分の1)オーダーの厚さで、何層か重なって膜ができています。液体でありながら層状というこの状態は、結晶と液体の両方の特徴を持つ状態である「液晶」の一種。この状態を持つものに、細胞を形作る生体膜(細胞膜)があり、シャボン膜の研究が、細胞膜の研究に役立つのではないかと注目されています。そういわれれば、細胞が浮かんでいるようにも見えませんか。
ニュートンを始め多くの研究者が、シャボン玉を手がかりに、光の干渉や数学の最小問題など、多彩な研究を行っています。身近なシャボン玉にも、まだまだ科学の謎を解く鍵が隠されているのかもしれません。
シャボン玉遊びからら始まる「なぜ」。そこに科学する心への入口が待っています。
・台所用洗剤
(成分表を見て界面活性剤の割合の多いものがよいでしょう)
・合成洗濯のり
(ポリビニールアルコール系のもの。成分が違うと同じ洗濯のりでもうまくいきませんし、同じ成分でもメーカーによっては別の成分が影響してうまくいかないこともあります。失敗するようなら違う洗濯のりで試してみましょう)
・針金(アルミホイルを丸めたり、吸水性の良い紐でもできます)
・ガーゼ(シャボン液がよく付くように針金に巻き付けます)
・洗面器
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1
洗面器に洗剤、洗濯のり、水を1対5対10の割合で入れ、シャボン液をつくります。ただし泡立つと枠に付く液量が減ってシャボン玉ができにくくなるので余分な泡はすくって捨てましょう。
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2
針金にガーゼを巻き付け、金枠を作ります。
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3
金枠をシャボン液に浸し、ゆっくり持ち上げます。
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4
枠にシャボン膜が張ったら、枠をひねるように振るとシャボン玉ができます。
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5
できたシャボン玉に向かって、口を細くして吹いたり、ストローで空気を吹き付けると、シャボン玉のなかに小さなシャボン玉ができます。
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6
そのほかの楽しみ方として、
シャボン玉狩り:枠に膜を張って、それを吹いて、小さなシャボン玉をたくさん作り、その小さなシャボン玉を大きなシャボン玉で捕まえる。
飛び出るシャボン玉:シャボン玉狩りの大きいシャボン玉を膜を張った金枠で捕らえて、枠のなかを指でつつくと、なかに入っていた小さなシャボン玉が飛び出します。
シャボン玉の吹き流し:シャボン液の膜をはった金枠を持って走ると、長いシャボン玉が一瞬できます。
人間を閉じこめる:大きな金枠で人間より大きなシャボン玉を作ることもできます。長いシャボン玉で人間を包むくらい大きなシャボン玉を作ってみましょう。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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