試してフシギ

モーターの原理まっすぐな針金を曲げるだけでクルクル回る!(No.220)

まっすぐな針金を曲げるだけでクルクル回る! まっすぐな針金を曲げるだけでクルクル回る!

実験監修:東海大学特任教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

ただ折り曲げただけの針金がモーターのように回転するのはなぜ?

そうなんだ!

No.188で小さなコイルを使った「モーターの赤ちゃん」を紹介しました。今回は、それよりもっと簡単な「モーターの卵」を作りましょう。
モーターの原理をつきつめて考えると、磁力と電流の作用で生まれる力(ローレンツ力)に行きつきます。磁界の中で電流を流すと、導線は一定の向きに力を受けます。1本の導線もコイルも磁界から力を受けますが、コイルは半回転ごとに電流の向きが逆になり、磁界から受ける力も反転するので止まってしまいます。
そのため、半回転ごとに電流を入・切する工夫が必要です。ところが、折り曲げただけの導線では電流の向きが常に一定なので、特別な工夫なしでも回り続けるのです。

1. 銅の針金35cm(直径0.5mm程度)
※被覆されてないもの。
2. 乾電池(単1形) 1個
3. ネオジム磁石(直径約23mm、厚さ約2.5mm) 2個
※他のサイズでも実験は可能です。
・定規
・ニッパー
・ラジオペンチ
・セロハンテープ

実験で使用した材料の詳細

・銅の針金 ダイドーハント 銅線0.55ミリ×7メートル
・乾電池 大創産業 マンガン乾電池単一形
・ネオジム磁石 セリア 超強力マグネット 1P 直径約23mm

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    銅の針金を18cm1本と8.5cm2本に切り分け、ラジオペンチで図のように折り曲げます。

  • 2

    軸受けの部品をセロハンテープで乾電池に固定し、ネオジム磁石を乾電池にくっつけます。

  • 3

    回転子を軸受けにのせて指で軽くはじくと、クルクル回り始めます。
    ※針金が熱くなるので、長時間電流を流し続けないでください。

実験を成功させるコツとヒント

・回転子は寸法通りに正確に折り曲げ、両端が一直線になるように調整してください。
・磁石は小さいサイズのものやフェライト磁石でも可能ですが、大きめのネオジム磁石を使う方がよく回ります。また、電池は単2形や単3形でも可能ですが、電流の大きい単1形の方がよく回ります。
・回転力が弱い場合は、軸受けを調整して回転子をなるべく磁石に近づけてください。
・長時間通電し続けると針金が熱くなります。実験が終わったら回転子をはずしてください。

モーターのコイルはどんな役割をしているの?

今回の実験で、コイルを使わないで導線を曲げただけででも回転運動が起こることがわかりました。それでは、ほとんどのモーターにコイルが使われているのはなぜでしょう? 実は、今回使った回転子は非常に軽く、しかも強力な磁石を使っているのでよく回りますが、回る力自体はごく弱いモーター(駆動装置)です。
導線が磁界から受ける力は、流れる電流の量に比例します。導線を巻いて2重にすると電流は2倍、3重にすると3倍流れることになるので、磁界から受ける力もその分大きくなります。コイルにすることで、同じ電力でも発生する力を格段にパワーアップできるのです。そのため、実用的なモーターにはコイルが使われています。

そもそもモーターって何? どんなものがあるの?

モーターと聞くと、多くの人は電気の力で回転運動をする装置をイメージします。ところが、リニアモーターは回転運動ではなく直線運動をするモーターです。また、「モータースポーツ」は自動車やオートバイの競技を指し、多くはガソリンなどのエンジンで動きます。もともとモーターという言葉は「動きを与えるもの」という意味なので、動く原理やしくみは多種多様です。その中でも、電気によって動く「電気モーター(電動機)」の意味で多く使われるようになり、一般的になりました。
今回取り上げたのは、「磁力と電流の作用で動くモーター」の最も原理的な実験ですが、NGKサイエンスサイトでは、これまでにさまざまなモーターを紹介しています。合わせてご覧ください。
No.201「リニアモーター」
No.188「クリップモーター」
No.184「振動モーター」
No.128「偏心モーター」
No.116「誘導モーター」
No.69「整流子モーター」
No.8「静電気モーター」

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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