試してフシギ

トルネード竜巻パワーが止まらない(No.03)

竜巻パワーが止まらない 竜巻パワーが止まらない

実験監修:サイエンスディレクター 米村傳治郎 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

今回は、おどろくほど簡単で、なぜかやみつきになる実験。材料はお湯と発泡系入浴剤だけ。

ペットボトルにお湯を入れ、中のお湯が回転するようにペットボトルを回してみてください。ただのお湯の時はすぐに回転が消えますが、入浴剤を入れて回すと、竜巻のような渦が発生し、回転の持続時間も驚くほど長くなります。お湯の中に沈んだ発泡系入浴剤は、炭酸ガスが溶けだし、泡が立ちのぼり、お湯を対流させます。対流の上昇する力と、お湯を回転させようとする力によって、「渦」が発生します。流体の中で一度生じた渦は、エネルギーを失いにくく消えにくい性質があるため、この現象が起きるのです。

本物の竜巻も、ペットボトルの中で発生した縦方向の渦と同様に、上昇する力と横回転で発生します。流体には回転の中心からの距離と速度を掛けた値を一定に保ちながら運動する性質(角速度の保存則)があり、積乱雲の下で生じた、直径数キロの空気の渦(メソサイクロン)は、はじめはゆっくりと回転していますが、回転の中心に近づくにつれ速くなり、上昇気流に巻き込まれて強い渦である竜巻になるのです。ただし、竜巻の発生原因は、地形や積乱雲の中の空気の流れなど多くの要素が複雑に絡み合い不明点も多いため、現在のところは予測が立てられません。
世界の竜巻現象の80パーセントが起きるアメリカでは、毎年100人近くの人が竜巻のために亡くなることもあって、竜巻の発生は重要な研究テーマとなっています。

竜巻研究者の中には、キャンピングカーに寝泊まりしながら竜巻を追い求め調査をつ続ける人もいます。未知の解明には、研究室で仮説を検証する研究と同様、自然から学ぶフィールドワークもまた重要なのです。

渦から始まる「なぜ」。そこに科学する心への入口が待っています。

・ペットボトル
(炭酸飲料用の円筒状ペットボトルを逆さにして使用します。写真は掲載当初の底が丸くなっているタイプを使用しています)
・入浴剤(炭酸ガス含有の発泡系のもの)
・お湯(お風呂の温度ぐらい)

  • ペットボトルにお湯を8分目入れます。

  • 2

    かなづちなどで砕いた発泡系入浴剤を数かけ入れ、ふたをしめます。

  • 3

    ペットボトルを上下逆さにし、入浴剤を飲み口に集めます。入浴剤が溶けて泡がでてきたら、ペットボトルを数回思いきり回します。

  • 4

    回転に勢いがついたら平らなところに置いて見てみましょう。

  • 5

    後ろから光を当てるとよりはっきりと渦巻きのようすがわかります。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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